暗い場所で環境光を活かして撮る – ISO感度を上げて撮る時 #8

暗い場所では環境光を活かして撮るのが大事。
暗い場所では環境光を活かして撮るのが大事。

暗い場所でISO感度を上げて写真を撮るのは、写真撮影の常道だ。初心者でも上級者でも暗い場所ではISO感度を上げて写真を撮る。暗い場所で明るく撮る為の最も手っ取り早い方法であり、最もよく知れ渡っている方法だろう。

余り外光が入らず暗い場所で撮る時などには、ISO感度を上げて撮るしかないが、それでも暗い場合がある。そんな暗い場所で撮る時は、ISO感度を上げるだけでは心許ない。明るい単焦点レンズの登場だ。

以下の作例は暗い長屋の一部屋で撮影した。裸電球がオレンジ色の光を放っていたが、どうせ暗いだろうなと思い、F1.4の開放で撮ることにした。

ISO感度を上げるだけでは心許なかったので、開放F1.4で撮影。十分な明るさを得ることが出来た。
ISO感度を上げるだけでは心許なかったので、開放F1.4で撮影。十分な明るさを得ることが出来た。

裸電球のオレンジ色が結構強い部屋だったが、写真では普通の色で撮れている。たぶん撮影者の僕が裸電球の光を遮っていたのだろう。ちなみに作例は撮って出し状態で、何もいじっていないので、現場のカメラの設定でこれだけの明るさや色味やノイズの出具合になると思って頂いて差し支えない。

ISO感度は500、シャッタースピード1/125秒の設定となっている。F値は開放1.4。レンズはCanon EF24mm F1.4L Ⅱ USM。焦点距離24mmなので、シャッタースピードを手ブレしないぎりぎりのセオリーとされる1/60秒か1/80秒まで落としても良かったかも知れない。

23.8インチのディスプレイで表示させてもノイズが気にならないのは、フルサイズ機の実力と言ったところか。開放でモデルの顔以外は綺麗に暈けているので、モデルがうまく主張している。

こちらはOtus1.4/55で撮影。設定は先ほどと同じで、ISO感度のみ640まで上げている。外からの光を活かして撮影した。この日は雨が降っていて曇り模様だったので、雲がディヒューザー代わりになり、柔らかい光が被写体を照らしている。ノイズも先ほどと同じく気にならない。

こちらもF1.4の開放で撮影。あらゆる収差を徹底的に排除したOtusなので。開放で撮る躊躇いが生じない。
こちらもF1.4の開放で撮影。あらゆる収差を徹底的に排除したOtusなので。開放で撮る躊躇いが生じない。

暗い部屋ではその場にある環境光を活かしつつ、ISO感度を上げて撮ると、ストロボを用いない自然体の写真に仕上がるだろう。ISO800以上に上げたくないという場合には、明るい単焦点レンズで、収差を気にせず開放で撮るのも一つの良策となる。射し込む光を探し、最適なレンズを選ぶことを忘れないようにしよう。