スタジオ内でも自然光を利用する – ISO感度を上げて撮る時 #4

model:Riruru
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密閉空間のスタジオで撮っていると、ストロボを使った撮影が当たり前という意識が生まれる。しかしそれが落とし穴となることもある。シリーズISO感度を上げて撮る時、第4回は、親しいレイヤーさんから「窓から朝日が差し込んでいるように撮ってくれ」と言われたときの試行錯誤を紹介する。

ストロボは魔法のツールである。「肌を綺麗にしてくれる文明の利器」と言う人もいれば、「肌レタッチいらず写真生産装置」と言う人もいる。そう、ストロボを使えば肌が綺麗に撮れる。だから、スタジオ内でストロボを使わないなんてあり得ないという特権意識が生まれる。

まぁ経験上使わないわけにはいかないのだけれど、それでも上手い人は、ストロボを使わず、天井の撮影に適さない蛍光灯や、いずこからもれいずる自然光などを使って上手く撮っていたりする。

今回は冒頭に述べたように、もうかれこれ3年くらい撮っている親しいレイヤーさんから、「窓から朝日が差し込んでいるように撮ってくれへん?」と言われた。僕は即答した。以前ディアラヴァを撮った時に、別のレイヤーさんをそんな風な感じで撮った覚えがあったからだ。ストロボを使って。

しかし、ライティングの位置までは覚えていなかった。何とか記憶を辿り、だいたいこんな感じだろうとやってみたのだが、前に撮ったときの絵に全くならなかった。白のカーテンの後ろにも置いて光らせてみたが、どうも不自然さしか残らない。

自分の写真ブログを検索してみたものの、そのときの写真は掲載していなかった。一応自分だけExif情報が見れるようにしてあるのだけれど、これでは全く打つ手なし。

最後に残された手段は、トランスミッターの電源をオフにして、ストロボなしで撮る方法だった。要は自分が前に書いた記事を思い出して、試してみたのだ。

ベッドルーム型スタジオにて – ISO感度を上げて撮る時 #2

そうしたら、あっけなく上手く撮れた。窓は磨りガラスだが、窓の向こう側は野外となっている。磨りガラスとカーテンが光を上手く緩和してくれているので、窓の方を向いて貰うと、ストロボなしでもとても綺麗に撮れる。むしろストロボは光らせない方が良い。後このイベントスタジオは、天井の蛍光灯が消せるので、それも消して撮影した。

朝日のようかはともかく、自然な感じで撮ることが出来た。
朝日のようかはともかく、自然な感じで撮ることが出来た。

通常、スタジオ内では、ストロボを使わないという手段は敬遠されがちだ。肌が綺麗に写らないし、いろいろな余計な物を飛ばせない。故にストロボに頼りがちなのだが、その意識が頭の中で固執していると、なかなかストロボのスイッチを消して、ISO感度を上げて撮ろうという気にならないのだ。

あなたの部屋のリビングやダイニングが窓に面しているとしよう。白い半透明のカーテンを引いた部屋の中で、何でも良いのだけれど何か物を撮影すると、凄く綺麗に写っていた経験はないだろうか。アレと同じ事が起こったのだった。

もう一カ所、やたら夕日が差し込む磨りガラスの窓があったので、そこでも立ってもらって撮影した。夕陽が沈むのは早いので既に光は弱かったが、コレも陰影がついていて、なかなか良い。

男装キャラは陰影を付けると味が出る。
男装キャラは陰影を付けると味が出る。

ストロボを所有していないという方や、ストロボを持ってくるのを忘れてしまったという方は、密閉されたビルのスタジオ内で、どこかから自然光が漏れていないか探してみるのも良いだろう。写真は光の芸術と呼ばれている。どんな状況におかれても、光を読むのがいちばん大切である。