スタジオで4人の集合写真を撮るときに理想的なF値を巡る冒険

スタジオ内でグループ撮影するときに理想的なF値を追い求める。
スタジオ内でグループ撮影するときに理想的なF値を追い求める。

スタジオ内で四人の集合写真を撮るときは、どのF値に設定して撮るのが理想的か。言い換えると、4人全員にピントを合わせるように努力しつつ、背景を多少なりともぼかしてしまうべきか。それとも背景もくっきり写してしまうべきか。

同じシチュエーションで野外で撮るときはどうするだろうかと考えてみると、場所にもよるが例えば緑生い茂る公園で撮る場合は、思いっきり背景をぼかした方が主題が浮き出て絵になる。しかしこれも時と場合によりけりで、背景をほとんど入れずにアップ目の集合写真なら、F9〜F11くらいまで絞って何もかもくっきりシャープに写るようにした方が良い場合だってある。また副題の背景を風景画のように思いっきり主張したい場合にも有効だ。

ピンショットならともかく4人となると、やはり全員をくっきりシャープに写して背景のボケにはこだわらない方が無難だろうか。

スタジオは狭い場所であること事が多いので、開放F値で撮ったところで被写体と背景との距離も取れないからあまりボケない。ならいっそ絞って撮るか、ということになり、集合写真を撮る際の王道のカメラの設定をする。

今回はF7.1に設定して撮影した。おそらくISO感度をあまり上げたくなかったのだろう。念のため天井の蛍光灯を消して、自然光だけにした状態で、ソフトボックスにストロボを取り付けて光らせる。

背景の明るさを考えなくても、ストロボの光ですべて明るくなりそうな気もするが、とりあえずF7.1、シャッタースピード1/80秒、ISO感度320で撮っていく。被写体、背景共々申し分のない写りだ。タダスタジオ内の壁が緑だったせいか、肌の色を綺麗に出すのにやや難儀した。色温度を6200に設定して、ホワイトバランス微調整を横軸(ブルー・アンバー)−4.0、縦軸(マゼンタ・グリーン)1.5に設定している。関数でいうところのx軸、y軸を思い浮かべて頂きたい。

しばらく色々撮ってから、今度はアップ目の集合写真を撮ることになった。バストアップもしくはウエストアップでの構図。アニメ雑誌や声優雑誌の表紙にあるような感じで撮れるのでとても映える。ここでまた背景をぼかすべきかくっきり撮るべきか迷うことになる。

結論から先に述べると、両方撮っておけば良いのだ。しかしこの日は背景がボケた集合写真が思いのほか自分的にお気に入りだったのか、F1.4やF1.8という設定で撮っていた。

55mm | F1.4 | 1/125s | ISO250
55mm | F1.4 | 1/125s | ISO250

等倍で見ると全員にはピントが合っていない、誰か一人の目がややボケているといった写真もあったし、見事に全員の目にピントが合っている写真もあった。問題は、写真を使う側のコスプレイヤーが、ピントが全員にあっている写真、合っていない写真、どれをベストショットとして選ぶかということだ。全員の目にピントが合っている写真がベストショットとしてツイッターなどのWebに上げる写真に選ばれるとは限らない。このようなコスプレイヤー側からの視点を考慮に入れるなら、絞って撮った方が無難かとも思われる。

焦点距離55mmで開放F値1.4の設定で撮る場合、全員にピントが合うようにそれなりに配置を指示しなければならない。あと開放で撮るので、パープルフリンジや収差の問題も出てくるが、使用していたレンズはOtusなのでその点は問題ない。お手持ちのレンズで収差などが気になる場合はF2.2くらいまで絞って撮るのがベストだろう。中途半端な背景のボケが嫌ならF8くらいまで絞って顔だけでなく衣装の隅々までくっきりシャープに撮れば良い。

まぁしかし、背景とそんなに距離が取れないようなスタジオでも、開放F値で背景をぼかして撮ると、主題であるメインの被写体が写真全体から浮かび上がって写真映えする。

背景がすぐ後ろにあるなら、絞って撮った方が良い

F1.4で撮影。
F1.4で撮影。

さて二着目に着替えて私服風の衣装を撮ることになった。今度は背後の壁にピッタリ寄り添う形で座りの写真。さっきの開放F値1.4での撮影に気をよくしたのか、そのままの設定で撮っていった。しかしよく考えてみれば、被写体のすぐ背後に背景があるのだから、大きくボケるわけがない。

白いプレートを持って後から加工で文字を書き足すというシーン。これは絞って撮った方が良いかなと聞いてみたが、別に構わないというので、F2.2で撮った。しかしやはりプレートがややボケてしまったので、文字入れ加工を考えると絞ってシャープに撮った方が良かったのではないだろうか。

あとはキッチンや部屋の装飾を生かしたワチャワチャとした写真だったので、F7.1やF8まで絞って撮っていった。やはりスタジオ内のワチャワチャ写真は絞って撮るに限る。誰かにフィーチャリングして撮るときはF2.2などでぼかして撮影した。

という感じでスタジオ内でどのF値で撮るべきが逡巡した一日だった。