先日、家庭科室(料理室)を借りてコスプレ撮影してきた。焼きたてじゃパンというパン職人のマンガのコスプレで、ただポーズを撮って貰って撮影するだけではなく、実際にパンを作りながらそのワチャワチャした過程を撮影するという、いつもとは一風変わった趣向のものだった。主宰はまだ20代前半の女の子だ。若いのになかなか粋なことをする。
通常、屋内ではストロボとアンブレラを使った撮影がデフォルトだ。ストロボがなければ撮影は成り立たない。ということはないのだが、トランスルーセントタイプのアンブレラを使ってストロボを炊かないと、肌が綺麗に撮れない。
試しにストロボなしで撮ってみたら、意外と綺麗に写った。肌に気になるような影も落ちていない。天井の蛍光灯が満遍なく灯っているせいだろうか。白壁も綺麗な透明感の溢れる白色で撮れている。
さて実際にライトスタンドを立ててみると、ストロボ撮影に不便であることに気づいた。室内には横に調理台が3台並んでいる。被写体から斜めに距離を置いてスタンドを建てようとしても、調理台が邪魔をしてほぼ正面からのストロボになってしまう。
実際に撮ってみたが、何かいつもと肌の写り方が違うような気がした。平坦な写り方をしているような気がして気になったのだが、でもコレはコレで綺麗だ。
今回はメンバーがパンを作っているところも撮っていくということなので、メンバーがめまぐるしく動く。それらをストロボを使って撮るにはいちいちライトスタンドの位置を変えなければならないし、被写体の位置によってはストロボの光が強く当たりすぎ不自然な写真になってしまう。
またストロボを炊いたら炊いたで、肌は綺麗に写るのだが、背景の白い壁が何だか黄色くなる。でもまぁ主役はレイヤーさんなのだから、レイヤーさんの肌が綺麗に写ることが第一かな。全体的な色味の雰囲気を優先するか、モデルの肌の写りを優先するか、悩むところではある。モデルさんに聞けば、今までの経験上、おそらく9割方は後者を選ぶだろう。
あとストロボを使って撮影する際の難点と言えば、アンブレラなどのライティング機材の映り込みだ。ロケ地などではどうしてもガラス張りの空間やガラス戸のついた家具などがあり、どかしようもないし、ガラス張りの空間や家具などが写真を素敵にする。今回の撮影でも食器棚が写真に良い味を与えているということで、背景にして欲しいと言われた。
最初は家庭科室の教壇の方を背景にして撮っていたのだが、白面積が多すぎてイマイチぱっとしない。ストロボを炊いたら炊いたで白のボードが白飛びして、後からパソコン処理で全体を明るくすると被写体と白飛びがかぶって余りよろしくない結果になる。
先述したように、調理台があるので、ライトスタンドを映り込みから隠せる位置に設置できない。壁のギリギリに置いたがそれでも写り込む。カメラの角度を変えて撮ると、集合写真が歪んでしまう。なかなか難しい。フォトショップで消すにしても、ごちゃごちゃとしてるから自然な感じでアンブレラの映り込みを消せるかどうか。難しい作業だ。
壁や天井が白いので、壁バウンスも試してみたが、イマイチだった。
今までの撮影で一番難易度の高い撮影の一つだったと思う。ISO感度を上げて撮るべきか、トランスルーセントタイプのアンブレラでストロボ光を透過して撮るべきか、自分としては五分五分といったところだ。天井に蛍光灯があるから、いっそ下から透過でストロボを当てるというのもありかとも思った。
他にもモデルの体で背後の映り込みを覆い隠すという手もあるが、構図に制限がかかってしまう。
苦肉の策として、縦構図にした。コレだとアンブレラの映り込みがない。とはいうものの映画のようにダイナミックに写したいので、横構図だって欲しい。ティルトシフトレンズを使えば、鏡に撮影者が写らない写真が撮れるとTS-17の説明書で呼んだ記憶があるのだが、標準レンズもなかなかの値段がするし・・・。
しかしレイヤーさんの可愛さには、ただただ舌を巻くばかり。この日はお菓子の差し入れを持ってきてくれた方もいて、皆で美味しく頂いた。疲れも吹き飛ぶ。
何だかんだ言いながら、皆で近くのスーパーに買い出しに行って、作ったパンやジュースを飲みながら、和気藹々と楽しんでいた。コスプレイベントや撮影は作品作りがメインで結構ぎすぎすした空気になることもあるのだが、この日はそんなこともなかった。昔の交流メインが主流だった時代のコスプレイベントに戻ったかのようだ。主催のゆゆさんに感謝。
この日撮った枚数は1000枚超。次の日朝から映画を観に行く予定だったので、1時間ですべてのデータの色味や明るさなどの現像をやって、朝にお渡しした。