写真の背景に不必要な人通りが写り込まないようにする9つの撮り方

人通りの多いイベント会場では、いかに背景の通行人を写り込ませないかが勝負となる。
人通りの多いイベント会場では、いかに背景の通行人を写り込ませないかが勝負となる。

太秦映画村やATC等のコスプレイベントを開催している場所では、コスプレ参加者だけでなく一般客も大勢いる。いかにして他の参加者や客を写り込まないようにして撮るかは、至上命題となる。

一つには、写真を撮るときは他の人が写り込まないようにしなければいけないという暗黙のルールがある。これは例えば撮影した写真をSNSやブログなどに掲載する際に、関係のない第三者が写り込んでいると、肖像権侵害の問題に発展しかねない。

インターネットのSNSやブログで、自分の顔や姿が映った写真を不特定多数に向けて公開されるのは嫌という人は大勢いる事だろう。万人が万人の公開している日常にアクセスでき、誰もが簡単に見ず知らずの他人に批評を加えることができ誰もがそれを閲覧することが出来る今のご時世、おそらくほとんどの人は自分の写り込んでいる写真が勝手にインターネット上にアップされるのを、プライバシーの理由から良しとしないのではないだろうか。

もう一つには、当たり前のことだが、他のキャラクターや一般客が写り込んでいると、写真が作品として成り立たない。撮影者やモデル側としては、こちらの理由の方が重要となる。

というわけで、いかに赤の他人を写真に写り込まないようにするかが問題となってくる。しかし撮り方ひとつ工夫すれば、大勢の人がいる場所でも、他人が写り込まないようにして撮ることは可能だ。今回はそのテクニックを紹介していきたい。

開放で背景を暈かして撮る

85mmの中望遠レンズで、F1.4の開放で撮影。
85mmの中望遠レンズで、F1.4の開放で撮影。

開放で撮れば背景が思い切り暈けるので、人が写り込んでいても気にならなくなる。上の写真は85mmの中望遠レンズ、F1.4の開放に設定して撮影した。黒い人物が背後に写っているが、何か分からないのでモブのように見える。

明るく撮る

背景を敢えて白飛びさせてみよう。
背景を敢えて白飛びさせてみよう。

敢えてカメラの設定を明るくして背景を白飛びさせることで、背景を飛ばしてしまう。そもそも逆光で撮ろうと思えば空は白飛びしがちなので、何ら問題ない。この場合もF1.4のような開放で撮ると良いだろう。

ローアングルで撮る

しゃがんで下から撮れば、人通りは写らなくなる。次の写真は、200mmの望遠レンズでF2.8の開放で撮影した。背景の群衆が暈けているとはいえ、観光客と分かってしまう。

立った状態で、正面から撮影。
立った状態で、正面から撮影。

そこでしゃがんでローアングルで撮ることにした。すると群衆が見事にフレームから消えた。

しゃがんで撮影。これだけで群衆がフレームから消える。
しゃがんで撮影。これだけで群衆がフレームから消える。

ハイアングルで撮る

200mmの望遠で撮影。
200mmの望遠で撮影。

モデルにしゃがんで貰って、上から撮る。道が背景になるので、当然人は写らない。背後の縦の赤い筋模様は、赤い着物を着た人が水溜まりに映り込んだもの。

ポートレート風にバストアップで撮る

ポートレート風に。おまけに85mmで開放F1.2なので、背景がキラキラに暈ける。
ポートレート風に。おまけに85mmで開放F1.2なので、背景がキラキラに暈ける。

バストアップで大きめに、ポートレート風に撮れば、背景に人は写り込まない。

モデルで隠してしまう

被写体で背後の群衆を上手く隠そう。
被写体で背後の群衆を上手く隠そう。

背後の人々をモデルの体で隠してしまう。作例のような4人の大型合わせだと、背後の人通りを隠しやすい。

広角レンズで撮る

広角レンズの遠近法を利用して、背後の群衆を小さくする。
広角レンズの遠近法を利用して、背後の群衆を小さくする。

広角レンズが紡ぐ遠近法を利用して、遠景の群衆を小さく写すことが出来る。作例は超広角の16mmでメインのモデルに思い切り寄って撮影した。右上に群衆が移っているが、レンズの周辺の解像度が悪いのも手伝って、見分けがつかない程度の写りになっている。

斜め構図で切り取る

構図を斜めにして上手く群衆を切り取った。
構図を斜めにして上手く群衆を切り取った。

構図を斜めにすることで、群衆を上手く切り取ってみよう。他の場合でも構図を帰る事で背後の群衆を切り取れる可能性がある。斜め構図にすることで写真にも動きを出すことが出来た。

タイミングを見計らって撮る

さて最後に注意点を一つ。コスプレイベント会場は皆が譲り合って利用する場所だ。たとえ他の参加者や一般客が写り込んでしまうからといって、そこをどいて貰うように指示するのはマナー違反に当たる。相手も不愉快な気分になるだろう。そこはぐっとこらえて、写り込まないアイデアをひねりだして、うまく撮るようにしよう。どんなに人通りが多い場所でも、人通りが途絶える瞬間がある。その瞬間を見計らって撮ってみるといいだろう。