明るさをアンダーで撮って白飛びを防ごう! 美しい人物写真を撮るための撮影法

白飛びしやすい撮影シーンはたくさんある。
白飛びしやすい撮影シーンはたくさんある。

デジタルはフィルムよりも白飛びしやすいと言われている。そして白飛びした箇所はRAW現像でも回復させるのが難しい。一方で黒潰れはRAW現像でシャドウ部を持ち上げれば、ノイズは出るものの階調を回復させることができる場合が多い。回復できるということは、実際には完全に黒潰れているわけではなく、人間の目には黒潰れているように見えるがデータがわずかに残っているということだろう。

以前、白飛びを抑えるために暗めに撮るという方法も念頭に置いておこうという記事を掲載した。

暗めに撮って白飛び写真を防ぐ -失敗写真を防ぐ撮影方法の1つの考え方として

これには確信があった。必ずそう撮らなければうまくいかない時がやって来ると。

窓のあるスタジオでレイヤーさんに窓のそばに立って貰った。衣装は真っ白のウエディングドレス。磨りガラスなので直射日光というわけではないが、外と内との明暗の差が大きくて、露出の調整に戸惑う。

顔を明るく白く写したいところだが、そうすると衣装が白飛びしてしまう。自作衣装でこだわりもあるレイヤーさんで、顔や衣装が白飛びしないように撮って欲しいという要望もあったので、気持ち暗めに撮っておけばなんとかなるかと思ったが、データを確認してみると気持ち程度では足りない。そこそこ暗く撮らないと白飛びしてしまう。経験上、黒潰れているように見える箇所はなんとか回復できるが、白飛びはほとんどどうにもならないことを知っているので、露出アンダーで撮っていった。レイヤーさんが顔の部分だけ明るく補正できると言っていたのも背中を後押しした。

白飛びしないように撮るには、露出をアンダー気味に振って撮るのが最も手っ取り早くて現実的だ。そして家に帰ってからRAW現像である程度明るく仕上げる。

さてもう一人の子。ウィッグが銀髪で白のカッターシャツ。白飛びしやすい。衣装を理想的な明るさ(適正露出)で撮ろうとすると、シャツの他に、顔、特に鼻の頭や頬の部分が白飛びしてしまう。かといって暗めに撮ると顔は白飛びしないが衣装が暗くなるというジレンマに陥った。いくら気持ち暗めに撮っても顔やシャツが白飛びするので大胆に露出アンダーで撮っていった。せめて窓に白い薄手のカーテンが敷いてあれば、ディヒューザー代わりになり、白飛びを防げたかもしれない。別のスタジオで陽光が差し込む窓で撮影した時は薄手の白いカーテンが引かれていたので、白飛びに悩まされることがなかった。

結局こういう明暗の差が激しい難易度の高い撮影シーンでは、RAWモードで大胆なくらい暗めに撮るのが最も適している。顔が綺麗に写るからと明るめに撮って、顔やウィッグや衣装が白飛びして、後から白飛びしないように修正して欲しいと言われてもほぼ不可能に近いが、白飛びを防ぐ程度に暗めに撮っておけば、後からRAW現像でいかような明るさにも持って行ける。ノイズに関しても、今回のようなシーンでアンダーで撮る場合はISO感度100で撮ることになるし、真っ暗な状態から回復させるのでもなければそんなに気になるほどのノイズも出ない、出たとしてもノイズ処理するのだからなんとかなる。初めから明るく撮って白飛びだらけの写真になるくらいなら、いろんな明るさに調整できる汎用性が高いデータを残しておくべきだろう。

この日は白飛びしないようにアンダー気味に撮っておいて正解だった。