スタジオの旨みを生かして撮る

京都下鴨茶論で撮影したコスプレ写真。

過去3回にわたり京都下鴨茶論で撮影したコスプレ写真を紹介してきたが、よくよく見るとこれらの写真、スタジオ名を隠したらどこで撮影したのか判別がつきづらいのではないだろうか。Twitterで良くバズっている写真はスタジオの内装全体を入れた超広角から広角あたりで撮影した写真で、今流行のフォトジェニック感溢れる風潮をコスプレ写真にも取り入れた趣があり、たくさんの♥&RTを集めているが、筆者が今まで掲載してきた写真は標準から中望遠の領域で背景を切り取った写真ばかりだった。これは要望に従いレイヤーさんがTwitterに上げて頂いた写真を使用しているためだが、もちろんこの日は超広角や広角の領域でも撮影した写真がたくさんある。そのうち1枚は筆者も大変気に入っているのだが、中華の内装が和風のキャラのイメージに合わないと撮影現場で言われたので、恐らくTwitterに上げられる事はないだろう。

今回紹介する写真も、スタジオの内装の全体どころか、むしろせっかくの尋常ではないほど豪勢な桜の飾り付けのスペースで寄りで撮影、しかも背景をボカした写真となるので、スタジオの旨みを全く考慮に入れていない撮影方法となる。

いつもの癖が出て「何処何処のように見えない」という撮り方をしたが、よくよく考えてみれば「この写真は○○のスタジオで撮った」と指摘して論う野暮な人なんていないだろうし、どのスタジオに限らず、またどのコスプレイベントに限らず、気に入ったスタジオやロケーションであれば、変化がなくともキャラを変え衣装を替え人を変え何度でも通って写真を残したくなるものだ。

何処何処で撮ったようには見えない写真に仕上げるという方法を採る理由として、人気のスタジオだと大勢が同じ場所で撮るので、パンフォーカスで撮るとどうしても何処何処のスタジオで撮ったという意識が鑑賞者側に働くという想定が、あくまで撮影者側にあるからだ。しかしながらこのようなスタジオで撮る理由は、カメラマンなら「自分もこんな豪華なスタジオで撮ってみたい」、モデルなら「このスタジオで写真を残したい」という思いの方が俄然強いから、前から撮りたかったスタジオで正直こんなに切り取った写真ばかり撮っても良いものか、広々と撮った写真を残して楽しんだ方が良いのではないかと、超広角でなかなか絵が決まりづらかったので標準レンズで撮っていったことに逡巡してしまうほどだった。つまり写真にオリジナリティを出すよりも、こういうスタジオで撮りたい、作品を作りたい、写真を残したい、という夢を叶えてくれる場所でもあるわけだから、やはり広角や魚眼レンズを使って撮った方が良かったかなと思えてきたのだが、結果的にそうならなかったし、Twitterに上げて貰った写真も広々と撮った写真はなかった。

という事で超広角で撮った写真は個人で楽しむとして、今回は背景をボカした写真について解説していきたい。○○のスタジオで撮った写真のようには見えない、という話は随分前にも何度か記事にしているが、今回は少し視点を変えて話していく。(全文:3,000字)

今回の撮影で使用したレンズ