エヴァンゲリオンとJR西日本とのコラボ企画、500 TYPE EVA PROJECTが遂に2018年5月13日にラストランを迎えるということで、これは終了してしまう前に写真に収めておかなければとJR新神戸駅に行ってきた。
新世紀エヴァンゲリオンといえば、1995年にテレビ放送され当時社会現象にもなった。僕自身もエヴァに熱狂しその現象を肌で直に感じ取っていた内の一人で、あの頃はインターネットも普及しておらず、実際に映画館やイベントに足を運んだり、新聞やテレビなどから他者の熱気を感じ取るしかなかった。2年後に劇場版が公開され、人類補完計画という謎に満ちたTV版第弐拾五話・弐拾六話の終わり方に一応の終止符が打たれ、ファンの熱も冷めていったが、それから10年後の2007年に、リビルドという名目を掲げてヱヴァンゲリヲン新劇場版全4部作の第1部が公開されることになる。2007年、2009年、2012年と3部までは順調に公開されていったが、ラストの4部は3部が公開されて6年経った今も、まだ公開にこぎ着けていない。その間、2016年夏に、同じ庵野秀明監督の集大成とも言えるシン・ゴジラが公開され大ヒットを記録した。煮詰まった作家が息を抜くようにのびのびと背を伸ばして自分の好きな物を好きなように書いたかのような、庵野秀明の要素がめいいっぱい詰まった素晴らしい作品だった。
新劇場版が公開される前に、インターネットの掲示板かどこかで、ネタで新劇場版のポスターを描いたファンがいて話題になったが、新4部作の制作が決まったというニュースを聞いたときはまさかホントに?と思ったものだった。
新劇場版に併せてエヴァストアなども開設され、グッズも豊富に出てきて、EVA展やJR西日本との新幹線のラッピングコラボ企画なども出てきて、その人気は衰えることがない。
しかし1995年から97年当時のあの若い熱狂と比べると、僕自身は新劇場版に対しては醒めてみている方で、やはり年齢的なこともあるのだろうか、最も感受性の激しい刺激的な年頃に見たエヴァと、色々と落ち着いてきた頃に見るヱヴァとでは、受け止め方も異なってくるのだろう。テレビ版は当時の若者の時代精神に合致していて良い流れが出来ている感じだったが、新劇場版はリビルドと銘打っているとはいえ、やり直しであり、なぞりであり、バラバラにしたブロックを無理に組み立てているような感があり、新展開もどうも煮詰まっている感がある。旧劇場版前などは監督も同人作家のエヴァ解釈本を熱心に読んでいてらしく、やはり同じ作品に対する熱量が違うのだろうか。とは言っても第3部Qの冒頭部にスタッフから用意された様々なご馳走は、ふしぎの海のナディア以来のファンとしてはとても嬉しい仕掛けで、劇場内で驚喜したのだった。
シン・ゴジラが公開されて劇場で庵野監督の真骨頂に魅せられてしまったので、新劇場版ヱヴァのことはしばらくは頭の中になく、たまにツイッターなどで新作画が公開されたという公式からの報告で思い出す程度だったが、エヴァ新幹線の方があと1ヶ月足らずでラストランになるということで、写真も趣味にしている身としては、記念に撮っておきたかった。
乗ってみたいとも思うのだが、西日本の観光地に行く予定も特にないし、旅費も春の13日間撮影旅行で使い果たしてしまったので、どうしたものか。せめて写真だけでも撮っておきたい。幸いJR新神戸駅は家から近いので、朝から足を運んでみた。
公式サイトから時刻表を確認すると、午前10時59分に新大阪行きの上りが、11時42分に、福岡の博多行き下りが折り返しやって来て出発する。つまり撮影機会は1日にたった2回しかない。鉄道写真なんてまともに撮ったことがないから、とりあえず本1冊ダウンロードして予習してみたが、マナーに関しては分かったが、撮り方に関しては場所や車両によって違うだろうし、頭に入ってこない。
鉄道写真を駅のホームで撮るときのマナー
マナーをサラッとおさらいしておこう。
- 駅構内の三脚・一脚禁止。
- フラッシュを光らせない。
- 白線の外側に出ない。
- ホームは走らない。
- 乗客に向けてレンズを向けない。撮らない。
- 混雑時は場所を占有しない。
大体こんなところだろうか。三脚・一脚禁止、フラッシュを光らせないというのは、鉄道写真を撮ったことがなかった僕としては知らなかった注意事項で為になった。後は日常生活の上でもごくごく当たり前のマナーだろう。
JR新神戸駅へのアクセス
JR新神戸駅へは、神戸市営地下鉄を利用すると便利だ。JR三宮駅北口を出てすぐに地下へと続く階段がある。それを下ると神戸市営地下鉄。初乗り運賃は2018年4月現在で210円。一駅北の新神戸駅に行くだけ。そこから構内を歩き、エスカレーターを何度も登れば新幹線専用駅のJR新神戸駅へ辿り着く。
新神戸駅について思ったのが、新大阪駅と建物の雰囲気が似ているなと。そりゃ同じ時代に同じ目的で最先端の技術と流行で建てられたのだから似ていて当たり前なのだろうが、広いガラス窓といい、その外に展開しているロータリーといい、子供の頃に見た図鑑のように近未来的で、敗戦後、新生日本が光り輝く明るい未来に向かって幕開けしていく意気込みのようなものを感じさせる。今となっては年代の空気を吸い込み古ぼけているのだけれど。
自動販売機で切符を買う。はじめはどの切符を買えば良いのか分からなくて初乗り切符を買う必要があるのかと思ったが、構内入場のみの140円の切符を買うと良い。画面では右下のボタンだが、時代が移ればデザインも変わるだろうから、現地で確認して欲しい。
エヴァ新幹線を撮影!理想的なカメラの設定を追求する
今回の使用カメラはCanon 5DsR。使用レンズはCanon EF400mm F5.6L USMと、Canon EF200mm F2.8L USMの2本。
東京方面と鹿児島方面、どのホームから撮影するか。移動するのも面倒くさい。まずは新大阪行きが来るので、東京方面の北のホームに出てみることにした。トンネルから出てくるだろうから近くまで行き、練習がてら撮ってみると、白い新幹線が凄く白飛び。事前にブログで検索して、ISO感度1600・F値5.6、シャッタースピード1/500秒などカメラの設定を参考にしてみたのだが、やはり自分の頭で考えた方が良さそうだ。あと、トンネルから出てホームに辿り着くまでの間が、とても太陽が当たる区間なので、白飛びしやすい。設定はISO200・シャッタースピード1/1000秒、F値5.6-7.1としてみた。
走る電車に関しては1/1000秒がブレずに撮れる理想値と言われているが、今回は手ぶれ防止機能がついていない400mmの超望遠レンズということもあり、結果的に1/1000秒となった。トンネルから出てホームへ向かう新幹線は減速気味なので撮るのは比較的楽だろう。
しかし場所が悪かったのか、どうも決まらない。「新幹線の写真を撮りました」という感じ。こう、トンネルからヌッと顔を出す正面からの迫力のようなものが足りない。
しかし向こうのホームに行くのもなんか面倒だし、エヴァ新幹線を撮れるのは1日に2回しかない。とりあえず今日はこのホームで粘って、なんとか答えを導き出してみよう。
ホームは柵で区切られており、等間隔で設置されている自動ドアが、新幹線が到着した際にのみ開く。新幹線到着時に柵の中に入ると取り残されそうなので、この柵から向こう側へは出ない方が良さそうだ。
ホームに停車中の新幹線を暗めに撮ってみた。
トンネルを出たときは太陽が当たり、ホームに停まっているいるときは太陽が遮られるので、それぞれ明るさが異なる。新幹線の位置に応じてカメラの明るさの設定を大胆に変える。
ホームの端の方、乗客の流れに巻き込まれない場所に陣取っていたのだが、端の柵が写り込むし、400mmの超望遠レンズだとちょっと近すぎるかな、新幹線が切り取られちゃうかなと、トリミング前提でこの日もう1本持ってきていた200mmの望遠レンズに付け替えていよいよやってくるエヴァ新幹線を撮影する。
実際にあの暗いトンネルからあと少しで待望のエヴァ新幹線がやってくるのかと思うと、胸もドキドキでああやってきた!シャッターシャッター!と押していたら、肝心のAFボタンを押すのをド忘れていたので何枚かはピントが合っていなかった。
ホームに停まっているところも撮ったが、ちょうど新幹線の鼻の先だけ太陽が当たるような感じで、輝度差が激しく、露出設定に迷う。暗めの露出設定の他に、白飛び覚悟で全体も写る設定にもしてみた。
さて次はホームの反対側の端のトンネルへ向かう。ところで新幹線を撮るときは、どのようなカメラの設定が良いのだろう。鉄道写真撮影本はAmazon Unlimitedで1冊読んでいたけど、流し読みだったし、ど忘れしててしまった。例えば露出は絞り優先AEがいいのかマニュアルが良いのか。JR新神戸駅だと、トンネルから出る前、トンネルから出たところ、トンネルから出た後、それぞれ被写体の明るさが違う。他の人のブログでは自動設定にしていたら暗くなったと書かれていたので、1日2回で車体の色や明るさによって自動露出での明るさも異なってくるだろうし、マニュアルで撮った方が良いかとお得意のMモードに。
AFはワンショットAFからAIサーボAFに切り替えた。AFボタンを押し続けていれば、動き物の被写体に対して勝手にピントを合わせ続けてくれる。AFボタンを押し続けながらシャッターを切るだけなので楽だ。普通のAFだと動く被写体にピントを合わせようと何度もAFボタンを押し直さなければならない。ただ測距エリア選択はスポット一点AFで中央に。広い範囲のAFに変更した方が良かっただろうか。動きものはあまり撮らないので、最適な測距エリアや、AIサーボAFの特性をどれを選べば良いのか判断がつかない。このあたり、まだ未開の森に踏み込む前のイメージ。測距エリアに関しては61点自動選択AFを選んだ方が良かったのではないかと思われるが、フレームいっぱいに新幹線も入り込むし・・・。
何度もやって来る白い新幹線を練習台にする。次の写真の上二枚はトリミング。初めて撮るジャンルで構図も難しい動きものの写真ではトリミングが威力を発揮する。
やはり200mmよりも400mmの方が近くに引き寄せて迫力のある絵が撮れるからということでレンズを付け替え、いよいよ再びエヴァ新幹線がやって来る。
しかしどうも今回は撮影場所を間違えたかなと。南側のホームで、新幹線の頭が真正面に収まるような位置で撮れば良かった。それがどこかは次回の撮影時に試してみないと分からないが、あるいはもっと短めの標準か中望遠の50mm-85mmくらいの焦点距離のレンズで、ホームの端の柵まで近づいて間近から撮ると良いのかもしれない。それか超望遠レンズでホームの中頃か、となると他の乗客と紛れることにもなりかねない。まぁ乗車口である自動ドアは等間隔に空いているから、ぶつかることはないだろうけれど。
トンネルから出てきたエヴァ新幹線を捉えた後、ホームに佇むエヴァ新幹線も後ろから狙う。
とりあえず今日はこれくらいで良いだろう。後1,2回、ラストランを迎える前までに訪れたい。先日訪れた梅小路公園と隣接する京都鉄道博物館でも「500 TYPE EVA展」を開催しているので、足を運んでみようと思う。
JR新神戸駅でエヴァ新幹線を撮影したときの今回の設定
- マニュアルモード
- AFモード:AIサーボAF
- 測距エリア:スポット一点AF
- シャッタースピード1/1000秒
- F値:5.6
- ISO感度:200