野外で撮影するときはストロボを使うこともあるが、今回開催されたコスプレイベントで訪れた住友セメント工場跡地という場所が広大な敷地で、フォトジェニックな写真が撮れる場所でもあった。そこで初めてクリップオンストロボでの限界を感じるシーンに出くわした。
自然光で撮れば良い感じに撮れるし、ストロボがなくても撮れることは撮れるのだが、やはり逆光撮影時の空との露出の兼ね合い、すなわち空に露出を合わせると人物が暗くなり、人物に露出を合わせると空が白飛びするという問題の他、F値を10くらいまで上げてカリカリの格好いい写真を撮ろうとするなら、ストロボ光を被写体に当てる以外に方法がない。モデルと空が双方とも適正露出で撮れる日中シンクロで撮りたくなる。
Canonのクリップオンストロボ600EX-RT2台をソフトボックスに取り付けて撮影する。問題は紗幕を通すと光量が落ちる点だ。日中シンクロで撮る際には、F値を大きく上げてモデルの背景や空模様などをハッキリと描写したいという欲に駆られるから、適正な光量が足りなくなる。そこで足りない光量を補うためにソフトボックスをモデルに近づける必要性が生じるのだが、そうすると構図が限られてくることになる。モデルの右側にあるソフトボックスをモデルに近づけると、ソフトボックスの写り込みを避けるためどうしても構図を左側に寄せなければならない。モデルの左側にスペースが空く構図になってしまう。
例えば圧縮効果を狙って望遠レンズを使って撮ると、背景が暈けすぎるからF値を8から11くらいまで上げたい。ストロボの明るさは小さくなる。ストロボの明るさを上げようと思ってISO感度を上げようとすると今度は空が白くなるからそんなに上げられない。ソフトボックスを近づけるしかない。ソフトボックスが写り込むからカメラを左に向ける、すなわちフレームを左に移動する。モデルの左側に大きくスペースの空いた構図の写真に仕上がる。モデルを中央に添えた写真を撮る事が出来ない。
というわけでモノブロックストロボよりも光量が小さいクリップオンストロボの限界を感じた。
他のカメラマンはモノブロックストロボを持ってきていたようだ。しかしあれはバッテリーが必要だし荷物が嵩張る。プロフォトのB1Xのようなコードレスのフラッシュが欲しいが、高価だし、野外の唐突な風でライトスタンドが倒れたら破損するだろうからアシスタントが1人欲しいが、趣味の撮影でアシスタントを雇う余裕はないしでなかなか踏み切れない。
最近コスプレ撮影界隈で噂のゴドックスAD200はどうだろうかと検討を始めた。Canon 600EX-RTよりも光量が大きく、ストロボ本体の値段も実売価格36000円程度とキヤノンよりも2万円ほど安い。最大出力200Wsで重さがわずか560gとある(キヤノン600EX-RTは425g)。ガイドナンバーを見ると、スピードライトヘッド:ガイドナンバー52(ISO100・m/@35mm)・フラッシュチューブヘッド:ガイドナンバー60(ISO100・m/@28mm)とあり、照射角200mm設定時、ISO100・mでガイドナンバー60のキヤノンよりも確かに明るそうだが、付属品がゴチャゴチャと記載されているし、トランスミッターはどれだのと、どうやって使えるのかイマイチよく分からない。
プロフォトのB1Xは最大出力が500Ws。スピードライト10台分の光量と銘打っている。他のストロボと比べ演色性により優れているのだろうか。後はストロボの発光部分が長方形の形をしているよりも丸い方が良いらしい。これらの点を合わせるとプロフォトB1Xは野外で撮影するのに打ってつけだ。あとは値段とライトスタンドを設置したときの転倒リスク、持ち運びに関する問題だ。
今まではフォトジェニックなロケ地で日中シンクロを使ったコスプレ撮影をすることがなかったから、フラッグシップスピードライトの光量で満足していたが(それでも野外・スタジオ共に光量不足の不便さは痛感する事が何度かあった)、今回素晴らしいロケ地に訪れて撮影することができ、光量の大きいモノブロックストロボへの欲が出てきた。大光量のフラッシュがあれば、撮影が楽になるしイメージ通りの写真を撮る事が出来る。