紫陽花を背景にした人物写真をストロボを使って撮る方法

紫陽花を背景に撮る人物写真。

レイヤーさんにお誘い頂いて、余呉湖のコスプレイベントへ遊びに行ってきた。滋賀県は琵琶湖の北端にあるやや大きめの湖で、少し北へ行くと福井県敦賀市があり、日本海に近い。車から降りると緑萌える低い山々が左右にどこまでものびのびと横臥し、近くには飾り気のない田舎の線路が走り、長閑な田園風景が広がっている。左の車窓から賤ヶ岳の看板が目に付いたから、この辺りで秀吉を天下人たらしめたあの賤ヶ岳の合戦が戦われた事になる。羽柴秀吉が岐阜大垣からの大返しで、中入りを敢行し勝利に湧いていた佐久間盛政を打ち破り、その後前田利家の離反もあって総崩れとなった一連の戦いに思いを馳せた。有名な賤ヶ岳の七本槍や早年の石田三成などが武功を立てた戦もであるが、そちらの方はなぜか余り意識にのぼらなかった。

イベントの拠点となっている余呉湖観光館の二階に入ると、昨日京都の美術館のチェコ展で見た椅子とソックリな人間工学に基づいた設計の椅子がいくつか置かれていて、腰を下ろしてみると体が包み込まれるようでとても座り心地が良かった。背の後ろには昭和の時代の古いガラスケースが在る事に気づき、鷲のマークで飾られた何かの大会の顕彰の楯と余呉町の素朴な憲章をしたためた額縁が遺物のように収められていてガラスの囲われた空間だけ時が止まっているかのようだった。この記事を書くにあたり調べてみるとこの余呉町は既になく、2010年に他の周辺の町と共に長浜町に編入されたとの事だ。

イベントの主催はラコロール、関西一円で文化遺産を舞台にしたコスプレイベントを良心的な低価格で開催している、長い実績のある団体で有名だ。余呉湖での紫陽花イベントは計6回ほど開催されていたみたいで、泊まりのイベントも提供されていた。

着替えが終わりレイヤーさんの車でイベントの現場へと向かった。湖をぐるっと回ると紫陽花が咲いている箇所が開けて、駐車場も幾つかあったがほぼ埋まっていた。コスプレイヤーや観光客の姿がチラホラと見える。道端に生け垣のような紫陽花、湖の前にも紫陽花畑。車でゆっくりと道沿いの紫陽花を愛でているのか、それとも細い道で余りスピードも出せないのだろう。イベントの終盤に帰ってくると、溝に車のタイヤが填まって抜け出せなくなりレッカー車騒ぎとなっていた。その一点を除くと全般にわたり平和で穏やかな空気が流れていた。

車を止めて早速撮影していく事にした。今回の記事では道沿いの紫陽花で撮影する時の模様を、ライティングの試行錯誤を中心に解説していきたい。(全文:5,300字)

今回の撮影で使用したレンズ