Canon EF24-70mm F4L USMの魅力を再発見してからというもの、ズームレンズのその利便性と、Lレンズ故の描写の美しさに惚れ惚れとしてしまった一方、単焦点レンズを使うべきか否かという原初的な命題に行き当たった。
当該ズームレンズは実売価格12万円、片や今まで頻繁に用いていたOtusシリーズは55mmが40万円、85mmが50万円もする高級レンズだ。キヤノンの方も高級レンズではあるが、格が違う。果たしてOtusを用いないことは、綺麗な写真を撮るという意味で機会損失に当たらないだろうか。
ズームレンズの利便性は捨てがたい。24-70mmの焦点域は、人物撮影には広角から中望遠までの必要とされるすべての表現をカバーしている。
最近撮影したデータを色々と見返してみたが、白ホリゾントで撮影した人物写真は、ズームレンズがとても活きていると思った。白ホリゾントで単焦点で撮影した場合、同じ画角となり構図を捻らなければならない。しかし55mmの標準レンズでひねり出せる構図は限られてくる。しかも背景が真っ白な白ホリである。
85mmは更に凝った構図を導き出すのが難しい。背景に何か色々とあれば良いのだが、何もない白ホリでは、思い浮かぶ構図が限られてくる。距離が撮りにくい場所では85mm発変えないから候補から外すとして、55mmの標準レンズでさえ、真っ直ぐ撮りたい場合にはうってつけだが、白ホリゾントでは背景の情報量がないに等しいため、バリエーションが限られてくる。
そこへ行くとズームレンズは白ホリゾントでも様々な表現が楽しめる。モデルが1つポーズを撮る度に、広角、標準、中望遠の3つの表現が可能だ。そこから更に斜め撮りなども入れれば、構図のバリエーションの可能性は大きく広がる。
Otusは高コントラストに加え、その暈け味も魅力となっている。しかし白ホリゾントでは、それらの長所を生かし切ることが出来ない。何せ背景が真っ白なのだから。白ホリゾントで開放で撮ることはまずない。被写体がクッキリと写らないし、背景がないのだから何のメリットもない。上から開放で撮るとしても、目だけにピントが合い、顔の周りが暈けすぎてしまい中途半端な絵になる。白ホリでは絞って撮るのが王道だ。
といいつつ、Otusで撮ることも忘れない。
しかしこの日の白ホリ撮影では、ズームレンズをメインで使うことにした。
一方、アイドルのキラキラゾーン。こちらではOtusの描写力が生きてくる。何せ背景がキチンとあるから。85mmの開放で暈かして撮るのが至上の喜びである。正面からの撮影だから、F1.4の開放でも人物は暈けていないし、その上背景はきっちり綺麗に暈けている。何よりモデルの魅力が生き生きと伝わってくるその描写力は圧巻だ。
人物撮影では比較的出番が少ない24mmの単焦点も上から撮るとモデルの体を綺麗に収めてくれるので良い。
白ホリゾントではズームレンズ、背景のあるところではOtusと使い分けていくことになりそうだ。