千里川土手は大阪国際空港(伊丹空港)に着陸する飛行機を撮影できる人気スポットである。著名な航空写真家のルーク・オザワ氏も撮影で訪れたことがあるという。
先日その千里川土手で初めて飛行機を撮影してきた。いつもの重装備のコスプレ撮影とは違い、また初めて行く場所でもあるということで、動きやすい軽装備で行こうと、三脚も脚立も持たず、レンズ3本で行ってきた。普段滅多に使わず防湿庫に眠っていた魚眼レンズ、16-35mmF2.8の超広角ズームレンズ、マニュアルフォーカスのみの55mmF1.4の単焦点レンズの3本だ。昼から日が暮れるまで撮影してきて、千里川土手で重宝するだろうレンズについて見えてきたので、紹介していきたい。
超広角ズームレンズ
千里川土手では、大阪国際空港に着陸する飛行機を間近に見ることが出来る。これだけ間近に迫った飛行機を撮るためには、50mmの標準レンズでは余裕でフレームアウトしてしまうので、広く撮れる広角レンズが必須だ。
以下はフルサイズの5DsRに17mmの焦点距離で撮影した。それでもフレームいっぱいに写っている。
ズームレンズであればなお利便性が高まる。始めはテレ端(筆者が使用したレンズの場合は35mm)で引き寄せて撮りながら、間近に迫ってきたタイミングを見計らってワイド端(16mm)に変えて撮る。更に頭上を飛び抜けて遠ざかっていく際にはテレ端に戻して撮る、といった軽業師のようなテクニックで臨機応変に撮ることも出来る。
魚眼レンズ
丸い歪みを伴わせて撮影できるレンズ。実際に作例を見て貰った方が早いだろう。
被写体の配置によっては歪みが不格好に見えるので使いこなすのが難しいレンズだが、決まると他のレンズでは撮れない写真を収めることが出来る。
特にキヤノンの魚眼レンズはF4の為、開放からシャープな写りを見せてくれる。ポートレートやコスプレをメインで撮影しているため、滅多に出番のない魚眼レンズだが、性能が優れているので、いざ持ち出した時には使っていて楽しいレンズだ。
望遠レンズ
千里川土手において、飛行中の航空機の正面の勇姿や横腹、後ろ姿を撮りたい場合は、望遠レンズが威力を発揮する。50mmの標準レンズや85mmの中望遠レンズでは足りない。5DsRのような5060万画素の高解像度デジカメで撮影してトリミングすれば何とか大きく写っている写真になるだろうが、やはりここは航空機撮影の定石である望遠レンズを持ち出したい。
標準・中望遠レンズ
離陸直前の飛行機をフェンス越しに狙おうと思ったら、50mmの標準レンズや、85mmの中望遠レンズが役に立つ。滑走路を広く収めることができ、かつ飛行機も大きめに写せる。
カメラ
1秒間に10コマ以上撮影できる連写性能に優れたカメラをお薦めする。キヤノンならフラッグシップ機の1DX MarkⅡや、APS-C機の7D MarkⅡなどがお薦めだ。連写性能に優れていなくても撮れるが、優れている方が良い写真を撮れる確率が格段に上がる。
1秒間5コマの連射では、間近に迫った旅客機を捉えるには、少し物足りなさを感じた。超速で頭上を左右へと飛び去っていくから1秒間5コマの連写では、そんなにたくさん撮ることが出来ない。連写でも結構間合いが空いた写真になる。想像していた以上に飛行機が飛んでいくのが早かったので、連写性能に優れたカメラが威力を発揮することだろう。
望遠で撮る場合は、APS-C機の疑似望遠効果が活きてくる。200mmの焦点距離のレンズで撮影しても、フルサイズ機と比べるとフルサイズ換算で1.5倍(キヤノンは1.6倍)の360mmの焦点距離で撮ったのと同じ大きさとなる。
もちろんフルサイズでも、パソコンでトリミングしてしまえば疑似望遠効果が演出できる。ただしASP-C機とフルサイズが同程度の画素数の場合、トリミングした写真は、ASP-C機よりも小さめの画素数になる。
二台のカメラでレンズ交換の手間を省く!
カメラ二台持ちなら、それぞれに超広角ズームレンズと望遠レンズを取り付けて、望遠で狙った後に超広角のカメラに取り替えて撮り、頭上を飛び抜けたら望遠のカメラに持ち替えて撮るという軽業師のような撮影も出来る。
また二つの航路に交互にやってくるので、一挙両得でたくさんの飛行機写真を撮ることも可能だ。とにかく連写性能に優れたカメラをお薦めする。