女の子っぽいキャラを撮る時はどのF値で撮るのが最適か、いつも迷う場面だ。背景を思いっきり暈かせる野外ならF1.4~F2.2辺りが最適だろう。開放で撮るとどうしても収差が描写力を陰らせるので、ピントの歩留まりを担保する上でも、F2.2という選択を取りがちとなる。
一方で背景を暈かせないスタジオでの撮影は、もう少し絞った方が良い。背景が暈かせない=被写体との距離が取りづらい、という公式が成り立つので、F1.4やF2.2の設定でモデルのいずれかの部分が暈けてしまう恐れもある。
とはいっても女の子っぽいキャラの撮影で余り絞って撮ると、解像力が強すぎてクッキリと写しすぎる恐れもある。今回は55mmの焦点距離で全身が何とか入るくらいの距離しか撮れなかったので、F3.5で妥協してみた。
瞳もクッキリ、衣装もクッキリ、可愛い背景もF3.5まで絞ることでシッカリ写す。そういえばこのキャンディーの背景、日本橋コセットにあったやつだ。ハコアム大阪の改装に伴い移転してきたっぽいけど、ようやく理想的に撮れた。
単焦点レンズにこだわる理由
単焦点レンズにこだわる意味は、やはり写真が綺麗に撮れるからだ。最近のズームレンズは単焦点レンズと大して描写力変わらないんじゃなかったの?と言われるかも知れない。確かにその通りで昔のズームレンズは単焦点レンズに比べると描写力が劣っていたらしい。らしいというのは僕自身その時代のズームレンズの描写力を知らず、往年のカメラ愛好家やプロが口を揃えて言うので、おそらくそうなのだろうという事だ。
さてでは描写力がそんなに違わないのに何故単焦点レンズにこだわるのか。そこには双方のレンズの開放F値のカラクリがある。単焦点レンズはレンズ構成に無理がないので明るいレンズを作りやすい。だからF値の小さいレンズが存在する。一方でズームレンズは複雑なので単焦点レンズと比べると開放F値が大きめになる。
開放F1.4のレンズと、開放F2.8のレンズが手元にあるとしよう。今回のように少し絞って撮りたい場合、例えばF2.8まで絞って撮りたい場合、開放F1.4のレンズなら2段絞ることになる。一方で開放F2.8のレンズは開放F値で撮ることになる。当ブログをいつもチェックして頂いている読者ならもうお分かりかも知れないが、開放F値に設定して撮ると、軸上色収差、パープルフリンジ、周辺光量落ちなど、様々な収差(レンズの描写性能の欠点)が発生して、写真の描写に悪影響を与える。解像感も最高とは言い難い。しかし2段絞るとレンズの本来持つ性能を発し、解像力が良くなると言われている。
つまりF2.8で撮る場合や、今回のようにF3.5で撮る場合、開放F値が小さくて、絞りに余裕のあるレンズを使った方が、同じ小さめのF値の設定でも綺麗に撮れるという理屈になる。だから今回のようなF3.5のような写真の解像感を考慮に入れようとするなら、単焦点レンズを選ばざるを得ない。F3.5といえば安いキットレンズの開放F値でもある。キットレンズを使ってそのF値で撮れば、おそらくその描写力は単焦点レンズよりも劣っているはずだ。
だから画質にこだわるなら単焦点レンズを使うと良い。キヤノンからは焦点距離50mmF1.8の撒き餌レンズが実売価格14000円前後で発売されている。キットレンズよりも素晴らしい描写を実現してくれることだろう。