コスプレ写真を撮り始めた頃の自分の写真を見ると、まだまだこの頃はカメラの描写性能や設定に関する機能に頼りっぱなしだったなぁと頭を抱えたくなることがしばしばある。今から2~4年前に撮った写真に、そういった失敗写真とまでは行かなくても、やや未熟な撮り方をした写真が散見される。
ここではもっとこう撮っていれば綺麗に撮れたとか、このカメラの設定ならちゃんと撮れていたとか。しかしこうして様々な写真データを見返してみて、まぁ及第点はクリアしているなと思えるのは、やはりカメラがフラッグシップ機のフルサイズ1DXだったり、使っていたレンズもLを戴いた高級なズームレンズや単焦点だからだろうか。腕の未熟さはカメラやレンズの性能でカバーできていたのかも知れない。
もしこの時こういうことを知っていたら、もっと綺麗に撮れていたのに!と色々思うことがあったので、これから述べることを反面教師として撮影に活かして頂ければと思う。
ピクチャースタイルがニュートラルになっていた
ピクチャースタイルをニュートラルにしていた理由は、JPEG撮って出しでも、後からPhotoshopなどで色味加工をしたい際に一番無難な色の写真がベースとなるのでレタッチがやりやすいという理由からだろう。
しかし筆者はRAWで撮っているから、後からRAW現像でピクチャースタイルは如何様にでも変えられるし、ポートレートやコスプレ写真は色味があった方が良いので、初めからスタンダードを選んでおけば良かった。
ニュートラルにすると、コントラストが弱くなり、色味も薄いので、人物写真にはお薦めできない。その場でモデルに見せた場合でも、満足してくれない可能性もあるので、ピクチャースタイルはスタンダードで撮ろう。
集合写真を撮る時に、F値の設定が小さい
9人のラブライブ!併せの時に、3段に並んで貰って集合写真を撮った。一番前の列の子にピントを合わせていたのは正しいが、一番後ろの列のピントが緩くなっていた。
F値は5.6。このF値では全員にピントを合わせるには、低すぎる。せめてF7.1やF9くらいまでには上げたいところだ。明るさが足りなければ、ISO感度を上げてやれば良い。
広角レンズで撮ってしまい、モデルの顔が極端に大きかったり歪んだりしている
24mmの焦点距離というのは、人物写真を撮る場合には扱いが難しい。広角レンズの描写の特徴を知っていないと、不自然に頭が大きくなったり歪みの激しい写真になってしまう。
24mmの焦点距離で撮る時は、人物の顔をなるべく中央に置くように心がけよう。もしデフォルメ表現を求めるのなら、脚立に昇って上からの煽りで撮るのもアリだろう。
開放F1.2で撮影したモデルのピントが甘い
そもそもF1.2という設定でピントを合わせるのはAFでも至難の業なのだが、やはりここはキッチリと合わせたいところ。慌てず1枚1枚慎重に、丹精込めて撮るようにしよう。
等倍で見ると手ブレが気になる
手ブレしないシャッタースピードを常に意識するようにしよう。50mmの焦点距離で撮るなら1/125秒、ポートレートレンズといわれている85mmなら1/160秒、200mmの望遠レンズなら1/320秒以上のシャッタースピードで撮ることを心掛けよう。
後は脇を締める、しゃがんで両膝に両肘を乗せて撮る、壁に肩を持たれて体勢を安定させるなどの手ブレ防止策もある。
矢継ぎ早にパッパッパッと撮ると、リズムは良いだろうが、手ブレしがちなので、なるべく静止した状態でゆっくりと撮るようにしよう。
野外の撮影でモデルが眩しそうなしかめ面で、顔の描写も硬くてテカっている
晴れの野外で順光で撮ると、モデルが眩しくて顔をしかめてしまい、表情も作りにくい。また顔の写りが硬くテカテカになる。
モデルの背後に太陽が位置するように撮ることで、モデルも目の眩しさから解放され、更には髪の毛が神々しい光を放ち、美しい写真が撮れるようになる。
逆光はピント合わせが大変だが、どうしても合わない場合は、一度陽光を外してからピントを合わせて、フォーカスロックで構図を変えるか、ライブビューで撮る、もしくはマニュアルフォーカスに切り替えて撮ると良いだろう。
野外撮影で、顔に強い影が落ちている
ピーカン(晴れの日)の真っ昼間に野外でポートレートを撮ると、太陽が真上にあるために、モデルの顔に強い影が落ちてしまう。太陽の光を遮る日陰で撮るか、季節に寄るが撮影時間を太陽が傾く昼の3時以降に撮影したりすることで対処できる。季節によって太陽の位置は異なるので、その季節の折々に最適な太陽の位置を見極めたいところだ。
最も絵になるのは夕暮れ時の撮影だ。どの角度からでも撮りやすい。更に日が昇る前と日が沈んだ後の数十分はマジックアワー(ゴールデンアワー)と呼ばれていて空が多層的なカクテルのような色、または黄金色になる。ただしポートレートを撮る場合は暗いので、ディヒューザーを取り付けたストロボが必要となる。更に時間が過ぎるとブルーアワーになる。空が青く映る時間帯だ。
曇りの日も撮りやすい。雲そのものがレフ板の役割を果たし、どこから撮ってもモデルの顔に影が落ちずに綺麗に写る。ただ太陽がないためにドラマティックな演出性には欠ける。手っ取り早いのは一つ前の項目で述べたように逆光で撮ることだろう。逆光で撮れば大抵は上手くいく。
モデルの表情が死んでいる
キャッチライトがないと、モデルの表情が虚ろで死んでいるように見える。レフ板でモデルの目にキャッチライトを入れて上げるだけで、モデルの表情が活き活きとしてくる。
キャッチライトを入れる時は丸いレフ板の方が好まれる。モデルの顔の近くにアシスタントやレフ板ホルダーでレフ板を宛がってやると、目に丸くて大きいキャッチライトが入り、美少女がより美少女に写ることだろう。
ストロボで人物撮影をすると、ストロボを当てた感がする
ストロボ光を直接顔に当てると、顔が真っ白になったりテカテカになったりする。撮影者の背後の白い壁にストロボ光をバウンスさせることが1つの手っ取り早い解決策となる。
バウンス出来る白い壁がない場合は小型のディフューザーをストロボに取り付けて光を透過させる方法があるが、モデルを柔らかい光で写せるという効果が低い。ストロボの硬い光のイメージが顔に残ってしまう。最も効果が高いのが、アンブレラやソフトボックスを使ってストロボ光を透過させる方法だ。アンブレラやソフトボックスを購入して、モデルを美しく柔らかい光でかたどろう。
構図がイマイチ
構図の基本を押さえておこう。日の丸構図、2分割構図、3分割構図、4分割構図、対角線構図、放射線構図、S字構図などなど。何事もそうだが基本をシッカリと押さえていないと話にならない。
あとは被写体と背景とのバランスを考えて撮ってみよう。バランスの良さを追求することで、中途半端な構図の写真から脱却できる。
斜めに傾けた写真が不安定に見える
アニメやゲームが好きなコスプレイヤーは、それが何となくサマになっているという理由から斜め構図で撮りがちだが、何でもかんでも斜め撮りをすれば良いというわけではない。
動きを着けたい時、ダイナミックな構図で撮りたい時などに斜め撮りをすると良いだろう。両方に傾けて撮ることで、どちらに傾けた写真が、斜め構図でも安定感があるかを推し量ることも重要だ。
大きく斜めに傾けすぎて、動きが出ていると言うよりもただ単に不安定な写真になっていないだろうか。真っ直ぐに撮るべき所は真っ直ぐに撮らなければならない。
写真がなんか暗かったり明るすぎたりする
露出の設定をシッカリと行おう。適正露出(自分の目で見て最適と思われる写真の明るさ)になるように、何度も試し撮りして液晶画面で確認するようにしよう。適正露出を定めたら、後は撮影すれば良い。絞り優先モードで撮影の時は露出補正を使い明るさを調整し、マニュアルモードで撮影している時は、絞り値とシャッタースピード、ISO感度の3つの兼ね合わせで適正露出を探り当てよう。
失敗写真の要因となるこれらの点を克服すれば、今持っているカメラやレンズを上位機種に買い替えなくても、きっと今までとは見違えるように綺麗な写真が撮れていることだろう。