花火を綺麗かつ芸術的に撮る方法

一眼レフデジカメ初心者の頃に撮影した花火の写真。撮り方さえマスターすれば、誰でも簡単に撮ることが出来る。
一眼レフデジカメ初心者の頃に撮影した花火の写真。撮り方さえマスターすれば、誰でも簡単に花火を綺麗に撮ることが出来る。

夏と言えば花火、カメラを趣味にしている人たちにとっては一大イベントだ。時代だろうか、花火大会に赴くとみんなスマホを宙に掲げて花火を撮影している。一昔前は皆ガラケーを同じように掲げて花火を撮っていた。

ガラケーやスマホで花火を撮ると、花火が開いた瞬間だけが撮れる。それはそれで一夏の思い出として悪くはないのだが、一眼レフデジカメと三脚を使い、バルブ撮影を行えば、より表現が広がる。

もしあなたが一眼レフデジカメ所有者で、せっかく買ったカメラを持て余しているなら、ネットショッピングで三脚を買って、今年の夏は花火撮影を楽しもう。今回は冒頭の写真のように花火を綺麗に撮る方法を紹介していく。

花火撮影に必要な機材

  • 一眼レフデジタルカメラ
  • レンズ
  • 三脚
  • リモートスイッチ

バルブ撮影に対応した一眼レフデジタルカメラ

まずは一眼レフデジカメがなければ話にならない。一眼レフデジカメにはバルブモードが備わっている。バルブモードにすれば、シャッターを押している間、シャッター幕を開きっぱなしにすることが出来る。その間に上がっている花火を、すべて捉えることが出来るというわけだ。ここがガラケーやスマホのカメラとは違う点だ。いくつもの花火を一枚の写真に収めることが出来る。

カメラの機種は、バルブ撮影の機能が備わっていれば、エントリー機でも十分だ。カメラの説明書を紐解いて、バルブモードにする方法を確かめてみよう。

花火撮影にはズームレンズが最適!

レンズは焦点距離24mm-100mmまでをカバーしているズームレンズが便利だ。単焦点レンズだと、花火が綺麗に収まるベストショットとなる構図を決める為に、撮影者が移動しなければならない。しかし大抵の花火会場は人でごった返していて、一度場所を決めて陣取ると、そう容易には身動きが取れない。

このような状況下では画角を変更できるズームレンズがとても便利だ。今いる場所から花火が小さめに写るなら、ズームリングを望遠側に回して調整すれば済む。

逆も又しかり。周りの群衆や風景を入れたいなら、広角側に回すこともあるだろう。時間が限られた中で様々な表現を演出できるズームレンズは魔術的な効用を発揮する。また他の表現を求めて画角を変えるためにレンズを付け替えると、もたもたしている間に花火そのものを逃して仕舞いかねず、本末転倒となる。時間を惜しむならば、ズームレンズ一択となる。

と言うのも、後からカメラの設定で詳しく述べるが、花火撮影の場合、単焦点レンズで開放気味に暈かして撮るという方法は用いない。風景写真のセオリー通り、絞って撮るので、単焦点の利点の一つである暈け表現の出番がない。

また、開放で撮ったところで、三脚を立てて長時間露光で撮るので、写真が明るくなりすぎてしまう。それを防ぐためにも絞って撮る。

三脚必須!

花火撮影で必ず必要なのは三脚だ。バルブ撮影で15秒前後シャッター幕を開けたままにするので、ブレ防止のためにも三脚でカメラを固定する必要がある。手持ちで15秒間シャッター幕を開けたまま撮影すると、ブレブレの写真になってしまう。

リモートスイッチで手ブレ防止!

シャッターを押したり、押しっぱなしにしたり、離したりする際に、カメラに振動が伝わり写真にブレが生じる。このブレを防ぐためには、指でシャッターを押すのではなく、リモートスイッチ(レリーズ)を使って、シャッターを制御する。ブレ防止に必須のアイテムというだけでなく、バルブ撮影を快適に行うためにも是非持参しておきたい。

掌にあるリモートスイッチのボタンを押しっぱなしにしたり離したりするのに、ブレを気にする必要がなくなるので、カメラに対するブレではなく、撮影そのものに神経を集中できる。

カメラの設定

F値は7.1~11が該当だろう。風景写真のセオリー通り、絞って全体がクッキリと写るように撮る。バルブ撮影で長時間露光になるので、F値を絞ることで写真が明るすぎないようにする。

F11よりも絞ると、光の回折現象による小絞りボケで画質がぼやけていくので、なるべくならF11迄に留めておきたい。

シャッタースピードは、バルブモードでは設定できない。レリーズのボタンを押して自分で決めることになる。花火が上がってから、空で開いて、萎んでいくまでの間となる。もしくは複数の花火を撮りたいなら、レリーズのボタンを押し続けることになるだろう。花火のラインナップに寄る。おおよそ6秒から20秒くらいシャッター幕を開きっぱなしにする事になる。

ISO感度は100に設定。長時間露光の撮影となるので、夜間の撮影でもISO感度を上げる必要はない。ISO感度100でも花火はシッカリと写る。

ホワイトバランスはオート、もしくは白熱電球。ホワイトバランスの設定に自信がないなら、後からPCで撮影時と同じ感覚で、写真の画質を劣化させずにホワイトバランスを変えることが出来るRAWで撮るのが理想だ。

絞り値F11、シャッタースピード27秒、ISO感度100、焦点距離58mm、ホワイトバランス:白熱電球、ピクチャースタイル:風景、RAW現像:DPP
絞り値F11、シャッタースピード27秒、ISO感度100、焦点距離58mm、ホワイトバランス:白熱電球、ピクチャースタイル:風景、RAW現像:DPP

撮影モードはJPEGよりもRAWで撮るようにしよう。後から花火の色を、ホワイトバランスを変更することで自由自在に変えることが出来る。

JPEGで撮ると、ホワイトバランスの設定に失敗した場合に、花火の色が理想的な色にならないばかりでなく、フォトショップなどで色を変えるのが難しくなる。綺麗な花火の写真に仕上げたいなら、RAW現像は必須だ。フォトショップで加工する場合も有利となる。

もしRAW現像が出来る環境下になかったり慣れていないなら、RAW+JPEGで撮ると良いだろう。数年後にハイスペックパソコンに買い替えたり、RAW現像の方法をマスターするようになれば、過去に撮影した写真を芸術的な境地にまで甦らせることが出来る。

また、たとえその時のカメラの腕が未熟で設定が間違っていたとしても、RAW現像を行えば、ある程度まで修正可能だ。

花火撮影でのピントの合わせ方

ライブビューモードで、ピントを簡単に合わせることが出来る。レンズをMF(マニュアルフォーカス)モードに切り替え、花火の上がる場所を見定めて、拡大表示させ、花火が上がったらピントリングを回して、花火がクッキリと写るようにピントを合わせる。

花火の基本的な撮り方は以上となる。

花火撮影まとめ

  • 撮影モードはバルブ
  • 三脚・レリーズ必須
  • F値はF7.1~F11
  • ISO感度は100
  • レンズはAFからMFモードに切り替える
  • ライブビューモードでピント合わせ
  • 花火が上がっている間、レリーズのボタンを押し続ける

これだけ覚えておけば、どの花火会場でも綺麗かつ芸術的に花火を撮ることが出来る。さっそく今年の夏は花火撮影に出かけてみよう!