花博記念公園鶴見緑地 – まほろば探訪 第53回

花博記念公園鶴見緑地の風車の丘。
花博記念公園鶴見緑地の風車の丘。

大阪市鶴見区と守口市にまたがる花博記念公園鶴見緑地は、1990年の花と緑の博覧会の会場ともなった公園で、今現在も各国の風土を象徴する建造物が広い敷地内に遺跡のように点在している。遺跡のようにと形容したのは、老朽化が進んでおり立ち入り禁止になったり朽ちかけていたりしているからだ。

鶴見緑地公園に入ると背の高い木々がお出迎え。
鶴見緑地公園に入ると背の高い木々がお出迎え。

1990年と言えば、折しもバブル経済まっただ中。地価高騰に続いて株価も日経平均株価2万円台から4万円台近くにまで大幅に値上がりした。第一次平成不況と呼ばれるバブル崩壊の始まりは1991年3月だが、花博が開催されていた頃にはすでに日経平均株価は1989年12月にピークをつけた後に大幅に下落しており、1990年3月に総量規制などによる金融引き締め策によりバブルが崩壊した。その後日本経済は失われた20年と形容されるような暗い時代が続く。91年湾岸戦争勃発。自衛隊は出さずに金だけ出したことで国際社会から非難を浴びる。95年1月阪神淡路大震災、同年4月地下鉄サリン事件、97年神戸児童連続殺傷事件、同年山一証券廃業、北海道拓殖銀行破綻、98年日本長期信用銀行破綻と世相を暗くする災害や事件などが続く。

99年になるとITバブルに突入。この頃よりインターネットサービスプロバイダが雨後の竹の子のように林立しはじめ、インターネット時代が幕開けることになる。

ネモフィラ畑になった鶴見緑地公園の風車の丘

4月下旬の鶴見緑地公園。ネモフィラが咲き誇っていた。
4月下旬の鶴見緑地公園。ネモフィラが咲き誇っていた。

先日、ネモフィラを撮りに鶴見緑地公園に訪れた。普段はコスプレ撮影で頻繁に訪れている場所なのだが、改めて花だけに被写体を絞って訪れてみると、いつも見慣れている古女房のような公園が違った姿に見える。ああこんなに綺麗に花が咲いているのだな。こんな隠れた芝生の場所があるのだな、緑の紅葉もあるし、入り口も木々がとてつもなく背が高く雄大だ。コスプレを撮っているときはいつも目の前に居るコスプレイヤーさん達の美しさに気を取られてしまい、花や景色の美しさには目が行かなかった。

鶴見緑地公園の桜。

花だけではなく、鳥も豊富にいる。見晴らしの良い高台の途上にある池の周りには白い大きな鳥がたくさん。鴨も泳いでいる。春の季節に訪れたら、この池を取り囲む桜並木がとても美しかった。鶴見緑地公園はこうも壮大に造られていたのかと。

鳥がたくさん集う池。桜が美しい。
鳥がたくさん集う池。桜が美しい。
桜の花弁をついばむ鶴見緑地公園の野鳥。
桜の花弁をついばむ鶴見緑地公園の野鳥。

敷地内に入ってからまっすぐ行ったところにも大きな池がある。こちらも壮大な景色で、たくさんの鴨がスイスイと泳いでいるが、湖に沿って居並ぶ桜の景色もまた美しい。

大きな湖沿いに咲き誇る桜並木。
大きな湖沿いに咲き誇る桜並木。

この池をぐるっと迂回すると、紅桜が咲き誇る一角がある。花見客がレジャーシートを敷いて弁当をつついているその脇でカメラマン達が望遠レンズで紅桜に止まる鳥を狙っている。

紅桜と野鳥。 紅桜と野鳥。

灯らないランプや朽ちかけた建造物など施設が老朽化している鶴見緑地公園だが、数ヶ月ほど前に新聞に再活性化を図るという記事が載っていた。その一環かどうかは分からないが、風車のある丘の花が今年はネモフィラに植え替えられていた。ネモフィラと言えば最近よくツイッターで栃木県にある国営ひたち海浜公園のネモフィラの丘の写真がインスタ映えすると話題になっているが、関西の人間が栃木まで行くには少し交通費がかかりすぎる。鶴見緑地なら規模はあそこまで大きくはないが、安い交通費で行けてしまう。風車の丘に辿り着くまでの道にも鶴見緑地と書かれた綺麗な旗が飾られている。

さてネモフィラ。フィネモラだっけ、モラフィネだっけ、モネフィラだっけ、フィラモネだっけ、と覚えにくい花の名前で、何度検索しても出てこなかったが、鶴見緑地で検索したら青く美しい花の写真が出てきたので、ようやく正式名称に辿り着く。英語で「five spot」や、「baby blue eyes」と呼ぶそうで、確かに小さく可愛らしい青い花は赤ちゃんの青い瞳を彷彿とさせる。

鶴見緑地公園のネモフィラ。 鶴見緑地公園のネモフィラ。 鶴見緑地公園のネモフィラ。 鶴見緑地公園のネモフィラ。 鶴見緑地公園のネモフィラ。

近くにはバラ園があり、たくさんの品種の薔薇が咲き誇る。訪れたのは四月下旬だがすでに薔薇が花開いていた。

バラ園にはたくさんの綺麗な薔薇が咲き誇る。
バラ園にはたくさんの綺麗な薔薇が咲き誇る。
鶴見緑地公園内にあるバラ園の薔薇。

花と緑が溢れ、鳥が憩いの場とする鶴見緑地公園だが、近年はコスプレの聖地としても知られ、ちらほらとコスプレイヤーも見かける。僕自身も鶴見緑地に出かけるのはコスプレ撮影の時くらいだったが、こうして花だけを撮りに来ると、やはりまた違った時間を過ごせる。都会の中にある巨大な憩いの場。今後の鶴見緑地公園の再活性化で、どのような新しい姿を見せてくれるのかとても楽しみだ。