あそびあそばせのコミックスを電子書籍で6冊大人買いした。アニメでもやっていたのだけれど、声優が結構わめき散らす賑やかしいアニメなので、セリフが聞き取りづらい箇所がいくつもあり、それならば文字で読もうという事で、アニメと内容は被るものの原作漫画を大人買いするに至った。
5巻の数話分までが既にアニメ化されている。アニメと内容は重なるものの面白さに変わりはなく一気に読んでしまった。アニメを先に見ていて良かったと思えたのは、吹き出しのセリフを読む毎に声優達(新人さんらしい)の名演技が脳裏に蘇ってくることだった。この文字のセリフをこんな風に声優は再現しているのかとか、これは作者と声優の想定していた声色と同じなのだろうかとか想像を掻き立てられながら読んでいった。同時代性という言葉がふと浮かんできた。ギャグにしても話し言葉のトーンにしても同時代に生きている人間にしか分からないことがある。70年代や80年代に流行ったギャグやそのギャグがなぜ笑いを引き起こすのかそのツボなどは分かりづらいが、今現在のギャグや話し言葉のトーンなら強く共感できるので、笑いが二倍三倍に増幅される。
要所要所でデカプリオとか『バックトゥザフューチャー』とか、現代の女子中学生が主人公なのになぜか懐かしい響きのするキーワードが出てきて笑いを誘う。テレビ版『新世紀エヴァンゲリオン』のラストシーンのパロディが出てきた時には茶をiPadに吹きかけそうになった。さりげなくそういう事をやるのが面白かったのだが、先へ進むにつれて、30歳になった顧問の先生とその同窓生達が自分たちの中学時代を振り返るシーンで、Think different のキャッチコピーで席巻したスケルトン型のマッキントッシュコンピューターや、数字の語呂合わせでメッセージを伝えるポケベル、今はなきPHSの携帯などの懐かしいアイテムを持ち出してきた時は、この作者一体何歳なんだろう、年代的に近いのかなと思ってしまった。オリヴィアの兄を想像して「きっとデカプリオみたいだよ!」とはしゃぐ華子の心臓のシーンをアニメで見た時から、原作者結構年代近い?と思ってはいたのだが、原作の漫画を読み進めるに従ってその確信が強くなっていった。
また作中にシェイクスピアの引用が何度も出てきたり、BL騒ぎの時にオスカー・ワイルドの名前がサラッと出てきたり、クリシェやパスティーシュやパサージュやベンヤミンやミメーシスやパンとサーカスなど難解用語がポンポン出てくるオリヴィア兄の長広舌などに触れると、結構教養のある作者なのだろうかとも思われた。シャーロックホームズの冒険に出てくるシドニー・パジェットの挿絵のパロディも扉絵に採用されていた。
作者の生年月日や性別は非公開となっており、インターネットで調べたらどこかで女性と書かれていたのを記憶しているのだが、どうもまた記述が変更されたみたいなので、掘り下げても仕方がない。
アニメと原作を比較しがちだが、ほとんど同じだった。華子「あとキモい」前多「承知いたしました。それとキモくありません」と、アニメではセリフが一言追加されていて更に打打発止なやりとりに洗練されていたり、ブラのカップの回で「想い出がいっぱい」の有名なワンフレーズを歌いながら二人が盛り上がった後で香純がノートパソコンでブラのショッピングサイトを見せる時の横顔が戸惑った表情だったりと、細かいところでは変更が加えられてる箇所もあった。あと大学を飛び級で入学して博士号を二つ持っているがオタクなオリヴィアの兄が原作漫画の方では少しほっそりしているように見える。
「想い出がいっぱい」に関しては別の箇所でも出てきており、魔女裁判に扮した華子が「私もその箇所しか知らない」と言うセリフなどが、自分もその箇所しか知らないのでダイレクトに共感したのだった。
他にもアニメでは省略されていたシーンがあった。オカルト研究会のクッキーを作るシーンでは、岡さんが少し成長したというちょっぴり情が湧く会話も交わされている。
どの話も抱腹絶倒で、継続的に購入する作家の1人となった。