以前記事でコスプレ写真のピクチャースタイルは、「スタンダード」に設定するのが最も無難だと書いた。理由は単純で、女性の肌を明るくする「ポートレート」や色味を濃くする「風景」などを選ぶと、肌の色は女性好みで良いかもしれないが、ウィッグや衣装などの色がガラッと変わってしまうからだ。
ポートレート写真ならまだしも、コスプレ写真でウィッグや衣装の色が変わってしまうのは頂けない。というのも、コスプレイヤーは公式のイラストと比較しながら、千差万別のウィッグの色や布の色を吟味して、ウィッグセットや衣装作りに勤しんでいるからだ。よかれと思ってやったピクチャースタイルの選択による色の微妙な変化が、それらの努力を水泡に帰すこともあり得る。
ではオリジナルの創作はどうか。もちろんモデルにとって好みの色もあるだろうが、創作の内容によってはピクチャースタイルをポートレートに選ぶと良い場合もある。
今回はジューンブライドがテーマの創作を撮影する機会に恵まれた。雨がテーマと言うことで、白いスタジオ内でどう撮るべきか迷いつつ、雨の花嫁らしい写真になるよう試行錯誤したが、家に帰ってRAW現像する段階になって、ピクチャースタイルをポートレートにしてみてはどうだろうかと、ふと思いついた。
ここ最近はピクチャースタイルの「ポートレート」を使うことがなかった。先述したようにウィッグや衣装の色が変わるという理由の他に、肌は明るくなるが、仄かにピンク色になるのが、自分の肌の好みの色に合わなかったというのもある。
試しにピクチャースタイルを「ポートレート」に変えてみると、ブライダル写真らしい肌の色合いになった。「スタンダード」と比べると肌の色も明るく、かつ白くなった。また「ポートレート」にするとシャープネスが3から2に弱まるので、スタンダードよりも緩やかな肌の描写になる。この点はシャープネスの値を自由に変えるのも有りだろう。
2着目は羊がテーマの創作だった。こちらの方は羊がテーマであることや、スタジオの色味との兼ね合いで温かい色合いの肌が良いだろうと思い、ピクチャースタイルはスタンダードにした。
人物写真だからと言って、何でもかんでもピクチャースタイル「ポートレート」にして撮るのは考え物だ。キャラクターに合ったピクチャースタイルを選ぶように心がけると良いだろう。