教室型スタジオにて – ISO感度を上げて撮る時 #1

model:Nano / Canon 1DX / Otus1.4/55 / AWB / M mode / F2.2 / 1/160s / ISO:400 / Portrait / Raw:DPP
model:Nano / Canon 1DX / Otus1.4/55 / AWB / M mode / F2.2 / 1/160s / ISO:400 / Portrait / Raw:DPP

久々にスタジオで撮影してきた。教室を模倣したスタジオで撮影する際に、いつも迷うのがISO感度の設定である。

コスプレイベントに実際の小学校や、小学校として使われていた旧校舎を開放している施設はあるが、そういった場所では、窓からの自然光を生かした写真が撮れる。本物の学校を使っているだけあって、リアリティもある。

問題は、教室型のスタジオだ。屋内のビルだと、自然光が全く入らない構造になっているので、カメラの設定に四苦八苦することになる。そういう場所で女性の顔を綺麗に撮ろうと思ったら、ストロボは必須だ。

今回赴いたスタジオは、一応片側に窓があり、自然光は入るのだが、窓の外の景色が商業ビルに阻まれている。商業地区にあるスタジオのため、致し方ない。オマケにこの日は天気が悪く曇っていたため、光量も望めない。

となると、スタジオに常設してあるソフトボックスか、自前のストロボとアンブレラを使うことになるのだが、常灯光というのは光量が弱いのが難点。前にも一度ここで撮影したことがあり、ソフトボックスを使うとどうしても光量が足りなかった。被写体に思いっきりソフトボックスを近づければ綺麗に撮れるだろうが、机や椅子など、教室の風景を生かして撮るとなると、そうもいかない。

結局アンブレラとストロボ、ソフトボックスを縦横無尽に使って撮影することとなった。

その際にいつも迷うのが、冒頭で述べた様に、ISO感度の設定。通常ストロボを使って写真を撮る場合は、ISO感度は低めに設定しがちである。極力ノイズの少ない写真を撮りたいという思いが強いと、この傾向は強くなる。

しかし自然光が入らない、もしくは入っても弱々しい、天井の蛍光灯だけが光源の閉鎖空間の教室で、低ISO感度でストロボを使って撮ると、被写体が明るくなっても、その背景や教室全体は暗く写ってしまう。

こうなると、自然な教室の雰囲気は台無しになってしまう。夜の教室で、如何にもストロボを炊いた様に写ってしまうのだ。そうなると写真から伝わってくる雰囲気に無理が出てくる。

先日、昔撮った写真を整理していたら、教室型のスタジオで撮影した写真が出てきた事を思い出した。開放F値1.2とISO感度だけを頼りに光量を設定して撮った写真だ。同じ時期にストロボを使って撮った写真と見比べてみると、こちらの方が自然な教室の感じが出ていないこともない。顔にかかった影さえなければ、及第点だ。

そこでここはノイズが出ても良いからISO感度を上げて撮ることにした。時には頭を柔らかくして、妥協することも必要だ。ノイズといっても、1DXならそんなに気にならないし、エントリー機でも、ノイズ処理をすれば、解像感は失われるが、むしろ肌がツルツルになるという思わぬ効果がある。

F値を決めたら、ISO感度を段階的に上げて試し撮りを繰り返し、教室の風景の明るさを調節していく。次に同じ要領で被写体に当てるストロボの光量を調節して、最適な肌の明るさを探る。後は美しい顔立ちのモデルを撮っていくだけだ。

model:Nano & Kouyoshi / Canon 1DX / Otus1.4/55 / AWB / M / F5.6 / 1/125s / ISO:800 / Portrait / Raw:DPP
model:Nano & Kouyoshi / Canon 1DX / Otus1.4/55 / AWB / M / F5.6 / 1/125s / ISO:800 / Portrait / Raw:DPP

教室型のスタジオで、ストロボを使って撮る時は、光量の設定に要注意。余り明るくしすぎると、不自然になる。モデルの顔に落ちている影を飛ばすくらいがちょうど良い。