赤目四十八滝の名物である数々の麗しい滝の姿を撮りに行こうと電車に乗り込んだはいいが、スマホで撮り方を検索してみると、快晴の日は避けて曇りの日に撮るのが良い、というような一文が出てきた。この日はあいにくの快晴。日本晴れなのにあいにくという表現を使うのもおかしな話だ。
要は滝に日が当たって白飛びしやすく、撮りにくいという話だった。そう言われてみれば、先日大原の山奥にある滝を撮ったとき、日の当たっている箇所と当たっていない箇所での明暗差が激しすぎて、撮るのに難儀した。後からパソコンの処理でなんとか白飛びを回復させようとしたが、限界があった。滝の流れを高速シャッターで止めて撮るにも、流れを糸のようにスローシャッターで撮るにも、太陽の当たる箇所が白飛びしてしまう。
滝を撮るときの秘訣。それは晴れの日は避けて、曇りの日を狙うこと!
これだけで終わってしまうのも何なので、赤目四十八滝の写真を作例に、滝を撮るテクニックを紹介していきたい。
滝撮影に必要な機材
- シャッター速度、絞り値、ISO感度をマニュアルで設定できる一眼カメラ
- レンズ(24−100mmの焦点距離をカバーしたズームレンズが便利)
- 三脚
- リモートスイッチ
- NDフィルター(ND16・4段分の減光効果)
- トレッキングシューズ・動きやすい服装
この5点が揃っていれば、印象的な滝の写真を撮ることが出来る。各機材の重要性について詳しく解説していきたい。
一眼カメラ
これがないと話にならない。スローシャッターで撮る場合は,いずれかの数値が自動的に決まるシャッター優先AE(自動露出)や絞り優先AEよりも、シャッター速度・F値・ISO感度をすべて自分で決めて固定する一撃撮りの方がややこしくなくて簡単だ。自動露出で数値がコロコロ変わると頭が混乱する。その為には、マニュアルモードで撮れるレンズ交換式カメラが必須となる。
レンズ
一眼カメラ用の交換レンズ。赤目四十八滝で撮るのに最適なレンズは、筆者は所有していないが、24mm~105mmの焦点距離を備えたものが良いだろう。筆者がこの日に使用したレンズは、24-70mmの標準ズームレンズ、16−35mmの超広角ズームレンズ、Otus1.4/55の標準単焦点レンズだったが、滝をクローズアップして撮るのに最も使用したレンズは24-70mmのレンズで、最後の滝に辿り着くまでほぼ着けっぱなしだった。
やはり時間の制約があるし、精神的にレンズ交換も面倒。となると標準ズームレンズを一本着けっぱなしで撮っていきたいところだ。70mmの焦点距離だと足りないシーンにも何度か出くわしたので、85mmの単焦点を持ってきたら良かったと後悔。そういうシーンでは、24-105mmのズームレンズがあればなぁと痛感した。200mmの望遠を持ってくることも考えたが、できるだけ荷物を軽くしたいためにやめておいた。どちらにしても近すぎてあまり使う機会は無かったかもしれない。
三脚
滝の水の流れを白い絹のように撮るスローシャッターでは、三脚は必須。階段の上り下りがあったり、トレッキングコースのような場所も歩くので、軽くてかつ自分のカメラとレンズをしっかりと支えられる三脚を持っていくと良いだろう。
リモートスイッチ
最近のカメラには、シャッターボタンを押してから数秒後にシャッターを切る機能も備わっているが、やはりシャッターボタンを押す際の手ぶれを防止するためにはリモートスイッチが確実だし、その方が楽だ。
NDフィルター
日中にスローシャッターで撮ると、写真はどうしてもいつもよりも遙かに明るめになる。F値を大きくしたり、シャッタースピードの再調整などカメラの設定でなんとかすることも出来るが、スローシャッターによる幻想的な滝の絵を気苦労なく撮りたいなら、NDフィルターは必需品となるだろう。
NDフィルターによる減光効果で、光量を減らせる分、シャッタースピードを遅く出来る。すなわちスローシャッターで撮りやすくなる。NDフィルターによって減光効果は異なる。ND8は光量を1/8減らす。つまり三段分暗くなる。
レンズに取り付けるので、レンズの口径によってNDフィルターを購入しなければならないのが面倒だ。またNDフィルターの品質によって画質への悪影響を抑えることが出来るが、その分値段も高くなる。滝撮影に使用するレンズを見極めて、どれか1つの大きさに絞ると良い。
今回はND8(1/8の減光効果・3段分)を持参したが、ND16(1/16の減光効果・4段分)くらいがちょうど良かったのでは無いかと思えるシーンが幾たびもあった。
トレッキングシューズ・動きやすい服装
滝のある場所は山中や渓谷などになる。山道やトレッキングコースのような場所では、足下にはゴツゴツした石などが転がっているので、注意が必要。動きやすい服装と、トレッキングシューズが好ましい。軽い登山に行くくらいの気持ちで服装を整えた方が良い。
滝撮影実践!
まずは5月下旬の朝10時45分に撮影した不動滝の写真をご覧頂こう。滝の下の方は上手く描写されているが、滝の天辺に日差しが当たり白飛びしてしまっている。試しにRAW現像ソフトDPPで一箇所マウスをあてがってみると、RGBの数値が3つとも白である255を示していた。白飛び回復処置を施してみたが、やはり限界がある。回復しない箇所が出てきた。
カメラの設定は、マニュアルモード、シャッタースピード0.4秒、F11、ISO感度100。NDフィルターを着けての撮影。NDフィルターを着けることで、光の明るさを抑えて(減光)、日中のスローシャッターでも真っ白な写真にならない様に撮ることが出来る。つけていたNDフィルターはND8で3段分の減光を可能にする。
シャッター速度0.4秒で撮影した際の滝の描写も見ていこう。というのも、NDフィルターを着けても、あまりにスローなシャッター速度だとやはり白飛び写真になってしまう。果たしてシャッタースピードの大きな違いで滝の描写も大きく変わってくるのか。白飛びしない余裕のあるスローシャッターでも描写がそんなに変わらないなら、長めのスローシャッターよりも、短めのスローシャッターで撮った方が、次の1枚を撮るための時間も節約できるし、メモリーカードへの書き込み速度も速くて済む。実際1秒とか4秒のスローシャッターと20秒30秒のスローシャッターでは、秒単位ではあっても時間感覚が凄く異なる。
スローシャッターによる滝の表現の違い
シャッタースピード0.4秒、1.3秒、4秒で撮った写真を見比べてみよう。4秒の写真は大きく白飛びしていたので、明るさ調整などで暗く補正した。
大きな違いがあるかと問われれば、う〜んと首をかしげてしまいそうになる。シャッター速度0.4秒・1.3秒の写真はまだかろうじて水の流れの太めの線が垣間見えるが、4秒は線が柔らかくなっていて、薄い膜か光芒のようにも見える。明るめの写真を暗く修正したせいかもしれないが、糸に例えると、綿と絹の違いくらいはありそうだ。
ちなみに滝の水を止めて撮るのに定番のシャッタースピード、1/500秒で撮った写真はこちらになる。
滝の勢いが強いのか、1/500秒でも水の描写が流れている。1/1000秒でも良かったのではないかと思えるくらいだ。写真はRAW現像で1.33程明るくしている。試し撮りで暗かったのでF値は5.6まで下げ、ISO感度を400まで上げた。NDフィルターを着けっぱなしにしていたせいかもしれない。
白飛び防止機能、F値、拡張ISO感度はどう設定すべきか
滝を撮るに当たってのカメラの設定に関しては、次の3つの点が気になる。
- 白飛びを防ぐために高輝度側・階調優先で撮るか否か。
- F値は22まで上げるべきか否か。
- 拡張ISO感度を使い、ISO50で撮るべきか否か。
これらの疑問点を、今回撮影した赤目四十八滝の作例から比較検証して、どうにか答えを導き出していきたい。
キヤノンのカメラには白飛びしやすい被写体に対して高輝度側・階調優先モードをオンにすると、白飛びをある程度防ぐことが出来る。その代わりISO感度の最低数値が200に上がる。つまり写真が明るくなるので、その分シャッタースピードを速めるか、F値を絞るかのどちらかの設定を変えて適正露出に戻さなければならない。
シャッタースピードを速めれば、滝の描写も変わってくる可能性がある。F値を上げれば既にAPS-C機でF9、フルサイズ機でF11で撮影している場合は、小絞りボケが発生する恐れがある。また設定できるF値には限界がある。この日使用していたキヤノンのズームレンズEF24-70mm F4L IS Ⅱ USMはF値の上限はF22、Zeiss Otus1.4/55の上限はF16だった。
三段分減光するND8のNDフィルターを着けていてもカメラの設定によっては写真がハイキーになってしまう。物理的な対策としては更に減光するNDフィルターを用意する。
カメラの設定で対策できるのは先に述べたとおり、シャッタースピードを速めるか、F値を大きくするかだ。果たして滝の撮影で白飛び防止の、ISO感度が100から200になってしまう高輝度側・階調優先モードで撮影して、大幅な効果が期待できるのか。この疑問がまず1点。
高輝度側・階調優先モード、オンとオフの写真比較
長秒露光による滝の撮影では、なるべくISO感度を上げたくないという気持ちが働く。スローシャッターで撮ると、写真が明るくなりやすく、白飛びしやすいからだ。しかし滝の写真は暗めに撮っても白飛びしやすい。そこで高輝度側・階調優先モードをオンにして、白飛びしやすい被写体に対処したいという気持ちも働いてくる。
実際に作例を比較してみよう。1枚目の写真は、高輝度側・階調優先モードOff。2枚目の写真はOnにした。ISO感度は100→200に自動変更。F値は11から14に変えた。シャッタースピードは双方とも0.4秒。3枚目の写真は、明るさを厳密に揃えるため、DPPの明るさ調整で-0.33(約1/3段)スライダーを動かした。
ヒストグラムを見てみよう。
やはり高輝度側・階調優先の方が若干白飛びを防げている。正確に比較するために両方ともISO200で撮れば良かったなと後悔しているが、また次の機会に。同じ明るさになるF値がF11から一段絞ってF16ならば、1/3段明るいので、DPPで明るさ調整を-0.33に設定したの高輝度側・階調優先モードの写真のヒストグラムが以下になる。
どちらにしても太陽がよく当たっている滝の天辺は、両方の写真とも大きく白飛びしており、ぱっと見、高輝度側・階調優先が滝撮影において効果的なのか、違いが分かりづらい。しかしヒストグラムを見る限りでは若干の効果はありそうだ。
小絞りボケの影響が写真に出ても、F値は22まで上げるべきか。
ISO感度を200にすると、それだけ明るさが増す。それに伴い、明るさを抑えるのにF値で対応したとして、F値を11より上、最終的には22まで上げて、小絞りボケにより写真の描写(解像力や解像感)が著しく損なわれないだろうかという疑問も出てくる。これも比較検証してみたい。
F値は22まで上げるべきか否か。風景写真では小絞りボケに目を瞑ってでも、F値22まで上げて、パンフォーカスで撮る事が推奨されている。一般的にAPS-C機はF9より、フルサイズ機はF11よりF値を上げてしまうと小絞りボケの影響が写真に出ると言われているが、小絞りボケを避けるためにF11で撮ると、前景から遠景まで全体がピントが合わないという。F11でも焦点距離を広角で撮れば全体にピントが合うんじゃ無いかと思っていたが、作例を見てみると、確かにF11ではピントが合わない箇所が出ていた。
F値を22まで絞った事による小絞りボケの影響はどの程度画質に影響を与えるのか、実際に作例を見て比較してみた。
やはりF22で撮った写真の描写はボヤッとしている。草や苔蒸した岩を等倍で確認してみるとその違いがよく分かる。問題はWebに上げるとき、5K Retinaディスプデイで壁紙などにするとき、印刷するときに、小絞りボケによる画質の劣化が、そうでない写真と比べてどの程度違いが出てしまうのかという事だろう。
小絞りボケの対応策
F22で撮ると小絞りボケの影響で、描写がボヤッとしてしまうという。そこでRAW現像時になんとかこの小絞りボケの描写劣化を何とか出来ないものかと2つほど試してみた。
キヤノンにはレンズの収差などの描写の欠点を修復できるデジタルレンズオプティマイザ(DLO)という機能がある。RAWモードで撮影しておいて、キヤノンのカメラを購入すると付属している純正RAW現像ソフト、DPPを使ってデジタルレンズオプティマイザの機能をオンにすることで効果を適用できる。最近のカメラにはカメラ側にデジタルレンズオプティマイザをオンにする機能が付いているので、JPEGモードのみでの撮影でも,デジタルレンズオプティマイザの恩恵を被ることが出来る。
小絞りボケのボヤッとした描写をある程度回復出来るのでは無いかとF22の写真に試してみたが、違いは無かった。むしろF11で撮った写真にDLOを適用させてみると、更にシャキッとした写真に改善された。
そこで次の手段として、シャープネスの項目を弄ってみることにした。
4倍拡大してみると、似たような描写に見えるが、等倍で写真を見ても、やはりF11で撮影したような精細な描写には足りない。
上2つの写真は等倍表示なので、実際に全景で表示させると違いは相分からないかもしれない。この違いが高精細な5K Retinaディスプレイ表示時や印刷時にどう出るかが問題となってくるだろう。
拡張ISO感度のISO50は滝撮影では避けるべき??
高輝度側・階調優先モードをオフにし、更に低感度ISO50にして撮るべきかどうか。拡張ISOモードでISO50にすると、シャドーのノイズは出にくいが、ハイライトが飛びやすいと言われている。ダイナミックレンジが狭くなる為だ。つまり白飛びや黒潰れを起こしやすくなる。
ISO感度50モードではカメラ側でどういう処理を行っているのか調べてみると、キヤノンのカメラのISOベース感度であるISO100のまま、一段明るい露出で撮影したデータを、ISOベース感度100の基準からISO感度50相当の明るさになるよう、暗く処理しているという。
ISO感度を100から50にする→暗く処理するのでシャッタースピードを1段減速できる→明るさが2倍になる→ISOベース感度100を基準にして、ISO50相当の明るさに落とす。
こういったイメージだろうか。拡張ISO感度のISO50、ネットで検索してもどうもカメラ内でどういう処理が行われているのか分かりづらいのだが、もしそういう処理をしているならば、ISO感度100でRAWモードで撮っておいて、後から自分でRAW現像ソフトで明るさを一段下げた方が無難なのではないか。ISO感度100で撮影したデータの方がダイナミックレンジが広いからまだ白飛び耐性があり、RAW現像時に白飛びを回復できる可能性が比較的高まる。また拡張ISO感度50モードが、一段明るく撮った写真を暗く処理しているのであれば、その分ハイライト部分の描写も潰れてくるだろうから、やはりISO感度50はなるべく避けるべきでは無いか。
滝撮影においてはなるべく白飛びしないように低いISO感度・ISO100で撮ろうとするが、白飛びを防ぐにはISO感度をより下げれば良いという意識のまま拡張ISOのISO50に設定したら、逆に白飛びを起こしやすくなる。拡張ISO感度を使用するのは他の手段ではどうしようもない際の緊急時という認識があったが、滝撮影などでどうしても滝が白飛びしてしまうという緊急時に拡張ISO感度を使ってしまうと、逆に白飛び耐性に弱くなってしまうのでは無いか。後からRAW現像で白飛び回復するにしても、白飛びした部分はデータが無い状態なので、回復は厳しい。
滝撮影でISO感度50で撮る意味はどういうシチュエーションで生じるのだろうか。NDフィルターを持ってくるのを忘れたが、滝の写真をスローシャッターで幻想的に撮りたい場合が上げられる。もしくはNDフィルターは着けているが,予想していたよりも減光効果が小さいNDフィルターを持ってきてしまった場合などが、緊急処置としてのISO感度50を使用する理由として考えられる。
つまり滝の流れをスローシャッターで撮りたい場合で、F値を上げても白飛びした写真が撮れてしまう事に、シャッタースピードやNDフィルターで対処できなかったり、小絞りボケを気にしてF値を11以上は上げたくないけれどそれだと白飛びの写真になってしまったりした場合に、緊急処置としてISO感度50の使用が考えられる。
しかし拡張ISO感度であるISO感度50は、ダイナミックレンジが狭くなり白飛びしやすいのなら、はじめからISO感度100で撮って、後からRAW現像で一段暗くした方が良かったのでは無いかと思えてきた。
そうなると、拡張ISO感度50の使用が想定されるもう一つの事例、日中のポートレート撮影でF1.2やF1.4などの明るい設定で、シャッタースピード1/8000秒でも白飛びしてしまう時にISO感度50に設定して撮る方法も、ISO感度100で撮って後から一段暗くすれば良いのでは無いかという考え方も出来る。マニュアル露出モード以外では、シャッタースピードの数値が点滅してシャッターが降りなかったから、ISO感度50に設定するのだっただろうか。
拡張ISO感度50で撮るメリットは何か。おそらくJPEGオンリーモードで撮って、後から編集することを前提としない場合には、手間が省けて良いのかもしれない。カメラ内で一段暗くなるように現像しているのだとすれば、JPEGからJPEGへ明るさを一段暗くするよりもハイライト部分が綺麗な仕上がりになるのでは無いか。検証を要する。
拡張ISO感度50とISOベース感度100の写真比較
最後にISO感度50で撮影した滝の写真の作例を上げていく。
シャッター速度1/4秒・F11・ISO感度100
シャッター速度1/4秒・F8・ISO感度50
2枚の写真の時間差はほぼ1分。ISO感度が100→50の半分になって暗くなった分、F値を11→8に、1段分変更している。だがISO感度50の写真の方が、滝の部分が白飛びしている箇所が多い。
別の2枚を見てみよう。2枚の撮影の時間差は13秒。
シャッター速度0.8秒・F11・ISO感度50
シャッター速度0.4秒・F11・ISO感度100
数値上ではISO感度100で、ISO感度50から2倍になり、明るさが2倍になった分、シャッター速度を2倍速くしているから、明るさは同じのはずだが、拡張ISO感度50で撮影した滝は、ISO感度100で撮影した写真と比べると滝や青紅葉が大きく白飛びしているのが分かる。問題は写真の明るさが、カメラの設定もしくは現地の天候から同じであるかという点。2枚の撮影の時間差は13秒。急に日差しが隠れたのだろうか。この日は雲がほとんど出ていない快晴だった。周りの木々や岩肌を見ていると日差しが隠れて暗くなったとは思われない。
また、0.4秒と0.8秒、シャッタースピードを2倍の長さにしたが、糸を引く滝の描写に違いは見受けられない。もう少し長いシャッター速度にしなければ描写に劇的な変化は現れないのだろうか。それともこの滝では、これ以上スローシャッターにしても滝の流れの描写は変化しないのだろうか。この辺りの見極めも大切になってくる。
(そもそもシャッタースピード0.8秒から0.4秒に変えると明るさは2倍になるのかどうか。要検証)。拡張ISO感度50に関しては、また機会を改めて検証していきたい。
滝撮影に最適な天候と時間帯
滝撮影の天気と時間帯はいつ頃が最適か。快晴の日に滝撮影が難しいのは、そもそも白く写る滝が、太陽の光を浴びて更に明るくなるので、露出の調整がしにくい点が上げられる。滝だけならまだ良いが、周りの緑や岩壁、滝壺などとの明るさとの釣り合いも問題になってくる。太陽光を浴びた滝に露出を合わせて暗い設定で写せば、滝以外は真っ暗で何も写っていないという事にもなりかねない。1つの作品としては面白そうな絵ではあるが。
また滝1つをとっても、太陽が当たっている箇所と当たっていない箇所での明暗差が極端に大きくなり、太陽に当たっている箇所が大きな塊のように白飛びしてしまうといった事態に陥りやすい。
滝2つの場合も問題が生じる。2つに並んでいる滝を撮った場合、一方の滝は太陽が当たっていて明るく、もう一方は暗いといったシチュエーションが生じる。
そして滝を引きで撮ろうとすると、周りの岩壁や緑などが、太陽が当たっている箇所と当たっていない箇所で露出差が激しく、明るさをどれに合わせて撮れば良いのか迷うことになる。滝はスローシャッターで流れるように撮りたい。しかしスローシャッターにすれば写真が明るくなる。明るくなれば太陽の当たっている岩壁や緑が白飛びしてしまう。
快晴の日は滝を撮るのは難しいを通り越して、上手く撮れないし、撮れたとしてもレタッチソフトなどでの後処理が大変になってくる。Lightroomを使えば暗い箇所を明るく、明るい箇所を暗く修正できるが、やはりノイズが出たり、左右でホワイトバランスの色味にばらつきが出たりと、調整が難しく手間もかかる。ハーフNDフィルターでも使えば、明暗差を克服して上手く撮れそうな気もしたが、そもそも明暗差の度合いがその日にならなければ読めないし、フィルターをレンズの前でかざしたり取り付けたり面倒な作業となる。
やはり曇りの日に撮影に赴いた方が、明暗差に悩まされること無く綺麗に撮れるだろう。
日が傾く時間帯まで待ってみる
日が傾きかけてから撮るのはどうか。実際赤目四十八滝で快晴の日に撮りに行ったが、3時頃になると、日が当たらない滝もあった。しかし赤目四十八滝は午後5時までに参道入り口のサンショウウオセンターを出なければならないので(閉まってしまう)、日が傾いて滝に太陽が当たらないのを待っていては時間的に余裕がない。また場所によっては日が当たる滝もあるかもしれず、滝以外の箇所に関しては日がよく当たって、その明暗差から引きで撮るのが難しかったシーンもあった。
というわけで、結論としては、滝撮影は太陽が出ていない曇りの日に行くと良いだろう。
構図について
名所旧跡、所謂フォトジェニックと呼ばれている撮影スポットで撮った写真は、まぁいろいろありますが、誰がお撮りになっても同じようなもんだと思いますがね。
しかし事前にネット検索して、他の撮影者が撮った写真を確認しておくことも損ではない。やはり初めて訪れる場所ではどの構図で撮れば良いのか迷いがちで、時間の制限もある焦りから理想とする構図を引き出すのに時間がかかるという事もあり得る。それに心引かれる構図があるなら自分でもそのような構図で撮ってみたいと思うもので、その写真を参考にしつつ、自分にとって理想的な構図を引き出してみるのも良いだろう。後になって、あぁこういう構図があったか、と膝を打つことも度々あるから、高い交通費と時間をかけて後悔するくらいなら事前に王道の構図を確認しておいた方が良い。やはり初めてのジャンルの被写体を撮る際には、良き導き手がいた方が何かと捗る。
最適な天候、理想的な構図、持っていくべきレンズ、三脚やNDフィルターなどの機材を事前に揃えれば、戦に勝ったも同然である。敵を知り、味方を知れば百戦危うからず。何事も事前に知っておくことは重要だ。
滝撮影における理想的なカメラの設定まとめ
- マニュアル露出モード
- シャッター速度1秒〜3秒
- ISO感度100
- 高輝度側・階調優先モード(任意)
- 4段分の減光効果があるNDフィルターND16装着
赤目四十八滝は秋の景観が素晴らしいと聞くので、今回の撮影の反省点を踏まえて、また再び秋に訪れようと思う。