Canon 1DXは一秒間に11連写できる性能がある。連写といえばスポーツやモータースポーツ、鳥の撮影などに有効だが、人物撮影でも連写を使う時がある。
とは言っても連写を使うのは躊躇われる。理由の一つはデータの枚数と容量が増えるから。ファイル数が嵩張るとRAW現像の心理的負担となる。たとえパパッと現像できたとしてもだ。コスプレ撮影では真っ白けの写真や真っ黒の写真など明らかに失敗している写真を除いて全ての写真をモデルであるレイヤーにお渡しするのが不文律となっている。しかし連写で撮れた写真というのは、失敗しているのかそうでないのか判別がつきにくい。大いに白飛びしているわけでも、ストロボが光らず何も写っていないわけでもない。決まっている数枚を除けば他の写真は花びらが舞う前と、花びらが大きく拡がる前、花びらが舞った後のような写真だからだ。しかしそれらの写真も使わないとはカメラマン側は言い切れない。コマ割りにして漫画のようにすれば楽しい組写真になる。
あとはシャッター耐用数を消費してしまうことにも躊躇する。高い連写性能があるから1DXのシャッター耐用数は他のフルサイズ一眼の2倍以上となっているが、それでも連写は躊躇われる。カメラはなるべく大切に末長く使っていきたいものという思いから、心が吝嗇になって、連写機能をオンにすることにブレーキがかかるのである。
そこで、まず初めに連写が必要なシーンに遭遇した時は、通常のワンショット撮影でなんとか撮れないかと試行錯誤する。
コスプレ撮影で連写が想定されるシーンといえば、ジャンプするシーンや、花びらを散らして印象的な写真を撮るシーンだろう。特に花びらを散らす時は、扇風機を使って花びらを派手に舞わせる時もあるので、連写向きのシーンと言える。
先日ジャンプシーンをワンショットで撮ってみた。9人の大型合わせの撮影の時だ。全員で息を合わせれば、なんとかタイミング良く撮れたが、気を抜くと失敗してしまうこともある。連写の方が楽だなぁと感じた。
花びらのシーンは、初めは連写を使わずに撮ったが、どうもタイミングがうまくいかない。いい絵が撮れない。ジャンプと違って花びらは動きが不規則で意外と速い。ゆらゆらと揺れる物かと想像していたが、アシスタントがパッと投げつけるとパッと舞い、あっという間に床に落ちてしまう。埒があかないのと、撮影のやり直しで花びらをかき集めるのが大変なので、連写モードに切り替えて撮ったら、いい写真が何枚も撮れた。連写は歩溜まりが良い。
以下の写真は連写だったかどうか。花びらの舞い散る速さと効率性を考えたら、連写で撮らないと歩留まりが悪くなるシーンだ。後日データを発掘して大きめの写真に切り替えたい。
こちらは髪を舞わせる撮影。アシスタントを務めたコスプレイヤーさんが下に隠れていて、髪を勢いよく舞わせている。これも髪の動きが速すぎるので連写(高速連続撮影)で撮影したので、上手く決まった写真が何枚も撮れた。
高速連写機能を使うとストロボは使えないと思われがちだが、そんなことは内。ストロボの光量を小さくすれば連写内でバッテリーの持続性が収まる。光量を大きくすると1,2枚しか撮れない。光量をある程度小さくして、それで明るさが足りないようなら、ストロボを被写体に近づける、ISO感度を上げる、F値を下げる、それでも明るさが足りないなら最終手段としてソフトボックスやアンブレラを外し、ストロボ光を直当てする。
さて冒頭で紹介した写真。これも連写を使って撮った。そもそもこのクラッカーは一度発射させると、床に散らばった紙片を掻き集めるのが大変すぎて失敗が許されない。「あ、ちょっとシャッターのタイミングが遅すぎたです(笑)」とかヌルいことが言えない撮影だ。連写で撮らないことには効率が悪すぎてしょうがない。
1DXの高い連写性能が写真の制作に見事に役に立った。コスプレ撮影で培ったスキルは、創作系の写真を撮る時にも大いに応用が効く。人物撮影において高い連写性能も意外と有効であることを頭の片隅に入れておくと、役に立つ日が来るだろう。