大型併せのカメラマンはオーケストラの指揮者のように振る舞おう

オーケストラの指揮者のようにハーモニーを生み出そう。
オーケストラの指揮者のようにハーモニーを生み出そう。

先日シェアスタジオで大型併せの撮影に行ってきた。大型撮影は常に挑戦なので、エキサイティングだ。まず人数が多いので、緊張感が個撮や小型併せとは異なる。大型併せのカメラマンはさながらオーケストラの指揮者のような立ち位置だろう。皆を一つに今止めてハーモニーを生み出すという役割を果たさなければならない。

構図においてハーモニー(調和性)は重要である。大型併せの撮影では、誰か一人が立ち位置を間違えると構図の調和が崩れる。全体を見渡して、一人一人の立ち位置を精細に指示しなければならない。

とはいうものの、いざ現場で撮るとなると、緊張感と限られた時間との戦いで焦りが生じる。枠内の時間ですべての演目を撮り終えなければならない。

特に9人以上の大型併せをスタジオで撮るとなると、メンバー全員に均等に光を当てなければならない。これがなかなか難しい。もし一番手っ取り早い方法があるとすれば、ストロボを使わずにISO感度を上げて撮るという方法があるが、問題はノイズが発生しすぎてせっかくこの日のために奇跡的にメンバーが揃ったのに、写真がノイズだらけで台無しになってしまうことだ。

集合写真の撮り方の基本

集合写真を撮る際に気をつけなければならないのは、レンズの焦点距離、F値の二つだ。

焦点距離は50mm以上が良い。35mmの広角だと写真の端の人物が歪んで描写されてしまうからだ。

集合写真を撮る時は超広角ズームレンズではなく標準ズームレンズを使おう

また通常はF値を上げる必要がある。全員にピントが合うように写さなければならないからだ。また集合写真はパンフォーカスで撮った方が綺麗だ。全員がクッキリカリカリに写っている方が美しい集合写真になる。

ゆえにF値を上げる必然性が生じるのだが、F値を上げれば写真はどんどん暗くなる上に、スタジオ内は実際に思っているよりもカメラで撮ってみると暗いので、ISO感度を上げる必要がある。F8まで被写界深度を深めるとすると、ISO感度もかなり高めに設定しなければならず、APS-C機や古い一眼レフデジカメだと、ノイズで写真が台無しになる危険が生じる。

だから集合写真を撮る場合は、ISO感度を上げるだけだと限界がある。より美しい写真を撮ろうと思えば、ストロボを使う方が合理的である。出来ればソフトボックスかアンブレラを使うと良いだろう。更に美しい写真に仕上がるはずだ。

ライティングやカメラの設定など、すべての準備が整ったら、一度撮ってみる。一人一人に理想的に光が当たっているかを確認して、立ち位置がちぐはぐとしていたりポージングがおかしかったら、モデルに指示を出す。写真の端のモデルの爪先までシッカリと写っていることも注意しなければならない。後はかけ声をかけて、全員にシャッターを押すタイミングを伝える。表情が作りやすくなるし、半目写真を防げるだろう。

大型併せの撮影の時は、カメラマンはオーケストラの指揮者のように振る舞おう。声をよく出し、モデルとコミュニケーションを撮ることを心がければ、ステキな集合写真に仕上がることだろう。