まだコスプレ撮影を始めて間もない頃、スタジオに撮りに行ったときにコスプレイヤーさんがせっせとスタジオの備品を使ってスタジオの中にスタジオを造っていた。どういうことかというと、花や写真や花瓶や幕などを配置していって、とても見栄えの良い空間を作り上げていたのだ。
あれから4年経っただろうか。ホワイト系のスタジオに赴いて、様々なシチュエーションをあらかた撮ってしまい、時間もまだ余っていたので、最後にスタジオの備品を用いて一角を飾り付けていくことにした。
はじめは特に深い考えはない。何から手を着けて良いのか迷うものだが、迷って何もしないくらいなら行動に移すべきだ。口を動かす暇があるならまず手を動かせ。手を動かしていけば自ずとアイデアが浮かんでくる。そこにある物を見栄えが良くなる或いはキャラクターに生えているウサギの耳のように意外性を引き出そうと配置していく。もしそこに物語性を求めるなら不思議の国のアリス的なものだろうか。それともイギリスかアメリカの片田舎の、庭に花が咲き誇るオーガニックな家の一室だろうか。
そういえば少し前にも、スタジオを備品で飾り付けして撮影したことがあった。
スタジオにある備品だけで物語を組み立てていくのは少々難しいが、手を動かし配置していけばだんだんとイメージが膨らんでいき、出来上がっていくものだ。山道を一歩一歩上っていけばいつかは頂上に着くのと同じように。