千里川土手へ再び飛行機撮影に赴いた。今回は主に夜の飛行機を撮ることを目的に、200mmの望遠レンズと、5DsR、三脚をひっさげて伊丹空港側の千里川土手へと向かった。
夜撮影なのだから、高感度撮影に強い1DXを持って行けば良いではないかとも思ったのだが、やはり5DsRの誇る5060万画素の高画素は捨てがたい。特に風景写真においては高画素は何かと魅力的な写真を弾き出してくれる。
写真の楽しみ方はその人によりけりだが、高性能なデジタルデバイスが主流となっている現代では、パソコンを使って等倍鑑賞で写真を鑑賞するのも写真の愉しみ方のひとつだろう。高画素一眼レフと高解像度レンズの組み合わせでどれほどの写真が撮れるのかを観るのも一興だ。
突然思い立って家を飛び出してきたので、千里川土手に到着した頃には夕暮れ時だった。阪急宝塚線曽我駅から徒歩で15分程度。駅前の商店街をぐんぐんと突き抜けて、住宅街の奥まで入り込み、左折して高速道路の高架橋まで直進し、右折してすぐの横断歩道を渡る。町工場を突き抜けるとやがて土手が見える。つまり駅を出てから4度道を曲がるだけで簡単に辿り着ける。
平日ということもあり、人は大勢はいなかったが、滑走路を真後ろから見れる地点には、川の両側の土手にカメラ愛好家達が、黒く面長な望遠レンズを装着したカメラを三脚にセッティングして集っていた。
前回来た時とは違い、夏の雑草が滑走路の柵に生い茂っていて、視界を邪魔していた。一部見晴らしの良いところがある。ちょうど飛行機が飛んできたので、手持ちで撮ってみた。
既に日が暮れだした。滑走路に降り立とうとしている飛行機を間近で撮る場合は、シャッタースピードがどうしても1/640秒は欲しい。被写体ブレをせずにクッキリと写したいという場合の話だが。しかしクッキリ撮ろうとしてシャッタースピードやF値を上げると、昼間の明るい時分ならいいのだが、夕暮れ時となると思っているよりも暗いので、ISO感度をあげなくてはいけなくなる。上に掲載した写真はISO400まで上げた。
高感度撮影に弱いのが5DsRの弱みだ。このカメラのユーザーはこぞってISO感度は上げたくないといっている。出来るだけノイズの少ない綺麗な写真を残したいからだろう。
しかしそれは時と場合に寄りけり。明るく写したいのなら躊躇わずにISO感度を上げることだ。今は高性能のノイズ処理が可能なDxOのようなRAW現像ソフトもあるので、ノイズも等倍で観ても気にならない。パソコンに上げるサイズなら、ノイズの気にならなさは尚更だろう。APS-C機の優位性をフルサイズ機と比べる際に、SNSやTwitterなどのネットに上げるサイズなら画質の違いは分からないと嘯く話をネットでよく見かけるが、ようはそれと同じロジックである。
こちらはISO1600の写真。等倍で見るとノイズが目立つ。なぜ目立つかといったら、キヤノンの純正RAW現像ソフトDPPで「明るさ調整」を+1.67まで上げたまま、デフォルトのノイズ処理のままで加味していないからだった。しかも焦点距離が2倍になるエクステンダーを装着して撮影したので、画質も若干劣化している。しかしパソコンの23.8型ディスプレイで鑑賞する分にはノイズは分からない。
空もどっぷりと闇に覆われ、ISO感度も上限の6400まで上げた。それでも飛行機自身のランプで照らされた機体と夜景以外は真っ暗だ。飛行機の夜撮影はなかなか苦戦する。超音速で飛行している被写体を捉えなければならないのだから、シャッタースピードは下げられない。F値を開放で撮るしかないだろう。
こういう時にサンニッパがあればなぁと思う。Canon EF200mm F2.8L Ⅱ USMは高級レンズの冠を戴いたLレンズで実売価格10万円。写りは悪くないが、サンニッパの写りには及ばないだろう。300mmなら遠くの飛行機を引き寄せて撮ることも出来る。千里川土手から滑走路に佇んでいる飛行機を撮ると、キラキラと輝く夜景も圧縮効果で引き寄せられるので、更に絵が映えることだろう。
初めのうちは飛行機の横っ腹を撮りたかったので、滑走路の斜めから撮影していたが、夜になりISO感度を上げても飛行機の機体を捉えづらくなった。そこで滑走路の真後ろまで移動して、飛行機の後ろ姿をダイナミックに捉えることにした。
平日なので人は少ない。土日休日になるとかなりの人でごった返すそうだ。何でもテレビで取り上げられたのが原因らしい。
滑走路をゆっくりと動く飛行機を狙ってシャッターを切っていく度に、200mmでは短いなぁと感じざるを得ない。元々千里川土手は昼間撮る時は、間近に迫る飛行機を広角レンズで撮ると印象深い写真が撮れるのだが、夜撮影となると話が少し違ってくる。やはり長いレンズが欲しい。
夜8時50分頃には、飛行機も来なくなるので撮影終了。というわけで満足のいく写真は撮れたが、持ってきたレンズには満足できなかった。夢のサンニッパを手に入れるまで、この消化不良の感覚は続くのだろう。