飛行機撮影の聖地、千里川土手で初めて航空機撮影をしてきた。軽い気持ちで出かけたので、大仰な機材は持ち込まず、超広角ズームレンズや標準単焦点レンズ3本を持参しての撮影だった。
結果から言うと望遠レンズを持ってきておけば良かったと後悔した。千里川土手では大阪国際空港(伊丹空港)に着陸する寸前の旅客機をダイナミックに撮影することが出来るので、むしろ超広角レンズが必要なのだが、飛行機がやってくる時間帯にムラがあり、矢継ぎ早に飛んでくる時もあれば、なかなかやってこない時間帯もある。
その暇を持て余している時間帯に、望遠レンズを使って、大阪国際空港の滑走路をゆっくりと旋回してくるジャンボ機の雄大な横腹を撮影することも出来た。流石に35mmや55mmのレンズでは、肉眼で見れば大きいように見える旅客機を、カメラに大きく収めるのは難しい。5060万画素の5DsRを以てしても、標準域の焦点距離では、トリミング等倍しても迫力に欠ける。
この日持って行ったカメラは5060万画素の5DsR。初めての飛行機撮影で、おそらく上手い構図で撮るのが難しいだろうという事と、荷物を出来るだけ減らしたくて望遠レンズを持って行かないことに決めたので、トリミングしても大きいサイズになる超高画素カメラを選択した。
今にして思えば超広角から望遠まで様々な焦点域のレンズを持って行けば1日でいろんな絵が撮れて良かったのだが、この日は初めての航空機撮影ということもあり、荷物の軽さを追求してしまった。
カメラとレンズ以外に必要な機材
滑走路の飛行機を綺麗に撮影するためには、まず空港を取り囲むフェンスの高さに注意しなければならない。そこそこの高さがあるので土手に足を着けて被写体を追うと、どうしてもフェンスが写り込む。封鎖されている細い橋のコンクリートの段に上ることも出来るが、スペースが限られていて二人くらいしか利用できないし、ベストショットが撮れる場所とは限らない。
この柵を写さないようにするには、脚立か三脚が必要となる。少しでも荷物を少なくしようと思ったら、三脚が優位だろう。三脚でカメラを高い位置に固定して、フェンスが写り込まないようにフェンス越しの航空機を撮影する。
特にカラフルな誘導灯にライトアップされた滑走路に佇む飛行機を撮影するとなると、三脚は必須だ。
カメラが2台あると便利
昼間に大阪国際空港に着陸する飛行機を撮影する場合、遠くからやってくる際に撮れる正面のショットと、間近にやってくる際に撮れるダイナミックなショットの両方を狙おうと思ったら、望遠から超広角ズームにレンズを付け替えなければならない。
飛行機がやってくる時間からして無理である。案外遠くに飛んでいるように見える飛行機も、近づいてきたら大きくなっていくのはあっという間で、レンズ交換の隙に滑走路に降り立って遠くの方に行ってしまっている状態だ。
たとえ間に合ったとしても、慌ただしいレンズ交換は、カメラやレンズをついうっかり地面に落として壊してしまいかねない。
そのようなリスクを避けるために、カメラを二台所有していれば、一台のカメラに望遠レンズ、もう一台のカメラに超広角ズームレンズを装着した撮影体制にする事をお薦めする。
これなら遠くに飛んでいる時は望遠レンズを着けたカメラで撮影して、近づいてきたら、超広角ズームレンズを装着したカメラに持ち替えて、連写で撮れば良い。
遠くからやってくる飛行機を望遠で撮る時は、体感的にゆっくりと近づいてくるので、連写性能は必要ない。間近にやってきた飛行機を撮る際には、もの凄いスピードで頭上を飛び抜けるので、連写性能に優れたカメラの方を選ぶ。
また、千里川土手を横切る航空機には、航路が二つあり、交互に次々と飛んでくるのだが、片方の航路は小型機が飛んでくるので、それを撮ろうと思えば望遠レンズは重宝する。レンズの付け替えは面倒かつ煩雑なので、両方の航路を飛んでくる飛行機を矢継ぎ早に収めたい場合は、カメラを二台体制にすると、大小の飛行機が撮れ、貴重な時間を無駄にしなくて済む。
魚眼レンズが効果的
コスプレ撮影には滅多に活躍しない魚眼レンズだが、目と鼻の先に迫る飛行機を撮る場合は、魚眼レンズの歪んだ広角表現がありありと活きてくる。何より15mmという超広角域が飛行機の巨体を収めるのにちょうど良く、丸い歪みがそのまま地球の丸みを表現しているようで、ダイナミックかつ他の超広角レンズとはひと味違った写真を撮ることが出来る。
キヤノンの純正レンズなら、DPPで丸い歪みを真っ直ぐにする事も可能だし、RAW現像ソフトDxOのディストーション機能を用いれば、同じく歪みを真っ直ぐに補正してくれる。千里川土手のような頭上スレスレに迫る着陸寸前の飛行機を撮る時には、ハイブリッドな魚眼レンズは重宝する。