コスプレ撮影をしていると、背景をどれくらいぼかしたら良いか、相方をどれくらいぼかしたら良いか、というボケの量が常に気になってくる。やはりコスプレイヤーさんにも人それぞれで好みが違うだろうし、Otusで撮っていると開放から収差がないのでどうしても背景を思い切りぼかして撮りがちになる。
ボケの量に関しては何を参考にすれば良いだろうか。1つの答えとして、映画やアニメを映画館で観ることをお薦めする。映画館に頻繁に通っているのだが、普段から写真を撮っているせいか、物語よりもこういったシーンではどれくらい背景をぼかしているかといった事の方が気になったりもする。
なぜ映画館かというと、チケット代や交通費、パンフレット、ポップコーン代などお金を払って観ているから、元を取ろうと集中して観れる。全身で作品を吸収しようとする。それに基本暗くてスクリーンだけが明るく、密閉空間で椅子に座り続ける状態であることも集中力を高める。問題は椅子だろうか。大規模映画館では椅子に包み込まれるような深みがあって座り心地が良く2時間近く座っていても疲れない。中規模の映画館となると、あまり椅子の作りが良くない、もしくは元々映画ではなく何らかの舞台や講演用のステージを映画館に改装したところなどは椅子の作りが悪く、長時間座っていると疲れる。でも我慢すれば2時間観られないことはない。
アニメに関しては京アニのアニメ作品が、背景のぼかし方がとても参考になる。『氷菓』や『リズと青い鳥』などの耽美な絵柄の作品が良い。
アニメを参考にするもう一つのメリットは、大胆な構図が参考になる点だ。コスプレ撮影は基本、アニメやマンガ、ゲームのキャラクターのコスプレを撮ることになる。となると原作に寄り似せて作品と一体化したいコスプレイヤーも、アニメやマンガにあるような構図を潜在的に求めている。写真の構図の本では学べないヒントが映画やアニメにはふんだんに盛り込まれている。
近年の京アニの作品は、背景のぼかし方・構図の両面で、優れた映画のように表現力が素晴らしい。先日観に行った『リズと青い鳥』は京アニの集大成のように表現技法が美しかった。
映画に関していえば、ヨーロッパ系の映画がやはり参考になる。大胆なぼかし方を学べる。娯楽系の映画は、背景のボケなどにはあまりこだわりが見られないしめまぐるしく展開するストーリーの方にのめりがちになるので、文芸作品をテーマにした映画や、繊細な心情を綴った映画を選んで観に行くと良いだろう。そういった映画は登場人物達の心情と撮影手法が一体化している。手法こそがそのまま語りとなっているからだ。