日の丸構図はよくダメな構図とカメラ初心者には教えられがちだが、そうでもない。日の丸構図は構図の基本中の基本であり、写真を見る者の目に被写体を最も印象づけるのに、大変効果のある主役級の構図だ。
ではなぜ日の丸構図は悪役にされてしまうのだろうか。それはカメラの初心者がシャッターを押す際に、最も陥りやすい構図だからだ。
僕自身もそうだった。初めてイベント会場でコスプレ写真を撮った時に、カメラを縦にして撮ると、見事に日の丸構図になった。特に構図を意識したわけではなかったが、結果的に自然と日の丸構図になってしまっていた。コスプレした綺麗な女性を目の前にして撮るのが初めてだったので、焦りが生じたのかもしれない。
柄のないカラーの衝立を背景に、写真のど真ん中に人の顔を置いたので、上半分が無駄に空いてしまうという非常にダメな写真となってしまった。
その時に撮った写真を数年後に見返した時に、もっと人物の顔を上の方に持って行けば良かったなぁと後悔した。頭の上に拳2つ分くらいのスペースを開けて撮っていれば、きっとスタイルの良さを強調した素敵な写真が撮れていたことだろう。
その構図で撮ることの意味を探りながら撮ることを心掛けよう
日の丸構図で撮り続けていると、同じような写真ばかりになってしまう。そこで初心者は日の丸構図からの脱却を図る必要があるというわけだ。2分割構図、3分割構図、4分割構図、対角線構図、シンメトリー構図、S字構図など数え上げえればキリがないが、それらの構図を頭の片隅に入れて置いて、ここぞという時に最も効果的な構図を引っ張り出してきて、パッと適応させる。
そのようにして撮影の経験を積み重ねていく内に、いずれ日の丸構図が恋しくなってくる。その時のあなたはもう既に、なぜここで日の丸構図で撮るのか、被写体をどう見せたいのかを意識して、日の丸構図を使っているはずだ。初心者の頃のように意識せずに日の丸構図になっていたというのではなく、様々な構図をチョイスするというプロセスをこなしてきた熟練の経験者として、被写体と向き合っていることだろう。