9人前後の大型併せとなると大変だ。何が大変かといって、ストロボで全員の顔を均等に、かつ綺麗に当てなければならない。
これはスタジオ撮影に限ったことだ。野外なら自然光と逆光のコンビネーションがすべてを解決してくれる。もし大型撮影に躊躇っているのなら、野外での撮影を敢行すると良いだろう。
しかし大半の大型撮影はどういうわけかスタジオだった。というわけでストロボ必須となるのだ。スタジオにもソフトボックスなどのライティング機材は用意されているが、いかんせん定常光は光量が弱い。被写体にギリギリに近づけないと光が来ない。
ピンショットならその手法も使えるだろう。しかし大型撮影となると、ソフトボックスの近づけすぎは構図が限定されるし、次の理由が一番ネックなのだがソフトボックスが写り込んでしまう。
だから自分でアンブレラなりソフトボックスを持参して、クリップオンストロボを取り付けて、大型撮影に臨まなければならない。
大型併せを、良い感じで影を着けたいために、1灯だけで斜めサイドから撮ってみたが、端の方まで光が届かないという事態が発生した。そこで大型撮影の場合は、両サイドから光を当てる必要に迫られる。
2灯使うと全員に光が行き渡る。しかしもしここで背後の白壁を飛ばしたいとなったら、もう1灯必要になる。背後の白壁を飛ばすと、中途半端な灰色っぽい壁が真っ白になり、被写体が浮き出る。更に良いことには、逆光効果で被写体の体が白い光で縁取られる。腕や足に白の光が帯びて美しく見せることが出来るのだ。
しかし問題もある。大型撮影となると、横幅が広い。果たしてクリップオンストロボ1灯だけで白壁のすべてを飛ばすことが出来るだろうか。おそらく2灯は必要だろう。
次の作例を見て頂こう。撮影にあたり、イメージカラーの黄色と紫で背後の壁を色づけして欲しいと言われた。この日持ってきていたストロボは3灯。8人の大型併せということもあり、ライトスタンドが2本と大型のソフトボックスを持ってきていたので出来るだけ荷物を減らしたかったのだろう。それが裏目に出た。
本来なら両側からストロボ2灯当てることで、前後バラバラな集合写真の全員のメンバーに均等に明るく光を当てるべきなのだが、3灯の内の2灯を背景の色づけに使ってしまった為に、1灯ストロボで行くしかなかった。大型撮影における多灯ストロボで4灯以上必要なのは、こういう内幕がある。
しかしむしろこういう時こそカメラマンの腕の見せ所だろう。自由な環境よりも制約された環境下の方が、知恵は出やすい。上の写真もそうだが、1灯の方が影が出て陰影が付きやすく人物が立体的に見える。
今回のように背後の白壁を飛ばしたいとか壁に色を付けたいといった場合は、6万円するフラッグシップストロボ600でなくても構わない。実売価格3万円の430で充分だろう。障害物による影響を受けない電波通信のストロボをお薦めする。