カメラのホットシューの上に取り付けることが出来るクリップオンストロボは、モノブロックストロボと比べて、光量が弱いとされる。カメラの設定を暗くして被写体のみをストロボ光で明るく照らして撮る場合などは、光量が足りずに被写体が薄暗くしか写らないといった事もある。
しかし予算は限られる。高価なモノブロックストロボを買うのは躊躇われるし、いざイベントやスタジオに持って行くとなるとハードな荷物になる。今手元にあるストロボを使って、何とか光量を確保出来ないだろうか。まずはストロボの明るさの基準値から見ていきたい。
ガイドナンバーの見方
ストロボのカタログにガイドナンバーの表記がある。ガイドナンバーはストロボ光が届く距離を表した数値で、大きい方がより遠くまでストロボ光が届く。遠くまで光が届くということは、それだけストロボ光が強いということだ。この数値を見ることで、そのストロボの持つパワーを窺い知ることが出来る。
例えばキヤノンのスピードライト600EX II-RTのカタログには、
ガイドナンバー60(照射角200mm設定時、ISO100・m)
とある。これは照射角200mmでISO感度を100に設定した時の数値だ。この設定で60という明るさはクリップオンストロボの中では最高峰に位置する。
また、ストロボ光の届く距離は、ISO感度を上げることで長くなる。
それではこの知識をベースに、ストロボ光を明るくする方法をふたつ紹介していこう。
照射角を狭める
クリップオンストロボは照射角を設定出来る。照射角とは、ストロボの光の広がり具合のことだ。キヤノンのスピードライト600EX II-RTでが、レンズの焦点距離20mmから200mmに合わせて設定する事が出来る。ストロボの広がりを制御することで、例えば広角レンズで広く撮った場合に画面全体にストロボ光が行き渡るように写すことが出来る。
この照射角を狭めることで、ストロボの光量を強くすることが出来る。ストロボのスイッチを入れると、照射角は24mmとなっている。TTLオート方式なら装着しているレンズと連動して自動的に照射角を調整してくれるが、マニュアルモードの場合は自分で設定しなければならない。望遠側に照射角を設定すると、遠くにストロボ光を届けるために光が強くなる。
後ろからリムライトとして使いたい場合や、ライブハウスのようなバックライトが欲しい場合は照射角を狭めて光量を強くするのも1つの手だ。
ISO感度をあげる
ISO感度を上げることで、ストロボ光が届く距離が伸びる。すなわちストロボの光が明るくなる。もしもストロボ光が弱いなと感じたら、ISO感度を上げることで、ストロボ光を明るくすることが出来る。
マニュアルモードだと、ストロボの強さを1/1のフル発光に設定する事で一番強い光になるが、フル発光は次のショットを撮影するのにチャージ時間が必要になることもあるだけでなく、熱を帯びると制御されしばらくの間光らせることが出来なくなる。またストロボへの負担も大きい。
フル発光で撮影するくらいならISO感度を上げて撮影した方が現実的だ。F値で明るさを調整することも出来るが、理想とする絵作りがあるなら、こちらも余り現実的ではない。ISO感度を上げて写真全体が明るくなった分、シャッタースピードを1/250秒まで速くする、もしくはF値を絞って元の露出に戻すと良い。