先日六甲山に写真を撮りに行ってきた。今回も色々得るものがあった撮影だったので、六甲山で写真を撮るときのお薦めレンズやカメラの設定、注意点などを掲載していきたい。
カメラの設定はシャッタースピード優先AE、もしくはマニュアルモード
野外の天気はコロコロ変わるし、明るさも変わるので、ほぼシャッタースピード優先AEで撮影した。マニュアルモードでも撮れるが、やはり明るい被写体や暗い被写体を歩きながら撮っていく場合には、シャッター優先AEが明るさが一定していて最も楽だ。
花崗岩むき出しの奇岩などで更に太陽の光が当たっている明るめの被写体を撮影するときは、露出補正をマイナスの方に設定する。何分むき出しの岩肌は白飛びしやすいので、本能的にマイナス補正にしがちだ。
ピクチャースタイルは風景(キヤノン)にした。緑がより明るく、空がより青くなる。太陽の当たった白い岩肌と、空を一緒に写すと、カメラの設定が暗めなので、空がとても青く映る。
シャッター速度優先AEで問題となるのは、日中で明るいので、被写体によってはカメラマンが定めた適正露出を得るためにF値が11を超えてしまう事が度々ある点だろうか。上の写真のようにシャッタースピードによってはF11を超える設定になる。小絞りボケが気になる場合は、シャッタースピードを上げて撮ると良いだろう。常にF値の数値を確認しながら撮る事になるので煩わしい場合は、マニュアルモードに切り替えると良い。陽光が良く当たった明るい被写体ならISO感度は100、F値11、シャッタースピードは明るさに応じて変えてカメラの設定を固定して撮る。下の写真はシャッター速度優先AEのまま、シャッタースピードを1/200秒と速くして、F値が11を超えないようにした。
ならいっそ絞り優先AEで撮影してみてはどうかという疑問が湧き起こるが、絞り優先AEでF11のような設定にしてると、暗い被写体にカメラを向けたときに、シャッタースピードが手ぶれしてしまう速度になってしまう恐れもある。またISO感度が極端に上がる事も考えられノイジーな写真になってしまう。
シャッタースピード優先AEにしても、マニュアルモードにしても、撮ってみて明るさがおかしければ、露出補正やシャッタースピードなどを調整したりするので、あまり利便性は変わらないかもしれない。暈かす表現が必要ない場合は、シャッタースピード優先AEにしておけば、手ぶれしないシャッタースピードに設定して、F値やISO感度はお任せという方法が採れる。
ISO感度はAutoに設定。これを忘れると、暗い被写体を撮る場合に、他の数値がこれ以上調整できない限界に達し、明るさが全く足りないといった事態が生じる。
たとえば木陰に覆われた暗めの場所だと、シャッタースピード優先AEで撮ると、F値が小さくなる。開放F値でも設定した露出で明るさが足りない場合があり、F値の数値が点滅するので、その場合はISO感度が上がるのだが、ISO感度をAutoに設定していないとISO感度が変わらないので暗い写真になってしまう。
山で撮るときのカメラの設定(キヤノン機)
- 1.シャッター優先AE,2.マニュアル,3.絞り優先AE
- シャッタースピード:手ぶれしないセオリー【1/焦点距離 x 2】
- 絞り値:F9〜F11
- ISO感度:Auto(シャッター優先AE時)
- ピクチャースタイル:風景
- 露出補正:明るい被写体は−・暗い被写体は+
全体をシャープに写すか、シャープネスを犠牲にしてノイズを減らして写すか
全体をシャープに移したい場合はAPS-C機はF9、フルサイズはF11を上限と据えて撮っていきたいところだが、マニュアルモードや絞り優先AEモードでそのF値で撮ると、ISO感度を上げる事になる。ノイズが気になるので、画質を取るか、写真全体のシャープネスを取るか、トレードオフとなる。
なるべく明るさを確保してISO感度を極量上げないようにするための一手段として、手ぶれ防止機能の付いたレンズを使えば、シャッタースピードを1/100秒以下にしてもブレないだろうが、今回持ってきたCanon 5DsRは5060万画素と高画素なので、手ぶれを防止するためにはどうしてもシャッタースピードを早めたい欲求に駆られた。
六甲山に持っていきたいレンズ
ちなみに今回持参したレンズは、Zeiss Otus1.4/55、Canon EF24-70mm F4L IS USM、Canon EF16-35mm F2.8L Ⅱ USMの三本。これ以上レンズを増やすと荷物が重くなり登山に支障を来す恐れがあったので、3本に留めておいた。うちOtusは重量級のレンズだが、やはり一眼レフデジタルカメラ最高峰のレンズで山の景色を撮りたいのと、ボケの表現も欲しかったので持参した。
しかし登山の場合はなるべく荷物を軽くする方が良い。実際七曲がり辺りを登っている最中に背中の荷物が重く感じられた。その頃には弁当も食べ終わり、2Lのスポーツドリンクもあらかた飲み干していたので軽くなっているはずだったが、何かがずっしりと背中に重くのしかかった疲労感が伴う。
登山では高倍率ズームレンズ一本という選択もあり得る。荷物の量が減るし、広角から望遠まで焦点距離をカバーするために数本レンズを持参するよりも、これ一本なら荷物も軽くなる。画質も一昔前と比べると改善されて来ているそうだし、どうせ山の風景はF8からF11くらいまで絞って撮る事になるから、画質もシャキッとするのではないだろうか。しかし調べてみたらフルサイズ用の高倍率レンズは、27万円するLレンズしか無かった。APS-C機なら、Canon EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USMが画質の評判も良くよさげ。
今回持参したレンズでは、焦点距離は16mmから70mmをカバー。間近から花崗岩・奇岩をフレームに収めるためには、16mmでは足りないくらいだった。かといって自由に距離を取れない。景色が広大なので、16mmの焦点距離でもパノラマに広く撮れると言うほどではない。しかし鉄塔などは綺麗に収まった。
六甲山最高峰付近から撮影する際に最適な焦点距離
六甲山最高峰から撮影する風景。広大な山の峰の連なりはやはり16mmでは収まらない。ただ16mmで広く撮ったところで山々が小さく写ってしまいインパクトに欠けるというデメリットも生じる。そういった場合は上空の雲を流れるように撮り、欠けたインパクトを補完したいところだ。
やはり標準域の55mmで山々を呼び寄せて切り取って撮った方がインパクト大か。
一方で大阪の都会の景色の方は、超広角で全体を写したり、標準や望遠で一部分を切り取ったりと、様々な撮り方が出来る。場所によっては手前の草木が映り込んでしまうので、撮影スポットを見極めて撮りたい。
六甲山最高峰から撮ると電線が写り込みまくるので、そこから少し坂道を下った場所や車道沿いの広場に、綺麗に撮れるスポットが幾つかあった。皆がそこで撮ったり眺めたりするためか地面が踏み固められ雑草が生えていないので分かりやすい。
画質の良い高性能単焦点レンズである程度切り取って撮るのも良いし、ズームレンズで草木や電線などの不要な物が写り込まないように焦点距離を調節して撮るのも良い。
六甲山最高峰からの風景写真をマニュアルモードで撮影しているのは、登頂し終わり急ぐ必要が無く時間に余裕があるのと、レンズによってF値を変えて撮るため。キヤノンのレンズはF11でシャープに写るが、Otusの場合はこれまでの撮影経験上、F8を超えるとシャープネスが若干弱まるのでは無いかという懸念からF8に設定している。実験していないのでなんとも言えないが、まぁおまじない程度でF8で撮影している。カメラに設定してある露出補正の数値も表記しているが、マニュアルモードで撮る際は意味がほぼ無くなるので、無視して貰って構わない。ファインダー内の露出計を参照したい場合は露出補正はゼロにすれば分かりやすい。
各レンズの焦点距離の利便性と作例
超広角ズームレンズは、山の風景を超広角でダイナミックに撮るのにも広角35mmで平坦に撮るのにも適している。
24−70mmのズームレンズは、遠くにある山肌や奇岩、ダムなどの人工物を引き寄せて撮るのに適しているし、カメラマンの立ち位置が固定されるような山の中では、最適な構図を得るのにも適している。
55mmの単焦点標準レンズは山道を暈かして撮ったり、絞って切り取ってシャープに撮るのに適している。という事で三者三様の使い道がある。
これ以上レンズを加えると重さで登山が困難になりそうだ。次回赴く時はレンズを入れ替えるか、望遠レンズのみ持っていって撮影するというスタイルも良いかもしれない。
登山時の撮影の注意点
カメラをぶら下げて岩肌を登るときは、カメラがぶらぶらしてレンズやカメラが岩に当たる危険がある。実際当たって塗装が少し剥げた。落としたりする危険もあるので、岩肌をよじ登る際はカメラをリュックサックにしまった方が良い。
山道で撮る場合は他の登山者に配慮して、撮影に熱中するあまり、通行の妨げにならないように注意したい。
レンズキャップなども落としてしまうと坂道を転げ落ちてそのまま谷におむすびころりんしてしまうので、気をつけたいところだ。