コスプレ界隈では女性が女の子のキャラクターのコスプレをすることを女装といい、女性が男の子のキャラクターのコスプレをすることを男装という。
女装と男装の割合は半々だ。女装をする事が多いコスプレイヤーもいれば、男装をすることが多いコスプレイヤーもいる。
最近のコスプレ界では、スタジオやイベントに撮影に遊びに行く時はカメラマンが着くことが一般的となった。レイヤー歴の長い人に聞くと、この傾向は4,5年くらい前からの現象らしく、それより昔はカメラマンが着くということはなく、自分たちのコンデジや写ルンですで撮っていたそうだ。毎週コスプレイベントが開催されているATCでは、交流メインのコスプレイヤーさんがそれこそ400人くらい殺到して賑わっていたと聞いたこともある。
というわけでカメラ業界において、にわかにコスプレ撮影の分野が開拓されつつあり、新しいマーケット(お客さんがお金を使ってくれる分野)としても認識されつつある予感がするのだが、この場合のカメラマンは、言葉通り男性である。女性のカメラマンはまだ少ない。
女性コスプレイヤーの女子キャラを撮りたがる男性カメラマンは多い。それはやはり種の生存本能から来るものであろう。通常、男は女に恋をする。ただでさえカメラを趣味にしている男性は、人物を撮るとなると可愛い女の子を撮りたがるものだ。その流れから来ているためか、当然コスプレでも女子キャラを撮りたいという男性カメラマンは多い。
現実として、女子キャラは撮りたいけど、男装キャラは有休を使ってまで撮りたくないという人もいる。おそらくこれが大勢だろう。これは当たり前のことで、趣味でやっているカメラで、1週間の内5日間額に汗して働いて得ることが出来る貴重な2日間の休暇を、わざわざ本人が撮りたくないと感じている男装撮影に、交通費や参加費までかけて費やすのは、よっぽどのお人好しだろう。
では逆に女性カメラマンは女性コスプレイヤーの男装を撮りたがるのかというと、どうも事情が異なるらしく、撮らないことはないが、自分の好きなキャラクターを撮りたいということだそうだ。どうも女性は、その点、異性よりも冷ややかでドライなようだ。また女性同士ということで、男性-女性間にはない感情の齟齬による揉め事も色々とややこしいらしい。
その一方でコスプレ界では、SNSに上げられる写真などを見ていると、女性コスプレイヤーの男装写真は、女装よりも多いような感じさえする。
このような需要のミスマッチから、女性コスプレイヤーの男装キャラを撮影してくれるカメラマンは見つかりにくい傾向にある。
しかし中には女性コスプレイヤーの男装を撮りたいという男性カメラマンも、奇特と言うべきか僅かながらにいる。むしろ男装を撮りたいというカメラマンもいるという話もレイヤーさんから聞いた(残念ながらその人は仕事の都合で遠くへ行ってしまわれたとのことだった)。
しかし諦めるのはまだ早い。カメラマン募集の内容さえ工夫すれば、男装キャラでも撮ってくれる腕の立つカメラマンを見つけることが出来るだろう。筆者自身、男装も女装も撮るアマチュアカメラマンとして活動しているので、男の気持ちをよく知っている。男性カメラマンの心をくすぐるその方法を紹介していきたい。
作品名・キャラクター・衣装を明確に記載しよう
中には「この作品は撮りたいけどこの作品は撮りたくない」、「このキャラクターは撮りたいけどこのキャラは撮りたくない」、「このキャラのこの衣装は撮りたいけど、この衣装は撮りたくない」という人もいる。いや、そういう人が大勢だろう。募集要項には、作品名とキャラクター、衣装をキチンと明記しておこう。これがあるかないかで、募集の効率が大いに異なる。
参加人数をハッキリとさせよう
既に参加人数が決まっていれば、人数を明記しておこう。カメラマンの中にはピンショットは撮れるけれどツーショットや大勢の集合写真は苦手という人もいる。所有しているレンズやライティングの機材の都合もあるだろう。
逆にピンショットは撮るのが飽きたので、大型併せの集合写真を撮りたいという人もいる。人の趣向は様々なので、人数を記載すること。
撮影場所を明確にしよう
自然光を行かした野外での撮影が得意という人もいれば、ストロボライティングを活かしたスタジオ撮影が得意という人もいる。逆も又しかりで、野外撮影、スタジオ撮影が苦手という人もいる。これも所有カメラやレンズ、ストロボなどの機材の有無が関係してくる。
また、遠方の場所だと、交通費がかかったり疲れるという理由で、行きたくないという人もいる。撮影場所が書いてあるかないかは、メッセージを送るか否かの重要な指標ともなる。
参加費の負担は、コスプレイヤー側が持つ
最も効果的なのは、スタジオ代やイベント代の参加費は、コスプレイヤー側が持つと明記しておくことだ。写真の上手いカメラマンは予定が詰まっていることも多い。その中で撮りたいキャラクターや衣装で、撮影場所も希望に合っていて、更に参加費を負担してくれるとなれば、応募してくれる可能性も高くなるだろう。
交通費も持つ
カメラマンが見つからないけれど、どうしても必要という場合には、交通費や撮影場所までのタクシー代も支払うとダメ元で項目に付け加えてみよう。効果はあるかも知れない。
プロのカメラマンを雇う
それでも見つからない場合は、報酬を払ってプロを雇う方法が残されている。しかしこの方法は余り現実的ではない。プロに頼めば半日で報酬5万円+交通費+イベント代を支払う必要がある。
始めから募集要項に詳細を記載しておけば、後で揉めないし効率的
先日ツイッターで、最近はレイヤー側にカメラマンの参加費を持つ傾向があるというレイヤー側からの不満ツイートが流れてきたが、そのような傾向は聞いたことがなかった。
参加費負担の有無は、「お互い趣味でやっているんだから相互負担で」という問題ではなく、ケースバイケースである。モデル、作品、キャラクター、衣装、人数、場所、参加費負担の有無ほか今月のスケジュールの埋まり具合など、カメラマンはそれらを勘案して依頼を受けるか否かの結論を出す。
早い話が最初から募集要項に参加費負担の有無を明記しておけば、後から揉めずに済むだけの話だ。募集の当初の段階で、その点を有耶無耶にして意思の疎通が出来ていないから問題になる。
どうしてもレイヤーがカメラマンの参加費を負担することに抵抗があるなら、面倒臭い募集はやめて、昔日のように自分たちのカメラで撮り合いをすれば良いだけの話だ。
上述した項目を漏れなく書いておけば、後から揉めないし、無駄なメッセージのやりとりもする必要がない。要望しているカメラマンを効率的に見つけることが出来るだろう。