野外撮影ではレフ板は必須だ。顔が綺麗に写る。顔にかかる影を飛ばせる。逆光時に顔を明るく持ち上げることが出来る。キャッチライトが入って表情が生き生きとする。いい事だらけだ。
ただこの日はどういうわけか強風だった。りんくう公園へと向かう際に通りかかったりんくうタウン駅のビル風がもの凄かった。まるでテレビ中継で台風の中を必死に歩いている通行人のように身をかがめて通り過ぎなければならなかった。危険はないので或る意味面白かった。
りんくう公園に辿り着いてもやはり風が強い。台風の翌日に来たことがあったが、その時も同じように風が強かった。
風が強いと髪やウィッグ、衣装などが風に靡いてとても良い感じの写真が撮れるのだけれど、問題はレフ板だ。特にロールレフは板状なので、飛んでいくと危ない。
今回は3人の併せの予定が変更になり、それぞれ異なるキャラクターのコスプレをするという事で、どちらかを撮っているときにどちらかにレフ板を支えて貰うことにしたが、機材を入れていたショルダーバッグなどでも抑えることが出来たので、今回作例を撮った場所ではそんなに手伝って貰う必要は無かった。海沿いで撮ったときはさすがに風が強すぎて手伝って貰った。こういう風の強い日はレフ板なしで撮る選択も良い。
さて初めの写真は、遊歩道を向こうから歩いてきて貰いながら、200mmの望遠で撮るというもの。臨場感溢れる絵が撮れそうだが、動き物なので難しい。でもまぁ1DXだしAFも優れているので問題なく撮れた。
でも別に歩きながら撮らなくても、止まって貰ってポーズ着けて貰った方が撮りやすいよな、という事で、今度は静止状態で撮影。望遠なのでレフ板が遠すぎて当たらない。僅かに天井のキャッチライトは見えるが、レフで起こした光が当たってる感じがしない。そもそも歩いているところを撮っていた時はレフ板の光は当たらないので立てていなかった。
どうもウィッグの赤茶色が顔に被っている感じがする。ただ場所によっては自然な肌の色に写っている写真もあり、ウィッグのせいとは言い切れない。天候の違いかもしれない。それでオートホワイトバランスがちょっと変わったのだろうか。
現像時にホワイトバランス微調整を冷たい色に補正してお渡しした方が良かっただろうか。これをやると以前撮影したレイヤーから「なんだか色が冷たく寄っている」と遠回しに言われたことがあったので、最近は温かみのある色に補正する傾向にある。
色々と分析してはみたが、十分よく撮れている。失敗写真ではない。この後更に別の場所に移動して色々相談しながら撮っていったのだが、これがまた楽しい体験で、撮りたかった絵を引き出すことが出来た。
今度はベンチに座ってるところを撮る。これはレフ板が当てやすい。モデルの近くにロールレフを立てかける。いつものようにカメラバッグで。
レフ板の光は斜め下から当たることになる。今度はお顔の色味も問題ないし、明るく綺麗に撮れた。それに背景が丸くキラキラとボケていてお耽美だ。
カメラの設定は、シャッタースピード1/400秒、F2.8開放、ISO160。手ぶれしないセオリーのシャッタースピードに、開放で背景をキラキラと暈かして被写体が際立つようにし、明るさが足りないと感じたらISO感度で調整。
この日は200mmの望遠レンズを積極的に使っていった。最近流行の筋肉が人生の諸問題を解決するというのと同じで、望遠で撮れば何でも解決するといわんばかりに。実際にCanon 200mm F2.8L Ⅱ USMはAFが速いし、ピントが合いやすい。これがCanon 85mm F1.2L USMになると、AFがもっさりとしていて遅い。ポートレートを撮るには良いのだろうが、コスプレ撮影はテンポも重要だ。先ほどの歩いているのを撮る撮影などはAFが遅ければモデルの動きに追いつかない。やはりポートレート向けのレンズなのだろう。
それに望遠レンズなので良くボケる。F値も小さくて明るい。Lレンズなのに10万円前後で買えてしまうのも魅力だ。高すぎると明るいレンズでもデカくて重くて取り回しが悪いし、安すぎるとF値が大きくなり暗いレンズになってしまい撮影シーンを選ぶ。望遠だがコンパクトなCanon 200mm F2.8L Ⅱ USMは価格・性能共にバランスの取れた使いやすいレンズと言える。