ストロボ(スピードライト)は人物に前から当てると、顔がのっぺりとした質感になる。そこでトランスミッターをカメラに取り付けて、斜めから光を当てると、程よく陰影がついて自然な仕上がりになる。
カメラからストロボを離して発光させたり、複数のストロボを同時に光らせる多灯ストロボを実現するには、トランスミッターが必要になる。カメラ側にトランスミッターの機能がついている場合は不要だが、1DXや5D系のフルサイズ機にはついていない。
キヤノンのトランスミッターは2016年2月現在、2種類売り出されている。ST-E3-RTと、ST-E2だ。
結論から言うと、ST-E3-RTを買え。ST-E2は買うな。
多灯ストロボを実現するには、ワイヤレスストロボが必須だ。カメラとストロボをコードで繋いでいては埒があかない。10メートル以上先にストロボを置いて光らせることもある。
ワイヤレスストロボは、女性の肌を綺麗に写す為に必須のスキルだ。だからストロボを使って人物を撮る場合は、ワイヤレスストロボに必要な機材を構築しなければならない。
赤外線通信と電波通信の違い
ワイヤレスストロボには2種類ある。赤外線通信と、電波通信だ。
赤外線通信は、ストロボが安いという利点がある。その代わり、カメラに取り付けたトランスミッターとストロボの間に障害物があると、光ってくれない。例えば人物の後ろにストロボを置いた場合、人物が赤外線通信の障害物になるので、ストロボが光ってくれないことが多い。
電波通信は、カメラとストロボの間に障害物があっても光らせることが出来る。ただし、赤外線通信タイプのストロボと比べると高い。
はずだったが、430EX Ⅲ-RTの登場で、値段の差が数千円程度に縮まった。
実売価格は28,000円程度とお買い得。おまけに軽いので機材ダイエットにもなる。フラッグシップストロボ600EX-RTを買うよりも2万円ほどお安くなるので、多灯ストロボの実現もたやすくなる。
電波通信ワイヤレス対応のストロボをお薦めするのには、もう一つ、コストパフォーマンスの理由がある。
赤外線通信タイプのストロボを光らせる為のトランスミッターST-E2は、単三電池に対応していない。パナソニック製の特殊な電池2CR5がいるのだが、コレが1,200円と高い。たくさん撮る人はあっという間に電池が切れてしまうことだろう。撮影毎に電池を買わなければならないから出費がかさむ。
それに対して、電波通信ワイヤレス対応ののストロボを光らせる為のトランスミッターST-E3-RTは、単三電池に対応している。単三電池を二本入れることで稼働させることが出来る。
通常ストロボに使う電池は、充電式電池を使うと良い。パナソニックのニッケル水素電池エネループがお薦めだ。2,000回以上充電できるので、ストロボをバシャバシャ炊く場合は、コストパフォーマンスに優れている。値段も安い。
ST-E3-RTとST-E2の値段の差は、メーカー希望小売価格でわずか6,000円。コレをケチると電池代で余計高くつくし、せっかく多灯ストロボにしても使い勝手が悪いから、肝心の写真が上手く撮れずにストレスも溜まる。
というわけなので、これからは電波通信タイプのストロボが主流になっていくだろう。