サイバースペースでLEDライトを明るく写す方法 – ISO感度を上げて撮る時 #12

LEDライトを明るく撮ってよりサイバー風に撮る!
LEDライトを明るく撮ってよりサイバー風に撮る!

何度も撮影してる場所でも苦手な撮影ブースがある。ハコアム3階のサイバースペース。そういえば5年くらい前にここでKAITOを撮ってもらったなと懐かしさに浸る暇もなくライティングをセッティングしなければならないのは、難所だからだ。

はじめの頃はストロボもなしでカメラとレンズだけで撮影していた。家に帰ってからRAW現像でいろいろいじって理想的な絵に仕上げる。しかしRAW現像にも限界がある。当然ストロボとアンブレラもしくはソフトボックスのコンビで撮影した方が、綺麗に撮れる。

しかし人物は綺麗に撮れても、背景が綺麗に撮れるとは限らない。背景の壁の色、装飾、明るさなどを、いかにカメラの設定やストロボを駆使して自由自在に変化へんげさせるかが腕の見せ所となる。

LEDライトを際立たせるために背景は漆黒に落としたいところだが、人物に対してストロボを炊くと、グリッドをつけていてもどうしても後ろの壁も明るくなってしまう。そこでストロボをもう一灯用意して、カラーフィルターを装着し、敢えて壁に向かって光らせる。なるべく広く光らせたいので照射角は24°。暗めの撮影。LEDライトも綺麗に映えている。

頭を切り換えて、今度はLEDライトをまぶしく光らせてみたいと思い立ち、ISO感度を上げる。スタジオに備え付けの照明を明るく写したいときは、ISO感度をあげたり、絞りを開けたりする(F値を小さくする)と良い。シャッタースピードは手ぶれのことを考えるとあまり下げらないので、動かせる幅が小さい。

ISO感度1600、絞りF1.4~2.8くらいに設定する。

ISO感度を上げたりF値を小さくしたりすると、ストロボ光も明るくなるので調光補正する。最小の1/128の設定でも被写体が白飛びしてしまうこともあるので、ストロボ光を被写体から離す事も必要になるかもしれない。

黒かった壁も今度は明るく白く発光し、F値を小さく設定したことで背景が良くボケてサイバーチックな空気感が出てきた。手前の壁をわざと映り込ませることで、通路の中にいるような錯覚の他に、被写体をより引き立たせる効果も出た。

陰影をつけて立体感を出したいために一灯で撮ってみたが、やはりもう一人の子に光が当たらず顔に影が出るので、両側から当てることにした。顔の描写が平たくなりがちだが肌は綺麗に写る。

ISO感度を上げることでLEDライトも明るくなった。
ISO感度を上げることでLEDライトも明るくなった。

普段からスタジオでストロボを使っていると、黒い空間でLEDライトの照明が飾りとして壁や床に埋め込まれているのを見て、ついつい暗い設定でストロボで被写体のみを明るく照らすという方法で撮ってしまいがちだが、LEDライトが明るく撮れないという罠に陥りがちだ。ISO感度を上げたりF値を小さく設定することで、その罠から抜け出せることができる。黒壁が白っぽく写っているのも、サイバーチックで良い。

ISO感度1600はここでコスプレを取り始めた頃に設定した値だ。あの頃はISO感度を上げることでLED照明の表現がどのように変わるのかという細かい点を意識せずに撮っていたが、今ではそれをきちんと意識して設定を変えて撮ることができるようになった。カメラの設定がわかれば、同じ場所でもヴァリエーションが増えていく。