「明るくふんわりした光に包まれている感じで撮って欲しいです」
可愛い女の子にこんな風に懇願されたら、撮らないわけにはいかない。しかしこの日は山が雪化粧するくらいに寒かったので、頭が上手く働かなかった。
明るく・・・、ふんわり・・・、どんな感じだっけ??男装なのにふんわり??どう撮ればいいんだろ・・・、とりあえずふんわりだからF1.4の開放で・・・、でも男装でふんわり・・???
同じ疑問が校庭を走り回る犬のように頭の中を何周も駆け巡りつつ、カメラを設定していく。
うーん、撮ってみたけど、なんだか暗い様な気がする。
レイヤーさんにも見せたけれど、今ひとつ満足していないご様子・・・。
こういう時の為のRAW現像。家に帰れば暖房の効いた暖かい部屋の中でのRAW現像作業。紅茶を啜りつつ、この日に貰ったバレンタインデーのチョコレートを頬張りながら頭のエンジンをフル回転させると、あぁそういう意味かと合点がいき、ガンマ調整で白飛びを回復しつつ、露光量を一段ほど明るくする。
撮影現場でのF値の設定は間違っていなかった。後は露出を上げてやれば良いだけの話だった。たぶん現場が寒すぎて、いつものように頭が回転しなかったのだろう。きっとレイヤーさんは光に包まれている写真が欲しかったのだ。ほらアニメのワンシーンに良くあるみたいな感じの。それなら更にふんわり写真にするために、もう少し露光量を上げても良いかもしれない。
というわけで、再びDPPのガンマ調整を使って、更に明るさを上げてみた。
現場で何らかの障害が生じて上手く撮れなくても、こういう時にRAWで撮った恩恵が得られる。非圧縮データは明るさを変えても画質が崩れにくいので、撮影時の鮮度も保てる。上質な作品を目指すならRAWモードでの撮影は絶対だ。