いつも親しくしている女の子達とロケに行くと、たびたび雨に見舞われる。他の子達なら、雨だからロケ中止にしようという流れになるし、実際に雨を嫌うカメラマンもいる。大切なカメラやレンズが雨に濡れて故障したら大事だから、当然と言えば当然だろう。
けれど僕は、これを恵みの雨と呼んでいる。幸いメイン機の1DXはプロ機なので、防塵防滴性能型が他のカメラに比べて高い。スピードライトもキヤノン純正の600EX-RTで、こちらも防塵防滴仕様だ。つまり多少の雨の中での撮影なら、機材の故障を心配することはない。
雨の日は、レフ板と先述したクリックオンストロボで、雨を生かした効果的な写真を撮る事が出来る。いわゆる雨撮だ。それとストロボを備え付ける2500円程度の小型の三脚も必須。これがないと雨の描写を自由にコントロール出来ない。
ストロボの頭には、雨避け用に厚手の小さなハンドタオルを乗せておく。これはネットショッピングで買い物をしたら、オマケでタダで貰えたタオルで、家に3,4枚はある。カメラもスーパーの白いビニール袋を被せるか、同じハンドタオルをレンズの上にポンと置いて撮影する。
今まで結構な回数の雨撮を重ねてきたが、今のところこのやり方で、カメラもレンズもストロボも無事だ。一度ストロボを派手に落として、砂を噛んでしまいジャリジャリ鳴ることがあったが、使っている内に音もしなくなった。結構強い雨の中でも撮影したことがあるが、壊れない。防塵防滴機能が優れているのだろうか。
ジップロックをストロボに被せる人もいるみたいだ。こちらの方が雨対策としては万全だろう。
とはいうものの、機材は濡れないに越したことはない。撮影する時はなるべく屋根の下で撮る様にする。必要以上に外には出ない。どうしても雨の中で撮らなければならない時は、カメラにビニール袋を被せたり、レンズにタオルを置いて撮る。
Canonの純正のレインカバーも使ったことがあるが、正直まどろっこしい。よっぽど強い雨か、砂埃でも立っていない限り、スーパーのビニール袋で代用している。
屋根の下で撮ると言ったが、雨撮では、EF200mmF2.8LⅡが大活躍する。こういう時こそ望遠の出番だ。望遠故に遠くから撮れるだけでなく、カメラマンと被写体との間のちょうど良い距離を取れる場所に、都合良く屋根があったりするのだ。
屋根の下から被写体を狙えるのは、雨撮ではアドバンテージとなる。何よりカメラマンにストレスが溜まらないから、落ち着いて構図を決めて撮ることが出来る。もちろん濡れているモデルを待たせるわけにはいかないから、のんびりとは出来ないが。
更に圧縮効果もあり、雨粒が大きく写る。イリュミネーションを撮る時と同じ要領だと思って頂ければ良い。背景を引き寄せるので、アップで撮ると、雨粒がより印象的に写る。
惜しむらくはEF200mmF2.8LⅡの描写性能だろうか。悪くはない。むしろ良い。10万円以下にもかかわらずLレンズの称号を戴いている。安いのにラグジャリー。望遠なのに小型軽量。良い所を兼ね備えている。
しかし手ブレ防止機能(IS)がない。望遠レンズは実際カメラに付けてファインダーを覗いて貰えれば一目瞭然だが、手ブレする。ファインダーの中で終始像がぐらついている。酔いそうなくらいだ。つまりそれなりのシャッタースピードを設定しないと、油断していたら手ブレする。油断していなくても手ブレする。
そしておそらくは60万円以上するサンニッパと比べると、描写性能には劣っていることだろう。ちなみにEF200mmF2は100万円以上する。簡単に手が出せる金額ではない。
そしてOtusの存在がある。一度このレンズで撮ると、Lレンズといえども満足出来なくなるくらいに、描写性能が高い。一度良い味の料理を覚えると、今まで食べてきた料理が不味く思えてくるのと同じだ。
現実問題として、サンニッパをロケに持って行くのは辛い。EF200mmF2なら尚更のことだ。大砲を持っていく様な物。他のレンズが入らない上に重いだろう。ロケでは常に4、5本はレンズを持って行く僕にとって、レンズ1本のみという選択肢は心苦しい。
しかしサンニッパはアマチュアカメラマンの夢である。いつかは手に入れたいと思っているし、これで雨撮が出来たら、どんな絵が出てくるか、想像しているだけでも楽しい。手に入れるまではワクワクして、手に入れてしまうとワクワク感が消えてしまうのだろうか。
雨男雨男とよく言われるけれど、その雨のおかげで良い写真がたくさん撮れるので、雨男と呼ばれるのもなかなかいいものだなと割り切っている。