5D Mark4のリリース発表と同じく、キヤノンの超広角ズームレンズもリニューアルの報が舞い込んできた。Canon EF16-35mmF2.8L Ⅲ USMの登場である。10月中旬発売予定。
Canon EF16-35mmF2.8L Ⅲ USM(キヤノン公式サイト)
1つ前のCanon EF16-35mmF2.8L Ⅱ USMはLレンズでその性能は抜群だが、僕自身が使ってみた実感としては、周辺の描写が甘いかなという印象だった。超広角ズームだから仕方がないとはいえ、描写が雑で流れる。集合写真を撮る時などには余り使えないレンズだ。
しかし今回はキヤノンが言うように、周辺の描写性能も著しく向上している、まさに完成形の超広角ズームと言っても過言ではないだろう。
最近のキヤノンは、35mmといい、12-24mmといい、周辺までバッチリ描写性能に優れた広角系のレンズをラインナップさせている。これは5Ds・5DsRに代表されるような、一眼レフデジカメの超高画素化を睨んだ、レンズ性能のグレードアップと見ても良いのではないだろうか。旧レンズの描写性能では、カメラの本来の威力を発揮するには対応できないということだろう。
実際に5060万画素を誇る5Ds・5DsRが登場した際には、推奨レンズなる一覧がキヤノンから発表された。どれも最新のLレンズばかりったが、その中には僕が所有している幾つかのLレンズが含まれていなかった。
これはおそらくリニューアルされるだろうと思っていたら、実際に来たというわけだ。
全域開放F2.8の明るさ
レンズの特徴を述べていこう。全域でF2.8を実現。広角は暈けにくいと言われているが、そんなことはない。最短距離0.28mなので、被写体に思いっきり寄ることが出来、背景を暈かしに暈かして被写体を際立たせる表現が可能だ。それにパースが効くのでダイナミックな描写を期待できる。F2.8の大口径レンズの成せる技だろう。
超広角レンズにF2.8のボケや明るさは必要?風景用のレンズだから絞って撮るし、意味ないんじゃないの?と思われる向きもあるかも知れない。
しかし超広角レンズは風景写真ばかりが用途とは限らない。先ほども述べたように、パースを効かせることが出来るので、一風変わったポートレート撮影などにも使える。寄って暈かす、これだけでいつもとは違うポートレート表現を得ることが出来る。
また教会や大聖堂、イベント会場などの暗い屋内での撮影にもF2.8という明るさは発揮する。ISO感度をなるべく低く抑えて撮影することで、ノイズレスで美しい屋内写真を撮影することが可能だ。
スナップ写真風味の気軽な夜景撮影のシーンでも、F2.8は威力を発揮する。焦点距離の短さ故に可能な低速シャッタースピードと、F2.8という明るさを駆使しつつ、ISO感度の力を借りれば手持ちで撮影することも出来るだろう。
中央および周辺描写の飛躍的改善
また周辺描写の滲みやぼやけといった倍率色収差なども改善され、シャキッとした画質で写っている。この点だけを見ても買いだ。
フレア/ゴーストの徹底した抑制
また、逆光での撮影で発生するフレアやゴーストも驚く程低減している。新コーディング技術であるASCとSWCを同時に採用することで、フレアやゴーストの発生を極限まで抑えている。
高画質な写真が撮れること請け合いのCanon EF16-35mmF2.8L Ⅲ USM。もし旧型を持っていなければ即飛びついていたことだろう。もしまだ所有していない焦点領域なら、是非購入をお勧めする。