カメラマンにも得手不得手がある。白っぽい感じの写真は得意だけれど暗い感じの写真は苦手という人もいれば、その逆も又しかりで白っぽい写真は苦手だけれど、ストロボをパーンと当てた暗いイメージの写真を撮るのは得意という人もいる。
苦手な場所というのもある。今回はその苦手な場所で撮ることになった。見ての通り乳白色の煉瓦の壁。なぜ苦手なのかというと、ISO感度を上げて撮らなければいけない。ISO感度100で撮ろうものなら、ストロボを炊こうが、この白くて爽やかな場所に灰色の影が落ちてしまう。
ISO感度を決めかねている時は、一度ストロボの電源を落として、シャッターを押してみると良い。それがその撮影シーンで必要なF値と手ブレしないシャッタースピードの設定で撮った時の実際の明るさだ。日の光が入らないスタジオ内は、蛍光灯で照らされているとはいえ、思いの外暗い。F値を上げないといけない場合は、尚更暗くなる。ストロボを炊かなければ、ISO感度1600くらいは必要な場所だ。
ストロボを炊くことで、ストロボ光が壁にも届くので、明るくすることが出来る。しかしストロボが当たらない場所、例えば被写体で遮ってしまう壁の部分は、ISO感度を上げない事による暗さがそのまま出るので、注意が必要だ。明るいのか暗いのかよく分からない写真になってしまうし、壁の明るさにムラができる。
白ホリゾントで撮る時のように、背後にストロボ光を飛ばして白くすることも出来ない。煉瓦の壁を白く飛ばしてしまっては、ここで撮る意味がなくなる。ISO感度を上げたら上げたで今度はストロボ光が強くなりすぎて、調整が必要になる。壁からソフトボックスを離した方が良いのか、2灯目のフィルインライトは下から当てた方が良いのか上からの方が良いのか、試行錯誤が続く。カメラマンにとっては厄介な場所だ。
こういう場所ではストロボの電源をオフにして、ISO感度だけで撮った方が綺麗に撮れるのではないかとも思う。最終的にはF5.6で、ISO感度を1000まであげて撮った。ストロボ光はかなり弱めに設定した。キャッチライトは綺麗に入っている。この場所では、ストロボでもう少し理想的に綺麗に撮れるように試行錯誤が必要だと感じた。(でもひょっっとしたらホワイトバランスが温かすぎたのかも知れないと、冒頭の写真の肌色を調整していて思った。)