キヤノンとニコンと言えば、世界のカメラメーカーを代表する二大巨頭にして、永遠のライバルである。歴史に喩えれば、武田信玄と上杉謙信、豊臣秀吉と徳川家康、アメリカとソ連、共和党と民主党のようなものだ。
その二大巨頭が、オリンピックイヤーとなる2016年の今年、技術の粋を集めたフラッグシップ機を相次いで発表した。ニコンが先でキヤノンが少し遅れての発表となったが、どちらも夏のリオデジャネイロのオリンピックには間に合った。CP+2016はどちらのブースもきっと賑わうことだろう。(ちなみに筆者は、Otusを購入したコシナからありがたくも無料のチケットが届いたが、神戸から横浜までの往復の交通費がもったいないので行かない。)
キヤノンユーザーの筆者としては、ライバル機の動向も気になるところである。そこで早速比較表を作ってみた。
Canon 1D X MarkⅡ | Nikon D5 | |
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外観 | ||
有効画素数 | 2020万画素 | 2082万画素 |
測光 | 約36万画素RGB+IR測光センサー | 18万ピクセルRGBセンサー |
連続撮影速度 | 約14コマ/秒(最高16コマ/秒) | 約12コマ/秒(最高14コマ/秒) |
常用ISO感度 | 100~51200(拡張:最小50・最大409600) | 100~102400(拡張:最小50・最大3280000) |
測距点 | 61 | 153 |
記録画素数 | 5472×3648ピクセル | 5568×3712ピクセル |
モニター | 3.2型TFT液晶モニター・約162万ドット | 3.2型TFT液晶モニター・約236万ドット・XGA |
タッチパネル | ○ | ○ |
動画記録方式 | 4096×2160(4K):59.94p 1920×1080(Full HD):119.9p |
3840×2160(4K UHD):30p/25p/24p 1920×1080:60p/50p/30p/25p/24p |
映像記録/圧縮方式 | Motion JPEG ALL-I(編集用/I-only)、IPB(標準)、IPB(軽量) |
MPEG-4 AVC/H.264 |
フリッカーレス | ○ | × |
GPS機能 | ○ | × |
記録媒体 | CFastカード/コンパクトフラッシュカード | XQDカード/コンパクトフラッシュカード |
重量 | 1530g | 1415g |
シャッター耐久 | 40万ショット以上 | 40万ショット以上 |
こうやってさらっと見ていくと、どちらのカメラも性能面で拮抗している。画素数に関してはほぼ同じ。ピクセルサイズもほとんど変わりがないと言っていい。新技術のタッチパネルも双方共についている。シャッター耐久も双方40万ショットでフラッグシップ機の風格を保っている。
記録媒体に関しては、双方ともコンパクトフラッシュカードに加え、次世代の記録媒体を持ち出してきた。ニコンの方は、記録媒体ごとにカメラの機種を用意して、購入後も換装費を支払えば、スロットだけ交換可能のようだ。
GPS機能とフリッカーレス機能はキヤノンのみとなっている。GPSについては、別売りでニコンにも装着可能だ。
測光に関しては、キヤノンがニコンの倍の画素数を誇るセンサーとなっている。どれほど優秀な性能を引き出せるのか興味深いところ。
モニターはニコンの方が画素数が多い。AFの測距点もニコンの方が圧倒的に多いが、これが実際の撮影でどれだけ有益かは、触ってみないことには分からない。
動画はどちらも4Kに対応しているが、キヤノンの方が若干サイズが大きく、フレームレートも倍となっている。動画の性能面ではキヤノンが販売している映画制作機器のEOS-1D Cを凌駕している。
ISO感度の上限はニコンが圧倒的。カメラ雑誌のノイズ比較検証記事が待ち遠しい。
というわけで、どちらも写真の性能面でほぼ拮抗しているが、撮影を補佐する機能面では優劣があるといったところだろうか。次回は1DK MarkⅡと5DsRの比較記事をお届けしたい。