トランスミッターCanon ST-E3-RTとスピードライト600EX Ⅱ-RTを電波通信ワイヤレスで使用時に、スレーブ充電完了の矢印マークが表示されないときの対処法

キヤノンのトランスミッターST-E3-RTで「スレーブ充電完了の」矢印マークが表示されない原因は幾つかある。

ストロボを同時に2台修理に出し、2台とも無事修理完了ということで戻ってきたが、そのうち1台が早速フル発光症状を起こして再度修理に出すことになった。その1台は戻ってきたら今度は再びワイヤレス電波通信が利かなくなるという不具合を起こし、全く直っていないことが判明して呪われているのではないかとも思われたが、この件については後ほど述べるように、修理から戻ってきたストロボのIDの設定が変更されていたため出在ることが判明したので無事に使用できるようになった。

もう1台の方は8人の大型合わせの撮影でも不具合無く作動し、とりあえず支障なく使用できている。

と思われたのだが、アコスタ@京都駅ビルでの撮影で、ワイヤレス電波通信モードにしてアンブレラを使って撮っていると、同じようにワイヤレス電波通信が作動しなくなった。

キヤノンのトランスミッターST-E3-RTとスピードライト600EX-RTが電波通信ワイヤレス状態であると、トランスミッターのグループ名(例えばスピードライトをBに設定していればB)の項目に下に向いたギザギザの矢印マークが付き、「スレーブ充電完了」を示すのだが、このマークが一向に表示されない。このストロボの再度修理に出す必要があるのかとガッカリしたのだが、或る方法を使うと解決した。

故障を疑う前にやっておくべき設定

まずスピードライトとトランスミッター双方のChが同じかを確認する。片方がCh1でもう片方がCh5だと、「スレーブ充電完了」の下矢印マークが表示されない。

次にスピードライトが、電波通信ワイヤレスモードになっているか確認する。マチ針の先に二重のカッコマークが電波通信ワイヤレスモードを示す。雷マーク⚡︎は光通信モードを表す。キヤノンのトランスミッターST-E3-RTは光通信モードには対応していない。

次にスピードライトをスレーブモードにする。スピードライトのディスプレイに【SLAVE】と表示させる設定にする。

通常なら、この3つの設定をしっかりやっておけば、トランスミッターとスピードライトは通信状態になる。ところが先の撮影では、この設定なのに何枚か撮影すると「スレーブ充電完了」のマークが表示されなくなった。

その対応策として、次の3つの方法が挙げられる。

電波通信IDが同じか確認する

まず1つに電波通信IDの設定が同じかを確認する。他のユーザーの電波通信ワイヤレスストロボと同調しないために変更する通信チャンネルは、トランスミッターやストロボのディスプレイに常に表示されるので意識しがちだが、電波通信IDの設定は見落としがちだ。

トランスミッターST-E3-RTとスピードライト600EX-RTの場合、初期設定では電波通信IDは0000に設定されている。修理に戻ってきて電波通信ワイヤレスがリンクしなかった原因は不具合ではなく、このIDが「1000」になって戻ってきたのが原因だった。ストロボのID設定を「0000」に戻すと、ストロボのLINKのランプが緑に点灯し、トランスミッターのディスプレイに表示される「スレーブ充電完了」を示す矢印マークも無事点灯した。

電波状態を調べるスキャンを実行してChを変える、もしくはChをAUTOにする

それでも電波通信ワイヤレスモードの「スレーブ充電完了」にならない場合は、「SCAN」を実行する事で、電波状態の良いチャンネルを調べる。

チャンネルを「AUTO」に設定していれば、自動的に電波状態の良いチャンネルに再設定される。

試しにスキャンを実行して、表示されたグラフから電波状態が良好なことを示す長いグラフのチャンネルに切り替えたら、再び光り出し、以後の長時間の撮影で「スレーブ充電完了」の矢印マークが途切れることはなくなった。

電池を替える

また電池の残量が僅かになった場合は、ワイヤレス電波通信状態にならないことがあるので、電池を替える。通常電池の残量が原因の場合は、しばらくするとストロボやトランスミッターのディスプレイに電池が切れたことを表すマークが表示され使えなくなる。

「スレーブ充電完了」の矢印マークが点灯しないときの対応策まとめ

  • Ch、IDをトランスミッターとストロボ双方同じに設定する。
  • トランスミッターのスキャンを実行して電波状態の良いChに変更する。もしくはChをAUTOにする。
  • 電池を替える。

今回は二つ目のスキャンを実行して電波状態の良いChに変更することで、不具合を解消できた。試しに距離を取って柱などの遮蔽物の向こう側から動作させてみたが、問題なくストロボは発光した。

しかし何度かスキャンすると分かるが、スキャンする度に電波状態が良いチャンネルがコロコロ変わるので、これならAUTOに設定しておいた方が無難なのでは無いかとも思われた。しかしこれまで6年間のシェアスタジオや野外での電波通信ワイヤレスによる多灯ストロボ撮影では、今回のような電波の善し悪しによる通信不調は発生したことがなかったので、他のユーザーとの電波の混線を防ぐならCh設定にしておいた方が無難だろうか。

Tips

トランスミッターとストロボが「未接続」の場合は、トランスミッターやストロボのLINKのランプが赤く点灯する。マスターとスレーブの通信状態がOKならば緑に点灯する。

多灯ストロボの場合は、今回のようにトランスミッターと一部のストロボがLINKの緑に点灯していても、通信状態が絶えているストロボのLINKは赤く表示されるので、すべてのストロボのLINKのランプが緑に点灯しているかを確認する。