ポートレート撮影やコスプレ撮影において、悩ましいのはピクチャースタイルの選択だ。果たしてどのピクチャースタイルがこの場合には最適なのだろうと、小一時間悩むこともある。
ポートレート写真の場合は、ポートレートのピクチャースタイルを選ぶのが定石ではないかと思われるかも知れないが、そうとも限らない。キヤノンのピクチャースタイル「ポートレート」は、結構ピンクが強くなり、色も薄いと思うことが度々ある。
以前撮影会に出向いた時に、ニコンユーザーの人は、夕暮れ時のポートレート撮影では風景モードで撮っていると教えてくれた。オレンジ色の強い夕暮れ時なら、人肌に多少色が乗ってもそんなに目立たないかも知れない。
一時期、Lightroomでコスプレ写真をRAW現像していた時は、ピクチャースタイルをLandscape(風景)にして、全体的に色を濃く乗せてから、肌色を自然な色合いに調整していた。
しかしそのやり方も今はやめて、キヤノンの純正RAW現像ソフトDPPをメインに使うようになってからは、スタンダードかポートレートで現像するようになった。
現場の撮影でどちらにしようか迷ったところで、RAWモードで撮れば家に帰ってから画質を劣化させずに自由にピクチャースタイルを変更できるのだから、悩ましくともとりあえずはスタンダードのピクチャースタイルで撮るようにしている。それが一番無難だからだ。
そして家に帰ってから、スタンダードにするか、ポートレートにするかあれこれと迷いながらRAW現像にいそしむ。
では実際、スタンダードとポートレートではどれだけ違うのか、作例を見ながら解説していこう。
スタンダード
自然な肌の色が出ている。
ポートレート
先ほどのスタンダードの写真よりもピンクっぽい肌になった。特にリップが明るいベイビーピンクの色になっている。肌だけでなく、衣装の方も若干明るくなった。
風景
肌の色が濃くなる。全体的に色が濃くなるが、このオレンジがかった肌は白ホリゾントの人物写真には合わない。
ニュートラル
色味が薄くなった。メリハリにも欠ける色のりだ。まさに無難でニュートラルな色合いだ。
忠実設定
スタンダードに似て良い肌色を出してくれるが、スタンダードよりも色の乗りが若干薄い。
やはり選択肢としては、スタンダードかポートレートの二択に絞られるだろう。
キヤノンは記憶色の写真が撮れると言われていて、特に女性のポートレート写真では淡いピンク色の肌が好まれるので、ポートレート写真ならキヤノンと言われて久しい。
故に女性が被写体の写真の場合は、ピクチャースタイルをポートレートにした方が良いのだろうかと迷うのだが、コスプレ写真の場合はメリハリがあった方が良い感じに仕上がるし、スタンダードも捨てがたい。
どのピクチャースタイルにしたところで、あれこれとRAW現像のパラメータをいじって、写真にメリハリを着けるので、最終的には肌の色で決める。
撮影の時はRAWモードにしてスタンダード、家に帰ってからスタンダードとポートレートどちらにするか決めるのが、ベストなやり方だろう。
なお、ピクチャースタイルが違うと、シャープネスの値も異なってくる。スタンダードはアンシャープマスクの強さが3、ポートレートは2なので、ウェブで使用する場合は、1か2まで強さを落とした方が自然な感じになる。シャープネスの強さが2や3では、JPEG変換した時にシャープネスがキツすぎて、肌のがさつきが目立ってしまう。この点も留意しておきたい。