RAW現像を最速で仕上げるための撮影術

後で色味を変えることを念頭に入れるなら、花火撮影はRAWで撮るのが必須。
後で色味を変えることを念頭に入れるなら、花火撮影はRAWで撮るのが必須。

RAW現像はよく失敗写真を甦らせる方法としての側面で語られることが多い。なぜならRAW現像のメリットやその威力について伝えようと思えば、露出を間違えた失敗写真を如何に甦らせることが出来るかを実例で示すのが最も効果的だからだ。

とは言うものの、いくらRAW現像でも極端に露出に失敗した写真を甦らせるのは困難というか無理だ。例えばストロボの光量を間違えて白飛びしすぎで眩しすぎになった写真の露光量をRAW現像で落としたところで、肌が黄色く灰色がかった写真にしかならない。

つまり、RAWモードにしているからといって、現場で適当なカメラの設定やストロボの光量で撮ってはダメ。あくまで最適な設定を煮詰めて撮らなければならない。「失敗してもRAWでどうとでもなるからいいや」という考え方ではダメなのだ。

しかし現場でホワイトバランスや明るさを煮詰めるとなると、なかなか難しいところがある。例えば一度プログラムが始まると終わりまで止むことがない花火撮影は、ホワイトバランスや明るさを煮詰めている間に、綺麗な形をした花火がどんどん上がってしまいシャッターチャンスを逃すことにもなりかねない。

飛行機撮影にしてもそうだ。ホワイトバランスや明るさを突き詰めている間にどんどん飛び去っていってしまう。飛行機は我々が思っているよりも速度が速い。

ホワイトバランスに関しては、RAWで撮っておけば、撮影時と同じ設定で画質を劣化させずに変える事が出来る。問題は明るさだろう。露出に関しては、白飛びや黒つぶれはデータがないのと等しいので、RAW現像を以てしても、白飛び・黒つぶれの回復は困難だ。白飛びしないようにやや暗く撮っておいて、現像時に軽さを調整するという方法も良く聞く。

つまるところ、時間の限られるスタジオ撮影や、カメラの設定に時間をかけているとシャッターチャンスを逃して仕舞いかねない花火撮影や飛行機撮影、瞬時を写し取るスナップ写真では、露出のある程度のカメラの設定は決めておいて撮るのがベストと言えるだろう。

ハイスピードの飛行機撮影は慌ただしい。
ハイスピードの飛行機撮影は慌ただしい。

家に帰ってからのRAW現像で撮影時と同じように変更できるホワイトバランスなどの部分はオートにして、露出に関しては適正露出になるよう心がける。RAWモードで撮っていても、この心構えが撮影時には大切だ。

昔は野外で撮った集合写真の一枚一枚を、青空になるようにRAW現像していた。今にして思えば、初めから青空になるように撮っておけば良かったのだが、その頃はまだ写真撮影については詳しくなく、絞り優先モードで構図を決めてシャッターを押しているだけだったので、そこまで思いが至らなかったのだ。今ならあんな撮り方はしないだろう。別の、例えばPLフィルターを使うか、青空は諦めて逆光で撮るか、もしくは日中シンクロで撮るか、もっと最適な撮り方を模索するはずだ。

1000枚の写真データを1時間でRAW現像する為の撮影術は、有料記事の方で掲載しているので、ご興味をお持ちの方はご購読頂ければと思う。記事で紹介している撮影術を身につければ、今まで膨大な時間がかかると思われていた大量の写真のRAW現像を、あっという間に終わらせることが出来る。