大阪の中心地・梅田から地下鉄御堂筋線で10分ほど北へ行った所にある服部緑地公園内の日本民家集落博物館は、桜の名所でもある。日本各地の民家が移築されており、ぐるりと一周巡る事で、古き良き日本の風情が漂う古民家を堪能する事が出来る。
博物館に辿り着くまでに、大阪市営地下鉄御堂筋線・緑地公園駅から、服部緑地公園に入り15分ほど歩かなければならない。タクシーでも行けるが、せっかくなので徒歩で行く事にした。広大な公園内には桜が咲いており、たくさんのチューリップも植えられていて、市民の憩いの場所にピッタリだった。
博物館前に辿り着く。入り口前にも桜がたくさん咲いていた。
入り口の門構えは、やはり古風。ここで入園料を500円払って中に入る。
やはり春の時期に来るのが最も良いのだろう。桜が随所に咲き誇り、そこはさながら幻想の世界に迷い込んだかのよう。都会の喧噪と悪意から遠く離れて、時折聞こえる老後の余暇を楽しんでいる人たちの声と、ゆったりとした時間の流れの中に浸るのが心地よい。
竹林も植わっており、空高く長々と突き出ていた。公園内にあるためか、園外に広がっているであろう現代的な建物はすべて視界には入らず、純粋な日本の風景の中に意識を埋没させる事が出来る。
場所柄、各国から訪れる外国人観光客も多く、老年の案内員が慣れた英語で外国人観光客に解説している姿を見かけた。有料のためか、それとも平日に訪れたためか、服部緑地公園の賑やかさとは異なる穏やかな空間がそこには広がっている。
夕方になり博物館の外に出ると、朝方には咲いていたはずの桜の花びらが風で散っていた。桜の命はあっという間だ。
駅までの道すがら、朝には見かけなかった人々がわらわらと出てきて桜の木々の下でシートを敷いて、バーベキューや花見を愉しんでいた。旨そうな肉の匂いが鼻腔をくすぐり、すっかり喧噪が渦巻く現代の世界に引き戻される。明日は一日中雨で、春の嵐も吹き荒れるそうだ。短い桜の饗宴は今日で終わりだろう。