5060万画素の高解像度一眼レフデジカメ、Canonの5DsRは高感度撮影に弱いとされる。フルサイズでも1DXに比べると画素数が多いために、画素サイズが小さくなり、比較的高感度でノイズが出やすいためだ。
通常JPEGモードで撮影した場合、ノイズ処理はカメラの画像処理エンジンが自動的にやってくれる。RAWで撮った場合は、手を加えられていない生データとなるので、RAW現像ソフトで自らの手で適量のノイズ処理を施すことになるが、キヤノンの純正RAW現像ソフトDPPに写真を取り込めば、自動的にISO感度に合わせたノイズ処理を施してくれる。
とはいったものの、ISO感度をめいいっぱい上げても、まだ暗すぎるという写真もあることだろう。そのような場合は、RAW現像ソフトや画像処理ソフトなどで、明るさを上げたりすることになる。
するとやはりノイズが目立つようになる。RAW現像ソフトや画像処理ソフトのノイズ処理機能ではノイズ処理が今ひとつ上手くいかないし、ノイズ処理を強くすると、想定以上に絵が潰れてしまうということもある。
そこでお薦めしたいのが、RAW現像ソフトDxO OpticsProだ。このソフトにはノイズ処理に優れた機能が備わっている。通常のノイズ処理の他にも、PRIMEと呼ばれる「非常に効果的なノイズアルゴリズム処理」でノイズ処理を施してくれるコマンドがある。
言葉で説明してもその効果は半分も伝わらないだろうから、実際に作例で紹介していきたい。
DPPとDxO ノイズ処理能力の比較
以下の写真は4月下旬の夜19時に、Canonの5DsRに開放F4の魚眼レンズで撮影した。日は沈み、水平線にうっすらと夕陽の名残が見える。被写体ブレ覚悟でシャッタースピードを1/320秒まで下げた、ISO感度を3200まで上げてみたが、写真は明るくならない。DPPからPhotoshopに転送して、ファイルサイズが従来より半減できる書き出し形式でJPEG保存した。
DxOの方も同じ明るさと色の写真だったので、こちらの未加工の作例はいったん省く。
以下はDPPのノイズ処理はそのままに明るさを+3上げて、同じ行程で保存した写真となる。ノイズが目立つ。
以下はDxOで同じく明るさを+3上げて、デフォルトの高速化のノイズ処理で、同じ工程で保存した写真となる。
この時点で、DPPよりもDxOの方が、ノイズが少ないのが見て取れる。
次はDPPで輝度ノイズ処理をマックスの20にまで上げた写真をご覧頂きたい。
ノイズは軽減したが、空の色にむらが残り、全体的に汚い。また、ノイズ処理を強くかけた分、メインの被写体である飛行機のシャープネスが損なわれてしまった。
次はDPPで色ノイズの処理もマックスの20にまで上げた写真。
先ほどより滑らかになったが、どこかまだ汚い。
次は、DxOのノイズ処理「Prime」を施した写真。
他の写真よりも見違えるほどに綺麗な夜空になった。被写体である飛行機のシャープネスも損なわれていない。JPEGで高圧縮で保存しているので、青に少しムラがあるが、TIF形式の画像で見ると、非常に滑らかな青い夜空を描いている。従来形式でJPEG保存したデータが以下になる。
等倍で見るとノイズは出ているのだけれど、30%にまでサイズを縮小すると、ノイズは全く気にならず綺麗な写真になっていた。現在の国産ハイエンドパソコンのディスプレイの主流である1920ピクセル×1080ピクセルの大きさで見れば全く問題のない描写力だ。
デメリットは処理能力の遅さ
PRIMEでのノイズ処理のデメリットもある。処理に時間がかかるために、保存する際にそこそこ時間がかかる。待てない時間ではないが、パソコンのスペックによっては、時間がかかるので、100枚とか500枚を一気にJPEGに書き出して、モデルやクライアントにお渡しする用途には向かない。
そもそもDxO自体が、他のRAW現像ソフトに比べて処理に時間がかかるので、数枚程度の用途なら向いているが、大量の写真の受け渡しには向いていない。
ここぞという写真や、写真集用に写真を数十枚程度に厳選する場合などには向いていると言えるだろう。
処理が重いデメリットに目を瞑れば、他のRAW現像ソフトよりも圧倒的に綺麗なノイズ処理を施してくれる。高感度で撮影したノイズだらけの写真も、DxOのPRIME機能を使えば、綺麗な写真に甦らせてくれること間違いナシだ。
定期的に割り引きキャンペーンもやっているので、安い時期を狙って購入するのも良いだろう。