一眼レフデジカメ初心者にとって、カメラの設定は初めての大きなハードルとなる。しかしこのハードルを越えなければ、写真上達の道はおぼつかない。
上手い写真を撮るにはどうすれば良いかという方法論は、それこそたくさんの書籍が書店に溢れかえっているので、どれから押さえていけば良いのかなかなかに悩むところだが、基本さえ押さえておけば、他の諸々のスキルを身につける上でも知識を吸収しやすくなる。
写真撮影の際にやるべき基本設定はシャッタースピード、F値、ISO感度の3つだけ!
シャッタースピード、F値、ISO感度の3つ。この3つさえマスターすれば、自分の意図した写真を撮るためのカメラの設定の80%はマスターしたと言っても過言ではない。
この3つのすべての設定は、写真の明るさ=露出に影響する。シャッタースピードの増減、F値の大小、ISO感度の大小の組み合わせで、写真の明るさが決まる。しかしこれら3つの設定は明るさを決めるだけではない。撮影者の求める表現を撮る上で重要な要素となる。それぞれの設定を詳しく見ていくことにしよう。
シャッタースピード
シャッタースピードの設定は、まず始めに手ブレしないシャッタースピードの値を考慮する必要がある。どれだけ適正な明るさで写真が撮れていても、手ブレしてしまっては写真の解像感そのものが損なわれ、失敗写真となってしまう。
手ブレしないシャッタスピードの目安は、1/焦点距離×2となっている。かつては1/焦点距離が手ブレしないシャッタースピードの目安とされていたが、それはフィルムカメラの時代の話。
デジタル一眼レフデジカメの時代は、フィルムカメラ時代のアナログ写真とは違って、細かいところまで描写するので誤魔化しがきかないらしい。
35mmの焦点距離なら1/80秒、50mmなら1/125秒、85mmなら1/160秒となる。特に24-70mmのズームレンズを使う場合、1/125秒は手ブレしないシャッタースピードの最低値となるので、基本は1/125秒と覚えておけば、何かと好都合だ。
まずは1/125秒のシャッタースピードで設定してみよう。
被写体の動きを止めたい場合は、シャッタースピードを速くする。ジャンプしたモデルや、投げたボールを静止しているように見せたい時などは、シャッタースピードを速くしてやる。逆にモデル以外がぶれている写真を撮りたい場合は、モデルにじっとして貰いつつ、シャッタースピードを遅くして撮ると良いだろう。
F値(絞り)、被写界深度の設定
F値を設定する事で、明るさの他に、暈けを表現することが出来る。F値が小さい、例えばF1.4に設定した場合は、ピントの合っている部分以外は大きく暈ける。ポートレート撮影などで背景を思い切り暈かして被写体を際立たせたい場合にはF値を小さく設定すると有効だ。
逆に、F値を大きくする、例えばF7.1やF11、F22等に設定すると、撮影者から見て手前から奥に向かってピントの合っているように見える範囲が広がる。人物写真をクッキリとシャープに撮りたかったり、風景写真をすべての部分がピントが合っているように見えるパンフォーカスで撮りたい場合などに有効だ。
ピントの合っている範囲を被写界深度と呼ぶ。被写界深度を浅くするには、F値を小さく設定する。被写界深度を深く設定するには、F値を大きく設定すれば良い。F値の設定は写真の表現に大きく関わってくる。
視点を変えると、F値の設定は、ピントが合いやすいか合いにくいかという話になる。どう頑張ってもピントが合いにくいと思ったら、F値を上げてやると良い。暈けの魅力を犠牲にすることになるが、ピントは合いやすくなり、全体的に解像感の高いシャープな写りになる事だろう。
開放で撮ると、レンズの様々な収差(欠点)が描写に影響することになるので、レンズの持つ解像感を引き出したいなら、通常は2段絞って撮るというのがセオリーとなっている。だいたいどのレンズでもF5.6の設定が、レンズが引き出せる解像度のピークとなっているようだ。
ISO感度の設定
上記2つの設定をし終えて、撮影者が理想としている明るさに足りない時は、ISO感度を設定する事になる。ISO感度を高くすれば、暗い場所でも明るい写真を撮ることが出来るが、ISO感度を高く設定するに従ってノイズが増えていくことになる。このノイズは電気信号を増幅させる為に発生する。
写真が明るすぎる場合の設定
野外でピーカンの日に撮影する場合には、ISO感度100でも写真が真っ白になる場合がある。例えばポートレートを撮影していてF値が小さい場合などには、写真が明るすぎたりする。
そのような場合はシャッタースピードを1/500秒なり1/1000秒なり、最適の明るさになるように速くしてやると良い。
カメラで設定出来る最大のシャッタースピード、例えば1/8000秒に設定してもまだ明るすぎる場合は、F値を大きくする。
拡張ISO感度を使って、ISO50で撮る方法もあるが、拡張ISOはダイナミックレンジが狭くなり、白飛びしやすくなるので、スローシャッター時の撮影など必要最低限の場合に留め、避けるのが無難だ。
この3つの設定を覚えれば、自分の思い通りの写真を撮るためのカメラの設定方法の80%はマスターしたと言っても過言ではないだろう。マニュアルモードで撮る感覚も身につく。後は構図や光の当て方などを少しずつ覚えていけば完璧だ。