手持ち撮影で低速シャッター(スローシャッター)にしてどこまで撮れるか。特に夜景撮影の時、通常は三脚を立てて撮る。しかし三脚は結構重いし、重さがネックとなって夜景撮影に出かけることを躊躇わせる。
また夜景撮影もいつも人通りが少ないところで撮るとは限らない。人通りの多い場所では三脚を立てる余裕もないだろう。
そこで手持ちでどこまで夜景を撮れるかが問題になる。デジタルカメラの手ブレしないシャッタースピードは1/焦点距離×2となるが、今回は敢えてそのセオリーに反して、どこまで低速シャッターにして、手ブレしていない夜景写真を撮れるか挑戦してみた。
次の写真はビル屋上からCanon EF16-35mm F2.8L USMで撮影した。シャッタースピードは1/13秒、焦点距離は16mm。開放F値2.8、ISO感度3200。デジタルレンズオプティマイザはOFF。一眼レフデジカメで手ブレしないシャッタースピードのセオリーを若干割り込んでいる。
次に1/8秒に挑戦してみた。柵に腕を凭れさせてカメラをシッカリと固定して撮影。1/13秒で撮影した写真よりもシャープに写っている。
パソコンの大画面で見るには全く手ブレしているようには見えないので1/8秒で撮っても問題ない。等倍鑑賞でも写真中央部はほとんどぶれていなかった。超広角レンズであるCanon EF16-35mm F2.8L USMの特性上、周辺は流れた描写になり、手ブレの有無を判断しづらい。
次に人物を入れながら撮影した場合はどうだろう。先ほどと同じ設定、1/8秒、開放F値2.8、ISO感度3600。焦点距離は20mmに変更して撮影してみた。
更に低速にしてシャッタースピードを0.3秒にして撮影してみた。手ブレしているようには見えない。
等倍で見ると若干手ブレしているが、腕を凭れさせる場所なしで、全くの手持ちで撮影したにしては、手ブレが目立たない。23.8インチのパソコンの大画面で見ても手ブレはほとんど目立たず、問題のない範疇だ。
背景はここまで明るくする必要があるか疑問だが、好みに合わなければ、ISO感度を下げるなり、絞りを絞るなりして暗くすれば良い。ノイズが減らせたり、背景のボケを減らしてもっとシャープに写すことが出来る。
夜撮影でどこまでシャッタースピードを低速に出来るか、その意味はISO感度やF値の設定を、自分の好みの絵作りに併せてどこまで変更できるかという点にある。夜撮影だとどうしてもISO3200などの超高感度や、開放F値で明るさを確保して撮りがちだ。
しかしISO感度の上げすぎはノイズの発生すなわち解像力の低下に繋がるし、開放F値は様々な収差の発生などこちらも解像力の欠如に繋がる。
できる限り低速シャッターにして、明るすぎるほどの露出を確保出来るなら、ISO感度を下げてノイズを減らすか、F値を絞って解像感を得るかの2つに踏み込みたいところだ。