昔のカメラには、今で言うオートフォーカス機能(AF)はなく、マニュアルフォーカスでピントを合わせていた。液晶モニターもライブビューもない時代だ。
最近はAFでピントを合わせるのが当たり前となっている。カメラ初心者には、なぜレンズの側面にAFとMFに切り替えられるスイッチがあるのだろうかと不思議に思う方もいるかもしれない。
マニュアルフォーカスの存在意義とは何か。それはジャストピントにピントを合わせられることである。
「ジャストピントって言ったって、AFでも合わせられるじゃないか」
しかしAFで撮影したにもかかわらず、ピントが被写体から外れていたという経験をしたことはないだろうか。更にPCに写真を取り込んで等倍で表示してみると、ピントが緩かったという事はないだろうか。
オートフォーカスは絶対ではない。それはあくまでカメラの性能に頼ったピント合わせだ。
ポートレートなどの人物写真を撮る際に、逆光で撮るのは、もはやセオリーとなっている。しかし逆光でピントを合わせようとすると、AFが迷う。太陽の光が強ければ強いほどAFではなかなかピントが合焦せず、撮影が進まない。
こういう時に、マニュアルフォーカスの出番となる。ファインダーを覗いて、目と勘に頼ってフォーカスリングを回して、ピントを合わせる。上手く決まればシャープで解像感に秀でた写真を撮ることが出来る。
そう、ピントがカッチリと合っていないと、シャープネスと解像感に欠けた写真ができあがってしまう。写真においてピント合わせは最も大切なのだ。ピント合わせに失敗すると、どれだけ構図が良くても、どれだけ被写体に魅力があっても、すべて台無しになってしまう。わざとピントを外して撮った、意図的な効果を狙った写真以外は。
また、夜間撮影の際には、オートフォーカスは全く役に立たない。まず被写体が見えない。次に暗いのでピントが合わない。全面真っ白な壁や、電気を消した暗い部屋の中で、どれか一点にピントを合わせる点を決めて、AFボタンを押してみれば分かる。まったくAFが機能しない。
カールツァイスのレンズは、すべてマニュアルフォーカス仕様となっている。それはカールツァイスのレンズ哲学に由来する。写真はマニュアルフォーカスでじっくりと合わせて撮るものという確固たる哲学がツァイスにはある。裏返せば、ツァイスのレンズはスポーツ撮影を想定には入れていないということだ。
ツァイスのレンズは純正レンズよりも品質が良い。中判カメラの写真に匹敵す描写が可能なOtusシリーズを始め、どのレンズ群も評判が良いものばかりだ。
ネックとなっているのが、先にも述べたとおり、マニュアルフォーカスしかない点。しかしOtusのように、開放で撮っても通常現れるレンズの様々な欠点を克服したレンズでなら、開放で撮りたいと思うのは当然の欲求である。
またOtusに限らず、逆光などの環境下ではAFではピントが合わせない、合ってもピンボケしているからなんとしてもピントを合わせたいということもあるだろう。
開放F値1.4でも、ジャストピントに合わせられる方法が幾つかある。こちらのサイトで、マニュアルフォーカス(MF)でもオートフォーカス(AF)のような手軽な感覚でガチピンで撮る秘伝を、お酒一杯分おごるお値段で提供しているので、興味のある方は是非ご購読頂ければと思う。
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