アマチュアカメラマンに必要なISO感度はどれくらい?

ISO3200で撮影した夜桜。
ISO3200で撮影した夜桜。

先日発売されたニコンのフラッグシップ機D5に関して、ISO100の低感度でのダイナミックレンジがどうも今ひとつという情報がネットを駆け巡った。所有していないカメラの欠点をあげつらうのはお行儀が悪いのでここでは置くとして、ニコンのD5は最高ISO感度が非常に高く、他のメーカーの群を抜いている。

最近はSonyから裏面照射型CMOSという新技術を搭載した一眼レフデジカメも発売され、高感度撮影におけるノイズ低減技術が注目を集めている。

先日夜桜を撮影してきた。戦国時代の城跡で開催された桜祭りで、仄かな灯籠が灯る中、桜が咲き誇っている。元々戦国や幕末が好きなので、城の中を歩くのがとても楽しく、古風な城内に灯る灯籠と仄かに色づいた桜は風情があった。

早速手持ちで撮ってみたのだが、全く暗い。そこで普段では滅多に上げない数値までISO感度を上げ、開放F値1.4で撮影してみた。ISO12800はウェブで見る分には問題ないが、等倍では桜が紙くずに見える。フラッグシップ機である1DXですらこうだから、それこそパソコンのディスプレイで等倍鑑賞で綺麗に見たいと欲するなら、明かりの乏しい夜桜の手持ち撮影は、三脚必須となるだろう。

 1DX + Otus1.4/85。ISO感度12800、シャッタースピードはギリギリの1/100秒、開放F1.4で撮影。大画面のパソコンで見ると十分綺麗に鑑賞できるレベル。
1DX + Otus1.4/85。ISO感度12800、シャッタースピードはギリギリの1/100秒、開放F1.4で撮影。大画面のパソコンで見ると十分綺麗に鑑賞できるレベル。
同じ場所でISO感度2000で撮影。ほとんど何も写っていないほど辺りは暗い。
同じ場所でISO感度2000で撮影。ほとんど何も写っていないほど辺りは暗い。

アマチュアカメラマンにとって、ISO感度は何処まで必要だろう。今回のような暗い場所での夜桜なら三脚を使う。このレベルの一眼レフデジカメのユーザーならその程度の荷物や手間を惜しんだりはしないだろう。何より三脚を使えば、手ブレしないシャープで美しい風景写真が撮れる。

星空を撮るとなると、ISO6400まで上げて撮影された作例を見た覚えがある。昔オルビスホールという近未来空間で撮影したときは、ストロボなしの手持ちで撮影したのだが、被写体に十分な明るさを得るために、ISO6400まで上げて撮る必要があった。

筆者がメインで活動しているポートレート撮影やコスプレ撮影の立場から言えば、ISO感度の上限はそんなに気にならない。広告写真の業界でも使用されるという5DsRがの常用ISO感度が6400だったので、それくらいが目安だろうが、そこまでISO感度を上げて撮ることは、特殊な状況を除いて。ほとんどない。

例えばスタジオならストロボを炊いて撮るので、ISO感度は100から1600で十分だ。野外なら尚更のこと。夜撮影はストロボ必須なので、背景を明るく撮りたいなら3600から6400は欲しいだろうが、ノイズが発生することを考慮に入れるとISO100から1600の間で撮ることが多い。

特殊な状況というのは、夜撮影でモデルにストロボを当てて、背景も明るく撮るという方法の時。先日夜桜を背景にモデルを撮ることになり、夜桜にストロボを当てると趣きがなくなるので、ISO感度を上げて、環境光だけを頼りに雰囲気を出そうとした。するとどうしてもISO感度を4000以上に上げなければならず、当然ノイズが気になる。

そのような特殊な状況も考慮に入れると、ISO感度は6400から8000くらいあれば十分だろうか。これくらいの高感度撮影でのノイズが今後の技術革新で低減出来れば御の字だ。

ISO感度6400で撮影した夜桜。
ISO感度6400で撮影した夜桜。
上の写真をトリミングして等倍表示。ノイズが気にならないのは流石フラッグシップ機といったところか。
上の写真をトリミングして等倍表示。ノイズが気にならないのは流石フラッグシップ機といったところか。
冒頭の写真を等倍トリミング。ISO3200と高感度撮影でも綺麗に写っている。
冒頭の写真を等倍トリミング。ISO3200と高感度撮影でも綺麗に写っている。