絞りすぎに注意!小絞り暈けが写真を台無しにする?

F64で撮影した写真。
F64で撮影した写真。

先日桜の風景写真をパンフォーカス気味に撮ることに快感を覚えてからというもの、絞って撮る事にこだわりが出てくるようになった。

明るい単焦点レンズを買って、絞り優先モードやマニュアルモードで撮ると、開放に撮りがちである。これを開放厨と俗に言う。単焦点レンズを購入したのをきっかけに、プログラムモードやオートモードから絞り優先モードで撮り始めたという人も多いのではないだろうか。

暗いズームレンズでは出来なかった大きく暈ける描写を味わいたいと思うのは、当然の欲求である。しかし開放で撮るという事は、様々な収差がつきものであり、美しい暈けや被写体の映えと引き換えに、そのレンズが本来内包している解像感を犠牲にしているという事でもある。

レンズは通常絞りを二段絞ると、そのレンズの持つ描写性能を発揮すると言われている。(キヤノンのレンズであればどのF値で撮ればそのレンズの描写性能を遺憾なく発揮できるかについて実験した本があるので、興味のある方はこちらを読んでいただきたい。)

つまり絞れば絞るほど、描写は最高になっていくわけである。ところがここで注意しなければならないのは、小絞り暈けという現象である。絞り羽根を絞りすぎて本来シャープであるべき描写が滲んで甘くなる事を言う。

フルサイズならF11以上、APS-C機ならF9以上が、小絞り暈けが発生し始めるF値の目安とされる。それ以上絞れば絞るほど、今度は逆に描写が甘くなっていく。

F11で撮影した写真。月のクレーターが見事に描写されている。
F11で撮影した写真。月のクレーターが見事に描写されている。
F64で撮影した写真。描写がぼやけてしまっている。
F64で撮影した写真。描写がぼやけてしまっている。

それでも風景写真などではF22まで絞って撮る場合もある、多少の描写力を犠牲にしてでも完璧なパンフォーカスを狙うか、ある程度パンフォーカス気味にして等倍鑑賞でも美しい描写を狙うか、どちらかを選ぶ事になる。

最近の新しいカメラは、このような小絞り暈けを修正する機能も備わっているので、これからはF22まで絞って撮っても、それ程描写に影響は与えないのかもしれない。付け加えるなら、フルサイズ機は小絞り暈けによる描写の損失に対しても、APS-C機に比べて優位である。