Canon EF24-70mm F4L IS USM 1本でスナップ写真! – 大阪南港から新世界・日本橋を歩く

大阪新世界と通天閣

1,2年ぶりにこみトレに参加してきたついでに、ニーアオートマタの2Bのフィギュアは売っていないかと日本橋(にっぽんばし)に繰り出すことにした。夏場にコーラを飲み過ぎたのとプレステ4のゲームのやり過ぎで頭と体がぼーっとして重たくなった気配があったので、こみトレにしてもついでのお出かけにしても億劫になっていたのだが、一度外に出ると彼方此方飛んでいく質なので、日本橋に行く為に恵美須町で下車するならその近くにある新世界にも寄ってみようという事で、大阪メトロのニュートラムをいつもとは違う左回りに乗ってミナミの方へ繰り出した。

10年前にこみトレに来た時だったか、いやそれ以上前、15年前だったか、写真家文章を見れば思い出すかも知れないが、何かのイベントの行きか帰りもニュートラムを左回りに、あるいは住之江公園駅から中ふ頭目指して乗っていった記憶がある。目的地もそこだったかどうか。

18年くらい前に主にアイドルのイメージDVDのジャケットや大きめのライブ写真を撮影しているプロカメラマンに南港で開催された維新派の観劇に誘われて一緒に観に行ったのだが、それから2,3年経ってその場所と記憶を辿りに出掛けたのかも知れない。しかし維新派のあのセットがどこにあるのかはさっぱり分からなかった。第三セクターの埋め立て地で土地が空いているとはいえ、徐々にではあるがビルが建っていったためだろうか。あの頃は時間が無限に溢れているように感じられた。今も大して変わりはしないが、どことなく感覚が異なる気がする。年を取るというのは嫌なものだ。

大阪南港の第三セクターと言えば、アーティスト村上隆をいち早く見いだしたことでも知られる美術評論家の椹木野衣が「平坦な戦場でぼくらが生き延びること」という漫画家岡崎京子論の中で、大阪南港のATCやWTC辺りの殺風景に触れられていて、ちょうど岡崎京子の漫画を乱読していた時期でもあり、また先にも述べたように大阪南港の景色に刺激を受けていたこともあり、個人的ではあるが非常にコインシデンスな体験をしたのだったが、ちょうどその本を読む前に住之江公園駅からATC辺りの車窓を眺めて、まだ若くもあり若さ特有の孤独の賜物でもある並々ならぬ感受性でそれらの近未来的ではあるが殺風景な景色を眺めては受け止めていたのだった。

こみっく★トレジャーが開催されるインテックス大阪の正面玄関。

久しぶりに当時の感覚が蘇ってくるかも知れないと思い、中ふ頭駅から住之江公園駅に向かって電車に乗った。いつもは二駅で乗り換えなのだが、今回は7,8駅くらいある。結構遠い。乗り換えが一回減るので行きもこのルートで行こうと思ったが、停車駅の多さにいつものルートで行くことにしたのだった。

住之江区の団地群が並んでいる。団地マニアにとっては垂涎物の景色だろう。年代物で決して綺麗とは言えないが昭和の高度経済成長期の夢と記憶が詰まっているという観点から見ると美しい。

住之江区の団地 住之江区の団地写真。

しばらく行くと送電線や、工場、謎の人工的な入り江なども見えてくる。TVや電車内広告でよく目にする住之江ボートはここで開催されているのかと初めて知った。

住之江ボート

大阪メトロのニュートラムは何もかもが近未来な装いで出来ている。水色のカラー、銀色の壁や天井。今年2018年4月に大阪市営地下鉄から大阪メトロという名称に変わったが、それ以前からちょくちょく電車が新しいものに更新されて、ニュートラムも車両が新しくなっていた。緑とピンクの空間があり、ピンクの方はてっきり女性専用車両かと見間違えた。

大阪メトロのニュートラム 大阪メトロニュートラムのエスカレーター

住之江公園駅に着き、ブルーの路線四つ橋線に乗り換え、いつもコスプレ撮影で下車しているハコスタジアム大阪がある大国町でいったん下車し、階段を上り下りして今度は堺筋線に乗り換える。動物園前駅で降りると、ここの駅構内は変わった装いをしている。柱は動物たちの尻、壁は動物たちの絵で飾られている。この日ようやく撮れた。

動物園駅のホーム 動物園駅のホーム

大阪新世界と通天閣

堺筋線の動物園前駅から一駅で恵美須町駅に着く。この駅は南と北に出入り口があり、北側に出ると電気店街、今ではアニメやゲームやメイドカフェなどのオタクの街と行った方が通用するだろうか、日本橋の堺筋に出る。南側は打って変わって通天閣へと通じる通天閣商店街の入り口に出るという有様で、まぁそんなに街並みは変わらないごった煮のイメージなのだけれど、新世界方面はよりディープで洋の東西を問わず観光客も多い。

さて通天閣。元々はパリのエッフェル塔に似せた装いだったが、戦争中の1943年に映画館から出た火災により延焼してしまい解体された。しかし戦後紆余曲折を経て1956年に再建。当時としては斬新なデザインだったのだろう。どことなく古い昭和の戦隊物の機械で出来た悪人のようにも見えるがそれらは昭和40年代以降の産物なので、それよりも古いのだから先進的なデザインだったに違いない。

大阪新世界の通天閣

通天閣と言えば日立の広告。全体的に無骨な装いで、古さが否めないが、見上げてみるとどことなく懐かしい感じがする。祖母の家の近くにあって今は取り壊された阪神パークのタワーエレベーターと似ているからかも知れない。

通天閣の先を行くとそこは新世界。主に串カツ屋がこれでもかと言うほど並んでいる。新世界と言えばソースの二度づけ禁止の串カツ屋、食べたことはない。

づぼらや 新世界奥から通天閣を臨む

群衆も写っている写真の方が良いのだが、肖像権の問題もあるので割愛。

テレビによく出てくるレトロゲームのお店もあったが、他の場所にも系列店があり繁盛しているのだなと実感した。

レトロゲーセン ザリガニ レトロゲーセン ザリガニ

新世界はケバケバしくて賑やかな街だ。看板が所狭しと並ぶ。そしてどことなくゲームの世界に似ている。新世界のスペースはそれほど広くなく、スパワールドの大きな建物がありそこが四角い袋小路となっている。まるで最新型のTVゲームの中の町やダンジョンを歩いているような錯覚に陥る。ゲームのように限られたスペースで狭く、ゲームのように路地が真四角で、ゲームのように賑やかな看板が並ぶ。

大衆演劇の劇場もあった。知り合いのコスプレイヤーさんがよくおばあちゃんと観に行っていると行っていた。ここだったのか。

少し外れには古い映画館もある。新世界国際劇場。レトロな看板画を超久しぶりに見て感激してしまった。昔は都会でも映画の看板画を、たとえば阪神電車の車窓から見ることが出来たが、今は印刷技術の発達のためかどういうわけかどこにも見かけない。看板画も良いが『この世界の片隅に』に見られるようなレトロな建築物も凄く良い。

通天閣の方に戻り、商店街を北上する。「ここが本当の新世界」と銘打たれた商店街。行きしなに上品そうなお姉さんが入り口に立っていてお客さんを誘っていた。

何やら古い建物があるかと思ったら、阪堺電車の路線電車。所謂チンチン電車だ。NHK朝の連続テレビ小説『てっぱん』に出てきた記憶がある。この当たりが舞台だったのだろうか。古い下宿に、尾道から出てきたヒロインにやったら厳しいおばあさんが出てきていたが役の割りには上品な顔立ちだった。コワモテ俳優の遠藤憲一も印象に残っている。お兄さん役の人は、見た目穏やかそうだったけれど、近年色々とゴタゴタを起こしているそうで。

元来た道を戻り、日本橋の方へ抜ける。恵美須町駅の交差点から、派手で独特の味があるCMでお馴染みのスーパー玉手が見えたので寄り道してみることにした。CMに違わず店内も超派手。夜になると天井のあのいびつな球が光るのだろうか。堺筋の先にある懐かしCMでお馴染みのユニバースにもこんな球が飾ってあった。う〜ん昭和。

大阪日本橋(にっぽんばし)

さていよいよ日本橋堺筋。順光で撮るビルは最高かな。

ところがカメラの液晶で見たら最高に見えたけど、パソコンの画面で見たら相でもなかった。よくあることだ。逆もまた然り。

さらっと日本橋筋商店街でんでんタウンの写真を撮っていく。「来た見た買うた〜!」の懐かCMでお馴染みのキタ商店の店舗をまず探したが、工事中みたいなスペースが目立っていてなかった。

少し先へ進んで脇道を西に行くとレトロな日本橋商店街がある。ここは先の戦争で一度焼け野原になったそうだが、その後店主達がなけなしの品を持ち寄ってすぐに再建したそうだ。この近くに有名な軍艦アパートもあったが、今は取り壊されて背の高い市営住宅になっている。軍艦アパートではないが、ヲタロードを目指して北西の方に歩くと超年代物の古いアパートがある。

この日は通しF4のズームレンズも持ってきていたが、Otus1.4/55も持ってきていたので単焦点レンズで視線誘導の写真でも撮ろうかと思ったが、F4ズーム1本で行くことにした。疲れていたし、レンズ交換がなんとなく面倒だった。

堺筋に戻り、地下アイドルのライブに入り浸っていた頃に週1、2回は通っていた見慣れた場所をサクサクと撮っていく。

ふと振り向けばアニメイトとメロンブックスの看板がでかでかと目立つビルが。そこに向かえばヲタロードに出られる。

ヲタロードを抜けて更に先を進んで丸井と高島屋と南海電車の交差点前。この南に昔南海の本拠地大阪スタヂアムがあった記憶があり、夢に出てきたのか、子供の頃に信長の野望武将風雲録のファミコン中古カセットを買った時に通りかかったのか、子供心に街中に円形状の建築物があることに圧倒された。ちなみに中古カセットはこの先の入り口にあるどこかの商店街の店先のワゴンで買ったのだが、当時はまだ小学生だったので、定価より安いとはいえカセットが新品なのか中古なのか分からなかった。買って帰ったら、カセットを止める爪の部分が折れていたので中古だったのだろう。

というわけで大阪南港から新世界・日本橋界隈を駆け抜けていった。使用カメラはCanon 1DX、レンズはCanon EF24-70mm F4L IS USM。スナップ写真を撮るにしてはフラッグシップ機はデカくて重いし、街歩き用のリュックサックに気安く出し入れできない。またシャッター音が大きい。しかしこれしかないのだから仕方がない。スナップ写真のために下位機種を買うのも躊躇われる。デジタル一眼カメラはエントリー機でも結構高いし、エントリー機だと写りに満足できないだろうし、かといって中級機をもう一台追加で買うくらいなら高級レンズにお金を費やしたいしで、結果1DXと5DsR。スナップ写真≒風景写真だから5DsRで撮っても良かったのだが、暗い場所でのコスプレ撮影にノイズの出やすい、また手ブレしやすい超高画素機を持っていきたくなかったし、大きなサイズの写真はどうせいらないだろうから1DXという選択になった。同人誌の戦利品も傷つけないようにリュックの中に入れないといけないから、大きいカメラを2台も持っていけない。

カメラの設定は大体F11で撮影。風景写真でもあるし解像感を出したい。あとは明るさに応じてISO感度を上げたり下げたり。夕暮れ時の太陽光が当たっているビルなどは明るいが、陽の当たらない商店街は暗い。駅構内は開放F4に設定してISO感度を上げる代わりにシャッター速度を1/20秒にして撮影。昔撮影したコスプレ写真を見たら、70mmでも1/40秒とかの自動設定で撮っていて手ブレしていなかったので、手ぶれ防止機能付きレンズなら低速シャッターでも手ブレしないだろうと踏んで、基本シャッタースピードを1/60秒に設定した。5060万画素の超高画素デジタル一眼カメラ5DsRなら厳しいかも知れないが、1DXなら大丈夫だろうということで。ちなみにCanon EF24-70mm F4L IS USMは、10万円くらいでLレンズとしては安い方の部類に入るが、絞って撮ると写りがすこぶる良い。絞って撮るのがメインの人には価格と描写の両面でお勧めのレンズだ。

24−70mmF4のズームレンズで撮っていた感じたのは、背景を暈かしたい時に暈けない。ワイド端の24mmでも全然足りない時がある、もっと広角で撮りたい、やっぱり11−24mmのレンズを持ってきていれば良かったかなという2点だ。F4のズームレンズは楽なのだが、暈けない、広さが足りないというデメリットもある。

しかしズームレンズ1本でスナップ写真を撮るのも酔狂かなと思い、Otus1.4/55は敢えて取り出さなかった。また別の機会があれば単焦点レンズで街並みを切り取っていきたい。